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令和7年版『高齢社会白書』によれば、日本の65歳以上人口は3,624万人(総人口の29.3%)に上ります。 2024年の労働力人口において、55歳から64歳までが18.6%、65歳以上が13.6%。55歳以上が32.2%と、職場の約3人に1人に当たります(総務省「労働力調査」より算出)。65歳までの雇用機会の提供が義務付けられる中、組織運営や生産性向上においてシニア層の役割と活躍は今後さらに重要となります。 |
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株式会社JTBコミュニケーションデザイン(以下、JCD)ワーク・モチベーション研究所は、一般的な「60歳以上」というシニア層のイメージにとどまらず、実際には役職定年や処遇変更、キャリアの転機が55歳頃から始まる企業も増えていることを踏まえ、本調査では「55歳以上」をシニアと定義しました。 シニア層本人およびシニア社員を部下に持つ管理職層を対象に、「働くシニアのモチベーションと上司からの評価に関する調査」を実施し、定年前後でのモチベーションや役割の変化、管理職との意識のギャップを明らかにしました。 |
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<主な調査結果> |
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本調査は、シニア本人を対象とした調査とシニアを部下に持つ管理職を対象とした調査の2つで構成されます。それぞれの結果を「働くシニアのモチベーションの現状」および「上司からみたシニアのモチベーション」として提示します。 |
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■働くシニアのモチベーションの現状 |
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1.シニアのモチベーション、「定年まであと2年」で落ち込み |
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仕事へのモチベーションを定年までの年数で比較すると、「定年まであと2年以下」の層は、他の年代層と比べてモチベーションが高い人の割合が低い傾向にありました。一方で、「再雇用・勤務延長となり2年以下」の層では、モチベーションが高い人が42.3%と4割を超えており、定年を境にモチベーションに変化が見られます(図1)。 |
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※モチベーションについては、「今の仕事にやりがいを感じますか」という質問への回答に基づき、高・中・低のグループがそれぞれ同じ人数になるように設定しています。そのため、以下のグラフの「全体」は高・中・低が均等の割合になっています。 |
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2.再雇用のシニア、報酬減額が大きいほどモチベーションは低下 |
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再雇用後のシニアでは、報酬が減額されるほど、モチベーションは低下する傾向にあります。特に、報酬の減額が1~2割程度に抑えられている層では、モチベーションが高い人の割合が半数を超えており、全体と比較しても高い値となっています(図2)。このことから、報酬の減額幅が再雇用後のシニアのモチベーションにかかわっている可能性が示唆されます。 |
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※モチベーションについては「今の仕事にやりがいを感じますか」という質問への回答に基づき、高・中・低のグループがそれぞれ同じ人数になるように設定しています。そのため以下のグラフの「全体」は高・中・低が均等の割合になっています。 |
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3.シニアのモチベーションに大きな相関を持つのは、職場に居場所があること、部門の人間関係がよいこと |
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「自分の居場所がある」層ではモチベーションの高い方が57.1%に及び、「自分の居場所がない」層の8.5%に比べ高い割合を示しています(図3-1)。 |
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また、「今所属する部門は、人間関係がよい」層も55.6%と半数以上が「モチベーションが高い」と回答しています(図3-2)。 |
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※モチベーションについては「今の仕事にやりがいを感じますか」という質問への回答に基づき、高・中・低のグループがそれぞれ同じ人数になるように設定しています。そのため以下のグラフの「全体」は高・中・低が均等の割合になっています。 |
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4.上司の相談のしやすさが、シニアのモチベーションと大きな相関を持つ 知識や能力を活かせることや感謝されることもシニアのモチベーションと相関がある |
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「直属の上司は、相談がしやすい」層のモチベーションは55.0%と高く、上司との良好な関係が重要になると考えられます(図4-1)。 |
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また、「今の仕事に、私の知識や能力、経験が活かせている」または「仕事をする中で、相手から感謝されたり喜ばれたりすることがある」と回答した層のモチベーションは、あてはまらない層に比べて高く、自身のスキルが活かせることや、周囲からの感謝がモチベーションに関係する可能性が示されています(図4-2)。 |
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※モチベーションについては、「今の仕事にやりがいを感じますか」という質問への回答に基づき、高・中・低のグループがそれぞれ同数になるように設定しています。そのため以下のグラフの「全体」は高・中・低が均等の割合になっています。 |
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5. 高いモチベーションのシニアは「役に立っている」ことが支え、
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低いモチベーションのシニアは「報酬」が支え、 |
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自由記述にはモチベーションの支えとして「感謝されたとき」の記載が最多 |
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選択式回答により、仕事へのモチベーションを支えていることを3つまで選択してもらったところ、モチベーションの高さによって明確な違いが見られました(図5-1)。 モチベーションが高い層では、「自分が役に立っていると感じられる」が43.2%と最も高く、次いで「感謝されること」が上位となりました。また、「会社や組織に恩返しをする」という組織とのつながりに関する項目でも、他層よりも割合が高い結果となりました。 |
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一方、モチベーションが低い層では、「報酬がもらえる」「ほかにしたいことがない」といった外発的・消極的な理由が上位を占めました。 |
