| マンションリサーチ株式会社(東京都千代田区神田美土代町5-2)はホームローンドクター株式会社(東京都中央区八丁堀2-19-6)代表取締役 淡河範明(おごう のりあき)氏への聞き取り調査による住宅ローン金利の推移の予測と、マンションリサーチ株式会社保有データを用いて中古マンション市場の現況について調査しました。 | |||||||||||||||
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| 金利上昇局面に突入した住宅ローン市場 | |||||||||||||||
| 2025年12月の政策金利引き上げ以降、金融環境は明確に転換点を迎えています。とりわけ日本銀行の金融政策変更は、市場金利を通じて着実に住宅ローンへと波及しつつあります。メガバンク各行はこの動きを前提に、2026年4月に基準金利の見直しを予定しており、変動型住宅ローンの金利上昇は既定路線とみられます。 | |||||||||||||||
| こうした金利上昇は、購入者にとって借入負担の増加を意味します。一方で、足元の国際情勢、特にエネルギー価格の不安定さも重なり、実質購買力の低下という二重の逆風が生じています。中古マンション市場においても、従来のような力強い需要環境からは、徐々に変化の兆しが見え始めています。 | |||||||||||||||
| 建築費高騰が支える「価格の下支え構造」 | |||||||||||||||
| しかしながら、マンション価格の動向は需要側だけでは説明できません。現在の市場では、建築費や資材価格の高騰が構造的な価格上昇圧力として機能しています。人件費の上昇や資材供給の制約は新築マンション価格を押し上げ、その結果として中古マンションにも価格の波及が生じています。 | |||||||||||||||
| つまり、金利上昇によって需要が抑制される一方で、供給側のコスト増が価格を押し上げるという、相反する力が同時に存在している状況です。この綱引きの中で、市場は「下がりにくいが上がりにくい」、いわば高止まりの局面に入りつつあると考えられます。 | |||||||||||||||
| 再販事業の減速が示す市場の変調 | |||||||||||||||
| こうした環境変化を最も敏感に反映しているのが、再販市場の動向です。50平方メートル 以上の新規売出件数に対する再販物件の割合を見ると、2026年2月時点でその比率は大きく低下しています。 | |||||||||||||||
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| 再販事業は、不動産会社が金融機関からの融資を活用して中古マンションを仕入れ、リノベーションによって付加価値を高めた上で販売するビジネスモデルです。しかし現在は、購入需要がやや鈍化する中で、政策金利上昇に伴う資金調達コストの増加が重なっています。 | |||||||||||||||
| つまり、需要が抑制されつつあるにもかかわらず、仕入れコストは上昇しているという「逆風下のビジネス環境」が生まれています。この結果、金融機関は融資姿勢を慎重化させ、再販事業者も新規取得に対して慎重になっていると考えられます。再販物件の減少は、こうした市場において取るべき正しい態度を象徴する現象と言えます。 | |||||||||||||||
| 金利上昇でも価格は下がらない理由 | |||||||||||||||
| 一般的に、金利が上昇すれば借入可能額が減少し、不動産価格には下落圧力がかかると考えられます。しかし実際の市場では、必ずしも単純な価格下落にはつながっていません。 | |||||||||||||||
| 特に東京都周辺、なかでも神奈川県・埼玉県・千葉県といったエリアでは、価格そのものではなく「選択の中身」が変化する傾向が顕著に見られます。 | |||||||||||||||
| 例えば、同じ予算内であれば「築年数を妥協する」「専有面積を縮小する」「築古物件を購入して自らリノベーションする」といった行動が増えています。つまり、需要は消滅するのではなく、価格帯の中で再配分されているのです。 | |||||||||||||||
| 市場を支える「代替需要」の存在 | |||||||||||||||
| 現在のマンション市場において重要なのは、こうした「代替需要」の存在です。金利上昇によって純粋な購買力は低下しますが、それを補う形で選択肢を変える動きが生じ、市場全体としての需要は維持される構造となっています。 | |||||||||||||||
| この結果、消費者が許容できる価格の上限は徐々に意識され始めているものの、市場そのものが大きく崩れる兆候は見られません。むしろ、局所的な調整はあっても、「建築費の高騰」や「需給バランス」によって価格は一定水準で支えられる展開が想定されます。 | |||||||||||||||
| 今後の市場は「下落」ではなく「選別」へ | |||||||||||||||
