京都・東福寺塔頭 光明院にて、アーティスト 谷崎一心の個展「凪」を2026年3月28日(土)から4月12日(日)まで開催いたします。
本展は、東福寺塔頭 光明院を会場に、谷崎一心の新作を中心とした作品を紹介する個展です。禅寺の静謐な空間の中で、風景や生命のエネルギーの象徴としての渦を描いたペインティングをはじめ、谷崎にとって初となる水墨による襖絵12点を展示します。庭園や寺院の景観と呼応する展示を通して、歴史ある寺院を舞台に、絵画と周囲の環境が織りなす新たな鑑賞体験を提示します。
会場|東福寺塔頭 光明院時間|7:00 - 日没まで住所|〒605-0981 京都府京都市東山区本町15丁目809
※作品のご鑑賞には参拝料が必要となります。
本展では、昭和を代表する作庭家、重森三玲による枯山水庭園「波心庭」を感じることで生まれた作品「凪」を展示公開するものです。「波心庭」では、三尊石組をはじめとする多数の庭石と、雲状のツツジの刈込が目を引きます。その中で、石組みを受けた海としての白砂の流れと対話をしました。白砂の穏やかな流れを眺めているうちに、時空に一瞬の凪が訪れ、心が穏やかになるとともに、気づきや閃きが浮かんできては、消えていきました。瞬間の凪の中で、白砂の流れは、直感としての光を示す渦の波動として変換され、やがて絵画のイメージとして現れることになりました。それが作品「凪」です。
境内に座り心穏やかにぼんやりと庭や襖や絵を眺め、日常の喧騒を脇におき、ほんのわずかなひとときでも心の奥の自分との対話を楽しんでいただけると幸いです。
谷崎一心は、「生命のエネルギーや循環」をテーマに、エネルギーの動きの象徴として、色彩とテクスチャを組み合わせた渦を描き、生命のエネルギーを表現している。
谷崎は2000年初頭から、渦の原点でもある細かなドットの集積による自然風景を発表してきた。渦を森羅万象を象る根源として位置づけ、渦による世界をミニマルに表現することで、エネルギーの動きにより生じる私たちの生命、そして日常世界や宇宙の成り立ちについての考察を行っている。
室町初頭の1391年(明徳二年)、東福寺の塔頭として金山明昶によって創建される。山門より入ってすぐの、前庭である雲嶺庭には勝負の守護神「摩利支尊天」が鎮座する。「虹の苔寺」の異名をとり、苔と砂の見事な調和を見せる主庭、「波心庭」は、昭和の作庭家・重森三玲の手になる枯山水庭園で、東福寺方丈庭園とともに昭和十四年につくられた。方丈庭とは趣を異にする平安式の州浜型庭園である波心庭は、寺号の光明にちなみ、大海を表す白砂に浮かぶ三尊石組を基点に、立石が斜線状に並ぶ。その背後のサツキ、ツツジは大刈込としてダイナミックな雲紋を与えられ、さらに視線をあげれば茶亭「蘿月庵」の佇まいが目に入る。禅語「無雲生嶺上 有月落波心」(雲ハ嶺上ニ生ズルコトナク、月ハ波心ニ落ツルコト有リ)を由来とする蘿月庵は、 昭和三十ニ年の建築。窓、壁、障子に月のモチーフを抱き、波心の庭から眺めることで東の空に昇る月を愉しむ仕掛けになっている。先の摩利支尊天はまた、月に乗る姿で描かれることもあるといい、寺号である光明から蘿月庵まで一貫した、精緻で巧みなしつらえが佳景と心の和みをもたらす。煩悩をしりぞければ、月(仏心)が波に映る。