中小企業のM&A・事業承継を支援する株式会社M&Aフォースは、加速する「大廃業時代」において顕著となっている、「黒字でも売れない会社」と「赤字でも売れる会社」の格差についての最新分析を公開いたします。
深刻化する「大廃業時代」
現在、日本の中小企業は大きな転換期を迎えています。
帝国データバンクの調査によると、2025年時点で中小企業の後継者不在率は50.1%に達しています。一方、国の事業承継・引継ぎ支援センターによるM&A成約件数は2,132件と過去最高を記録しました。
こうした背景から、事業承継の手段として「第三者承継(M&A)」は急速に広がっています。しかし現場では、利益が出ているのに売れない会社と、赤字でも買い手が集まる会社という企業価値の逆転現象が起きています。
参考:全国「後継者不在率」動向調査(2025年)
参考:第三者承継(M&A)成約件数が過去最高を更新:事業承継・引継ぎ支援センター令和6年度実績
黒字でも売れない会社の特徴
M&Aフォースでは、企業価値を左右する要因は、決算書には表れない「見えない資産」にあると分析しています。
黒字でも売却が難しい企業には、次のような特徴があります。
・顧客関係が社長個人の人脈に依存している
・営業や意思決定が社長に集中している
・業務が属人化している
このような企業では、承継後に顧客離れが起きるリスクが高く、買い手企業から「オーナー依存型企業」と判断されることがあります。
赤字でも売れる会社の特徴
一方で、赤字企業でも次のような要素が評価されるケースがあります。
・熟練工の技術力や独自のノウハウ
・独自の許認可や専門知識
・地域での高い市場シェア
・長年の顧客基盤
・安定した組織体制
こうした企業は、買い手企業の資金力や販売網と組み合わせることで短期間で事業価値を高められる可能性が評価されます。
企業価値評価の軸足が変わる時代へ
現在のM&A市場では、数字だけでは測れない企業の基盤や組織力が、事業承継の成否を分ける決定打となっています。
後継者不在率50.1%という現実の中で、廃業を選択する企業も多いです。しかし、その多くが「黒字でも売却できない」と判断した企業です。一方で、赤字であっても「見えない資産」を持つ企業は、新しい買い手によって事業継続の道を切り開いています。
 
この対比が示すのは、企業価値とは何か、その定義そのものが変わりつつあるということです。決算書に表れた数字ではなく、技術、ノウハウ、組織体制、顧客基盤といった目に見えない資産が、企業の真の価値を決定する時代になっているのです。
赤字でも技術力や組織力を持つ企業は評価され、黒字でも属人化が進んでいる企業は評価が下がるという、従来の「黒字=良い企業」という常識を覆す現象が、実際のM&A市場で起きています。
3月決算期は「企業価値の棚卸し」の好機
多くの日本企業が年度末を迎える3月、決算書上の数字を整える作業に追われます。しかし、M&A市場が激変する今、経営者が真に見つめるべきは「利益の数字」だけではありません。