| 以上を踏まえると、今後のマンション市場は「全面的な価格下落」というよりも、「選別の強化」という形で調整が進む可能性が高いと考えられます。金利上昇という逆風は確かに存在しますが、それ以上に供給制約と代替需要が市場を下支えしているためです。 | |||||||||||||||
| したがって、今後の焦点は「どの価格帯・どの物件が選ばれるか」に移ります。市場全体が崩れるのではなく、条件の弱い物件から順に調整が進む。そうした構造変化の中に、現在のマンション市場の本質があると言えるでしょう。 | |||||||||||||||
| 金利動向のまとめ | |||||||||||||||
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【変動金利】 2026年3月の変動金利は全体としては横ばいですが、一部の銀行で引き上げが実施され、上昇トレンドは緩やかに継続しています。2025年12月の日銀の利上げを受け、メガバンクが基準金利を約0.25%引き上げたことが影響しています。他の銀行も今後追随すると見込まれ、来月以降は上昇が加速する可能性があります。日銀は追加利上げに前向きであり、今後も段階的な金利上昇が続く見通しです。 |
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【10年固定金利】 2026年3月の10年固定金利はほぼ横ばいですが、前年と比較すると上昇基調を維持しています。長期金利の影響を受けつつも、足元では金融機関ごとの判断にばらつきがあり、方向感はやや不透明です。多くの銀行が金利を引き上げる一方で、指数は横ばいにとどまりました。水準は概ね2%超まで上昇しており、中長期的には上昇余地がありますが、短期的には一服感も見られます。 |
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【全期間固定金利】 2026年3月の全期間固定金利は横ばいながら高止まりしており、上昇トレンドが継続しています。全金融機関が3か月連続で金利を引き上げており、上昇圧力の強さがうかがえます。水準は3%台が中心で一部では4%に到達し、前年から大きく上昇しています。一方で変動金利との比較から選択は限定的な状況です。今後も上昇余地はありますが、当面は上昇が一服する可能性もあります。 |
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| 変動金利について | |||||||||||||||
| 【金利推移】 | |||||||||||||||
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| 2026年3月の変動金利は全体としては大きな動きは見られず、横ばい圏での推移となりました。ただし、DH住宅ローン指数は0.973%と前月の0.908%から上昇し、前年同月の0.652%と比較しても明確に高い水準にあります。月次では落ち着いているように見えるものの、年単位では着実に上昇しており、緩やかながらも上昇トレンドが継続している状況です。短期的には「踊り場」にある一方で、中期的には上昇局面にあると評価できます。 | |||||||||||||||
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【銀行の動き】 3月は観測対象13行中5行が金利を引き上げ、それ以外は据え置きとなりました。2025年12月の利上げを受けて、三菱UFJ銀行、三菱UFJ信託銀行、三井住友銀行が基準金利を約0.25%引き上げており、政策金利の上昇分をそのまま転嫁する動きが確認されました。一方で、その他の金融機関は今月の改定を見送り、翌月以降に反映する可能性が高く、タイミングの違いによる“段階的な引き上げ”が進んでいる局面です。 |
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【政治経済の背景】 日本銀行は2025年12月に利上げを実施した後、1月は据え置きとしましたが、追加利上げへのスタンスは維持しています。国内経済は底堅く、賃上げや物価動向が支えとなる中で、4月前後の再利上げ観測も意識されています。変動金利は政策金利や短期プライムレートに直接連動するため、今後は時間差を伴いながらも上昇圧力が一段と顕在化していく局面にあると考えられます。 |
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| 10年固定金利について | |||||||||||||||
| 【金利推移】 | |||||||||||||||
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| 2026年3月の10年固定金利は、前月比ではほぼ横ばいとなりました。DH住宅ローン指数は2.260%とわずかに上昇していますが、上昇幅は限定的であり、これまでの上昇基調に対して一時的な調整局面に入ったとみられます。前年同月の1.551%と比較すると依然として高水準にあり、トレンドとしては上昇が継続しているものの、足元では方向感を欠いた「様子見」の状態にあります。 | |||||||||||||||
