航空機を用いた宇宙重力模擬環境試験において、小型電子ビーム金属接合技術および月面レゴリス建材の世界初となる溶接実証に成功。宇宙でのモノづくりに不可欠な接合技術開発し、宇宙建築技術開発を前進。
株式会社Space Quartersは、航空機を用いた試験により、宇宙真空環境および微小重力・月面重力模擬環境下での溶接実証試験を実施し、金属材料および月面レゴリス建材の溶接に成功しました。本試験において、宇宙での実施工環境と同等の条件下での、良好な接合状態および十分な接合強度を確認しました。
株式会社Space Quarters(東京都渋谷区、代表取締役CEO:大西正悟)は、「人類の可能性を拡げ続ける」をミッションに、軌道上や月面でインフラとなる大規模構造物を施工する宇宙建築システムを開発しているスタートアップです。電子ビーム溶接を中核とした宇宙での施工技術を開発し、宇宙空間での製造・組立・修理を可能にする技術プラットフォームの確立に取り組んでいます。
 
航空機試験による宇宙溶接実証
本試験では、航空機に高真空チャンバーを搭載し、自社開発の小型・軽量電子ビーム溶接機を用いて、宇宙真空および微小重力・月面重力模擬環境下での溶接実証を実施しました。微小重力および1/6Gの月面重力環境において、複数回にわたる安定した接合試験を行い、宇宙環境における溶接技術の成立性を確認しています。
JAXA宇宙探査イノベーションハブとの共同研究による省エネルギー金属溶接技術
実証を行った電子ビームによる省エネルギー金属溶接技術は、国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)の宇宙探査イノベーションハブとの共同研究を通じて開発したものです。この技術により、エネルギー確保や排熱が大きな制約となる宇宙環境での溶接を可能とします。さらに、重力環境が溶接部内部の溶融金属の流れ場に影響を与えることから、微小重力および月面重力環境下での試験を実施し、それぞれの環境に対する適応性を評価・改善することで、宇宙で実際に使用可能な溶接技術として完成度を高めました。
世界初となる月面レゴリス建材の溶接実証
 上記共同研究の枠組みにおいて、共同研究先である株式会社大林組より提供を受けた月面レゴリス焼結体を対象とした溶接技術の開発・実証にも世界初で成功しました。
 更に今回の試験では、この月面レゴリス建材溶接技術を1/6Gという月面重力模擬環境において世界に先駆け実証し、良好な接合に成功しています。これは、月面資源を活用した構造物建設の実現性を示す重要な成果です。1kgあたり1~2億円とも言われる月面輸送コストをはじめとする輸送制約が、月面基地建設における大きなボトルネックである中、現地資源を活用した施工技術は、持続的な月面活動を支える基盤技術となることが期待されます。
宇宙利用に適した超小型・軽量電子ビーム溶接機
これら接合技術を実現することを要求仕様とし、宇宙利用に適した超小型・軽量電子ビーム溶接機を独自に開発しました。高効率小型高圧電源システムおよび電子ビーム銃の双方を社内開発することで、一般的に100kg以上となる電子ビーム溶接装置を、高圧電源と電子銃を合わせて7kg以下まで大幅に小型・軽量化しています。これにより、宇宙施工において想定されるロボットアームや小型ロボットによる取り回しを可能としています。
 
宇宙建築・軌道上サービスへの展開
本試験では、ダイヤモンドエアサービス株式会社が保有する航空機に、株式会社Space Quartersが開発した軽量矩形高真空チャンバーを搭載することで、厳しい重量制限および高い加速度耐性が求められる航空機環境下での電子ビーム溶接試験を実現しました。微小重力および月面重力環境において合計20回以上の接合試験を安定的に行い、複数材料・複数条件における接合データの取得と、再現性の高い溶接性能を確認しています。
本技術は、モノづくりにおいて基盤となる「接合」という動作の要素技術であり、人類の活動が宇宙へと広がりを見せる中、軌道上組立・製造、修理を含む軌道上サービス、さらには月面基地建設などの宇宙インフラ構築に大きく貢献することが期待されます。
 株式会社Space Quartersは、宇宙建築技術を確立し、人類の生活圏を宇宙へと拡張する基盤インフラの実現を目指してまいります。
 
株式会社Space Quarters 会社概要
会社名:株式会社Space Quarters
所在地:東京都渋谷区神宮前5丁目53-67
代表者:代表取締役 大西正悟
事業内容:宇宙建築ロボットシステムを用いた宇宙建築事業
サイトURL:https://space-quarters.com/