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「仕事へのモチベーション(意欲)を支えていること」について自由記述で回答を求め、集計した結果、「相手から感謝される/相手に喜んでもらえたとき」が最も大きな割合を占めました(図5-2)。特に、モチベーションが高い層でこの回答の割合が高くなっています。 モチベーションが低い層では、「給料・ボーナス/給料日」が他層と比べて高い一方で、「特になし」が45.8%と突出して高い結果となりました。この結果は、モチベーションが低い層の半数近くが、仕事へのモチベーションを支えるものを見いだせていない現状を示しています。 |
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6. シニアのモチベーションを低下させるのは単純作業/評価への不満/人間関係 モチベーションが中~低い層は処遇への不満や疎外感などが低下の要因に |
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全体としては、「仕事内容・負荷」や「評価・処遇・給与への不満」に関する内容が多く挙がりました。 |
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その中で、モチベーションが高い層では、 「単純作業をやらされるとき」「不必要なことだと感じたとき」など、仕事内容の物足りなさを中心とした回答が目立ちました。また、自身の貢献に対する評価への不満も挙がっています。 モチベーションが中~低い層では、 「仕事内容・負荷」よりも、「仕事と報酬が見合わない」「給料が低すぎる」といった処遇への不満が多く挙がりました。加えて、「人間関係がうまくいかない」「疎外感を感じる」など、職場での人間関係に関する内容も多く挙がりました(図6)。 |
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7.シニアの後悔、1位は「専門的な知識・能力を身につければよかった」28.7%、2位は「社外の人間関係を作ればよかった」23.2%(3つまでの複数選択による回答) |
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「もっとやっておけばよかったと思うこと」を3つまでの複数選択で聞いたところ、最も回答が高かったものは、「専門的な知識・能力を身につけ、さらに高めること」で28.7%でした。次いで、「今の会社以外の人脈や人間関係を作ること」の回答が多くなっています。定年制度までの年数で見ると、定年が迫るほど、「専門的な知識・能力を身につけ、さらに高めること」の回答が増加し、定年後は「今の会社以外の人脈や人間関係を作ること」の回答が多くなる傾向があります(図7)。定年を境に、後悔の内容も変化することが見てとれます。 |
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8.モチベーションが高いシニアは新しい知識を身につけ、孤立感が低く、身体・精神面で健康 |
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現在の仕事や生活全般について聞いた結果、モチベーションの高さによる違いが示されました。「成果を出している」「知識や能力・経験が活かせている」などの成果や専門性に関する項目、ならびに「知識や能力を身につけるために時間を使っている」などの自己研鑽の項目で、モチベーションの高さによる差が目立ちました。人間関係においても差が見られ、モチベーションの低いシニアでは「孤立しているように感じることがある」の回答が多くなりました。
さらには、「精神面での健康状態はおおむね良好である」「身体的な健康状態はおおむね良好である」などの心身の健康や、「趣味や運動、地域の活動など仕事以外の活動も行っている」といった私生活に関する項目でもモチベーションの高さによる違いが見られ、生活全般において差異があることが示されました(図8)。 |
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9.役職の高いシニアほどモチベーションが高い |
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仕事へのモチベーションについて現在の役職別で見ると、部長クラス・本部長クラス以上の層は、モチベーチョンの高い人の割合が半数を超える高い数値を示しました。一方、一般社員では、モチベーションが高い人の割合は27.9%にとどまり、低い人が39.6%と4割近く存在する結果となっています(図9)。役職によるシニアのモチベーションの違いが見てとれます。 |
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※モチベーションについては「今の仕事にやりがいを感じますか」という質問への回答に基づき、高・中・低のグループがそれぞれ同数になるように設定しています。そのため以下のグラフの「全体」は高・中・低が均等の割合になっています。 |
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10. 職場で果たしている役割は「メンバーの一員」が突出、シニア本人の認識と上司の期待にギャップ |
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自分が職場で果たしている役割について2つまでを選択してもらったところ、最多回答は「メンバーの一員として業務を遂行する」で、53.4%と突出する結果となりました。次点の「知識や技術・経験で職場に貢献する」は26.1%、続く「メンバーのサポートをする」は18.3%、後述する「上司が求めている役割」(項目14参照)で最多であった「知識や技術を次世代に継承する」は18.1%にとどまり、シニア本人の認識と上司の期待にギャップがあることが示されました。定年後再雇用のシニアでは、「知識や技術を次世代に継承する」の割合が高くなる傾向はありますが、3割には届いていない状況です(図10)。 |
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※この記事の続きは株式会社JTBコミュニケーションデザイン(JCD)のJCD NOW!をご覧ください。
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◆株式会社JTB コミュニケーションデザイン (JCD) 会社概要 |
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所在地:東京都港区芝3-23-1 セレスティン芝三井ビルディング12階 |
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代表者:代表取締役 社長執行役員 藤原 卓行 |
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設 立:1988年4月8日 |
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URL:https://www.jtbcom.co.jp/
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◆ワーク・モチベーション研究所 |
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所在地:株式会社JTBコミュニケーションデザイン内 |
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所長:菊入みゆき |
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URL:https://hr.jtbcom.co.jp/work_motivation/
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本調査は、シニア本人を対象とした調査とシニアを部下に持つ管理職を対象とした調査の2つで構成されます。それぞれの結果を「働くシニアのモチベーションの現状」および「上司からみたシニアのモチベーション」として提示します。