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国連大学水・環境・保健研究所 カーヴェ・マダーニ所長 |
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国連大学水・環境・保健研究所(UNU-INWEH)所長のカーヴェ・マダーニ教授が、ストックホルム水大賞(Stockholm Water Prize)の2026年の受賞者に選ばれました。パリのユネスコ本部で開催された世界水の日の式典において発表されました。なお、本年8月にはスウェーデンのストックホルムで開催される世界水週間において、スウェーデン国王カール16世グスタフ国王により賞が授与されます。 |
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「水のノーベル賞」とも称されるストックホルム水大賞は、水分野で最も権威ある賞であり、水資源の持続可能な利用と保護に対する卓越した貢献を称える賞です。マダーニ教授の受賞は、世界の水問題に取り組むコミュニティにとって歴史的な意義を持つ出来事でもあります。 |
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44歳にして同賞史上最年少の受賞者となっただけでなく、国連職員として、また元政治家として初めてこの栄誉に輝いた人物でもあります。ストックホルム水大賞の公式表彰文では、マダーニ教授が「水資源管理に関する画期的な研究を、政策、外交、そして世界的な啓発活動へと展開し、時に個人的な危険や政治的な困難を伴いながらも、それらを独自に結びつけてきた点」が称えられています。 |
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マダーニ教授は、ゲーム理論と意思決定分析を従来の水資源管理モデルに統合したことで、国際的に高く評価されています。彼の研究は、人間と水との関係における「完全な協力」という前提を問い直し、なぜ技術的に最適とされる解決策であっても、現実世界のインセンティブや利害の対立、制度的制約を反映していなければ、しばしば機能しないのかを明らかにしてきました。さらに、人間の行動を水資源モデルに取り入れることで、水紛争に対する理解を深め、ガバナンスを改善し、信頼が十分に築かれていない地域で協力を促進するための新たな道を開きました。 |
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また、マダーニ教授は、「水破産」という概念を提唱したことでも広く知られています。この概念は、水の不安定性が慢性的かつ構造的、そして部分的に不可逆的となっている現状を、「水危機」といった従来の用語では十分に捉えきれない可能性を示唆しています。2026年に発表された画期的な報告書『地球規模の水破産(Global Water Bankruptcy)』の著者として、マダーニ教授は、多くの河川流域や帯水層がもはや一時的な危機に直面しているのではなく、過去の基準値へと回復する力そのものを失いつつあるという警鐘を広める上で大きな役割を果たしました。さらに、危機対応から、彼が「破産管理」と位置づけるアプローチへと注目を移すことで、彼の研究は、世界の水問題に関する議論を、支払不能、不可逆性、適応、そして正義といった長期的な課題へと導く役割を果たしています。 |
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「このたびの受賞は大変光栄であり、身の引き締まる思いです」とマダーニ教授は述べています。「この栄誉を深い感謝の念とともに受け止め、これまでの歩みを支えてくださったすべての方々、イランの何百万人もの同胞をはじめ、学生、指導者、同僚、そして家族と分かち合いたいと思います。分断が深まり、人権が脅かされ、国際法が揺らいでいる今、私たちが共に直面している脆弱性こそが協働の礎となり得ることを、この受賞を通じて改めて認識していただければと願っています。水は私たちが共有する基盤であり、国内外で連帯を育む大きな可能性を秘めており、そのポテンシャルは今後さらに活かされていく余地があります。」 |
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マダーニ教授は、UNU-INWEHの所長に就任して以来、同研究所が「国連の水問題に関するシンクタンク」としての役割を一層強化できるよう尽力してきました。その中で研究所の認知度を高め、パートナーシップを拡大するとともに、水の安全保障、持続可能性、気候変動への適応、人間の安全保障に関する国際的な政策対話においても貢献してきました。カナダ・オンタリオ州リッチモンドヒルに本部を置くUNU-INWEHは、国連の学術部門である国連大学に所属する研究所の一つです。 |
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「カーヴェ・マダーニ教授は、厳密な科学的知見を、世界が直面する最も差し迫った課題に対する実践的な解決策へと結びつけるという、国連大学の使命を体現しています」と国連大学学長兼国連事務次長であるチリツィ・マルワラ教授は述べました。「彼の研究は、政府や社会の水不足をどのように捉えるかを大きく変え、現代を象徴する重要課題の一つに明確さと緊急性を付与しました。
卓越した学術的業績と政策への影響にとどまらず、マダーニ教授は国連大学システム内で卓越した戦略的リーダーシップを発揮し、UNU-INWEHの存在を世界中に広めてきました。また、国連と学術界を結ぶ革新的なパートナーシップを構築し、加盟国に対する解決策の提供を加速させてきました。国連ファミリーは、同教授のリーダーシップと学術的功績がストックホルム水大賞によって認められたことを、大変誇りに思っています」 |