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【銀行の動き】 金融機関の対応はやや分かれており、観測対象13行のうち10行が引き上げ、2行が引き下げるなど、判断のばらつきが見られました。結果として指数は横ばいにとどまっており、各行とも金利の方向性を探っている状況といえます。なお、auじぶん銀行は引き続き低水準を維持していますが、その他の銀行は概ね2%を超えており、全体としては高水準での推移となっています。また、全期間固定を持つ銀行では、10年固定の販売姿勢はやや後退しています。 |
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【政治経済の背景】 10年固定金利は日本国債10年物の利回りに強く連動しますが、足元では国債利回りが2.247%から2.132%へと低下し、金利上昇が一服しました。日銀のYCC終了により長期金利は市場要因を反映しやすくなっており、財政拡張政策や国債増発懸念が上昇圧力となる一方、為替や株式市場の不安定な動きが短期的な低下要因にもなっています。中長期的には利上げ観測を背景に上昇基調は維持されるものの、足元では調整を挟みやすい局面です。 |
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| 全期間固定金利について | |||||||||||||||
| 【金利推移】 | |||||||||||||||
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| 2026年3月の全期間固定金利は横ばい圏での推移となりました。DH住宅ローン指数は3.064%と前月の3.063%からわずかに上昇しており、前年同月と比較すると大幅に高い水準にあります。これまで継続してきた上昇トレンドは維持されているものの、足元では上昇の勢いが一服し、高水準での停滞感が見られる局面に入っています。 | |||||||||||||||
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【銀行の動き】 2026年3月はフラット35を含め、全金融機関が金利を引き上げました。住宅金融支援機構が提供するフラット35も2.08%から2.26%へと上昇しています。多くの銀行で3%を超え、一部では4%に到達しました。変動金利との割高感から利用者は依然として少数派ですが、超長期金利上昇の影響を最も受けやすいのがこの商品です。 |
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【政治経済の背景】 全期間固定金利は超長期国債の利回りの影響を強く受けます。これまでの金利上昇により超長期ゾーンの水準はすでに高く、追加的な上昇余地は徐々に限定されつつあります。財政拡張や国債増発への懸念から上昇圧力自体は残るものの、すでに織り込みが進んでいる面もあり、今後は一段の上昇よりも高止まりや一時的な調整が意識される局面に入りつつあると考えられます。 |
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| 福嶋総研代表研究員。早稲田大学理工学部卒。大手不動産会社にてマーケティング調査を担当後、 | |||||||||||||||
| 建築設計事務所にて法務・労務を担当。現在はマンションリサーチ株式会社にて不動産市場調査・評価指標の研究・開発等を行う一方で、顧客企業の不動産事業における意思決定等のサポートを行う。また大手メディア・学術機関等にもデータ及び分析結果を提供する。 | |||||||||||||||
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| マンションリサーチ株式会社では、 不動産売却一括査定サイトを運営しており、 2011年創業以来「日本全国の中古マンションをほぼ網羅した14万棟のマンションデータ」「約3億件の不動産売出事例データ」及び「不動産売却を志向するユーザー属性の分析データ」の収集してまいりました。 当社ではこれらのデータを基に集客支援・業務効率化支援及び不動産関連データ販売等を行っております。 | |||||||||||||||
| 会社名: マンションリサーチ株式会社 | |||||||||||||||
| 代表取締役社長: 山田力 | |||||||||||||||
| 所在地: 東京都千代田区神田美土代町5-2 第2日成ビル5階 | |||||||||||||||
| 設立年月日: 2011年4月 | |||||||||||||||
| 資本金 : 1億円 | |||||||||||||||
マンション価格はなぜ落ちない?金利上昇でも市場が崩れない本当の理由
マンションリサーチ株式会社 | 2026年3月20日 17:03
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