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国連に入る以前、マダーニ教授は、学術界、国政、そして国際環境外交にまたがる独自のキャリアを築いてきました。これまでに、インペリアル・カレッジ・ロンドン、イェール大学、セントラル・フロリダ大学で教鞭を執っています。母国イランでは、環境庁副長官として副大統領補佐級の職に就き、同庁の国際関係・条約センターを統括するとともに、国連環境総会の副議長も務めました。
政界在任中は、イランの環境分野における首席外交官として、国際的な気候変動交渉に関する国内委員会の委員長を務め、COP23をはじめとする主要な国際会議でイラン代表団を率いました。現在は、シティ・カレッジ・オブ・ニューヨークに拠点を置くニューヨーク市立大学リモートセンシング地球システム研究所(CUNY CREST)の研究教授を務めるとともに、国連大学の「サステナビリティ・ネクサス・アナリティクス、インフォマティクス、データ(AID)」プログラムの議長も務めています。 |
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「研究、政策、そして一般市民の理解という三つの領域をつなぐことに成功する科学者は、ごくわずかです。マダーニ教授は、その稀有な存在の一人です」とシティ・カレッジ・オブ・ニューヨークのヴィンセント・ブードロー学長は述べました。「水ガバナンスや『水破産』という概念に関する先駆的な研究に加え、政策や社会への発信に精力的に取り組んできたことで、水問題は地球規模の持続可能性に関する議論の中心的なテーマとなりました。
今般の受賞は、彼の卓越した学術的業績と、より安全な未来を形づくるうえで科学が果たす重要な役割の双方を示すものです。シティ・カレッジは、これまで多くのノーベル賞受賞者を輩出してきたことを誇りに思っており、今回、本校の一員が初の『水のノーベル賞』を受賞したことを心より歓迎いたします」 |
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1991年に創設されたストックホルム水大賞は、ストックホルム水財団がスウェーデン王立科学アカデミーと協力して授与しています。毎年、受賞者は「世界水の日」前後に発表され、その後、ストックホルムで開催される「世界水週間」の期間中に正式に表彰されます。 |
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「マダーニ教授は、その研究活動と卓越した業績を通じて、分野横断的かつ複雑な水問題に対する私たちの理解に計り知れない貢献をしてきました」とストックホルム水財団の会長であるアネット・シャイベ・ロレンツィ氏は述べました。「気候変動が進む中、こうした知見はこれまで以上に重要となっており、マダーニ教授が2026年ストックホルム水大賞を受賞されたことを心よりお祝い申し上げます」 |
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ストックホルム水大賞について |
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「水のノーベル賞」として知られるストックホルム水大賞は、水分野で世界的に最も権威ある賞です。1991年の創設以来、世界の水資源の持続可能な利用と保護に多大な貢献を果たし、その結果として人間および生態系の健康と福祉の向上に寄与してきた個人や団体に、毎年授与されています。 |
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ストックホルム水財団は、スウェーデン王立科学アカデミーと共同で本賞を授与し、スウェーデンのカール16世グスタフ国王陛下が公式後援者および授賞者を務めます。 |
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毎年、3月の「世界水の日」前後に受賞者が発表され、その後、8月の「世界水週間」期間中に開催される王室主催の式典において正式に表彰されます。受賞者は、この週間の祝賀行事において中心的な役割を担います。 |
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国連大学について |
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国連大学は国連に所属するグローバルなシンクタンクであり大学院の教育機関です。本部は東京・渋谷にあり、日本に本部を置く唯一の国連機関です。国連大学の使命は、人類の生存、開発、福祉など国連とその加盟国が関心を寄せる緊急性の高い地球規模課題の解決に取り組むため、共同研究や教育を通じて寄与することです。12カ国にわたる13の研究所が国連大学に所属し、研究・教育活動を展開しています。 |
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UNU-INWEHについて |
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国連大学水・環境・健康研究所(UNU-INWEH)は、国連の学術部門である国連大学(United Nations University)を構成する13の研究所の一つです。「国連の水問題に関するシンクタンク」として知られ、世界各地で直面している水、環境、健康に関する重要課題に取り組んでいます。研究、研修、能力開発、知識の普及を通じて、国連および加盟国が直面する喫緊の地球規模の持続可能性と人間の安全保障の課題の解決に貢献しています。 |
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オンタリオ州リッチモンドヒルに本部を置くUNU-INWEHは、1996年以降、カナダに拠点を置き、同国政府の支援を受けて活動しています。グローバルな使命のもと、国連機関、国際機関、各国政府との広範なパートナーシップを有し、カルガリー、ハンブルク、ニューヨーク、ルンド、プレトリアに設置された国連大学ハブや、国際的な提携機関ネットワークを通じて活動を展開しています。 |
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