国立科学博物館(館長 篠田謙一)は、3月24日(火)より、筑波研究施設内「標本・資料棟1階見学スペース」の公開を開始します。ここでは新規に導入した大型X線CT装置や、大型化石等の保管の様子が一部ご覧いただけます。
上野の国立科学博物館(本館)には1万点以上の標本・資料が展示されていますが、それは筑波地区に保管されている520万点以上の標本・資料のごく一部です。これらの標本・資料は筑波地区の収蔵庫で大切に保管され、また研究活動に利活用されています。保管ばかりでなく、活用される様子を知っていただくため、この度、2023年に新たに完成した「標本・資料棟」の見学スペースを公開することとなりました。
このスペースでは、生命史研究部の所有する大型化石等の保管の様子が一部ご覧いただけるほか、標本・資料の調査、研究を推進するため新規に導入した、大型X線CT装置を紹介しています。CT装置の稼働日には、実際に研究者等が作業している様子をご覧いただけます。
本スペースは、各研究部の研究活動や収蔵標本を紹介している「自然史標本棟」の見学スペースと合わせ、筑波実験植物園にご来園された方がご見学いただけます。
※「標本・資料棟1階見学スペース」は、筑波実験植物園よりお入りいただけます。
見学に当たっては、入園料が必要です。入園料、開園日、開館時間等の詳細は、
当園のWEBサイト(https://tbg.kahaku.go.jp/)をご確認ください。
植物園から見た外観標本・資料棟 1階見学スペース入口外観
これは、当館の松原聰(名誉研究員)らが、新潟県糸魚川市内の姫川支流で発見された青い石がラピスラズリであることを突き止めたもので、青色~藍色の宝石として知られるラピスラズリですが、国内での産出確認は初めてです。
糸魚川産ラピスラズリの切断面を研磨したもの。濃い群青色を呈する。灰色の部分は主に珪灰石など。当館所蔵のアフガニスタン産ラピスラズリ
糸魚川産ラピスラズリの切断面を研磨したもの。濃い群青色を呈する。灰色の部分は主に珪灰石など。
担当研究員によるCT作業の演示、現場解説を実施します。
X 線はエネルギーの高い電磁波の一種です。波長が短く、空気や内臓などのやわらかい組織(軽い元素からなり、密度が低いもの)は通り抜けやすく、一方で石や骨、または金属のように硬い物質(重い元素を多く含み、密度が高いもの)は通りにくいという性質があります。このX 線が物質を通り抜ける量の違いを利用し、透過量の差を濃淡のパターンとして表し、画像化することができます。
CT(Computed Tomography、コンピュータ断層撮影)は、X線を使って試料の断面(輪切り)画像を得るしくみです。撮影資料を回転させて、いろいろな方向からX 線を当ててデータを集め、それをコンピュータで計算して一枚の断面図にします。これを何枚も重ねると、試料の内部の立体像が得られます。こうして得られた立体的な画像(3D画像)を使って、壊すことのできない貴重な化石の内部構造を調べることで、1点しかない貴重な生物の標本を解剖することなく内部の骨格や、筋肉、神経などの軟組織の情報をとりだすことができます。
当館には自然史標本以外にも科学技術に関する歴史的価値の高い資料もあるため、このような資料の保存状態の確認などにも利用されています。自然科学においても非破壊で内部構造を三次元的に観察できる産業用マイクロCT を用いた研究が一般的になり、国立科学博物館にもすでに1 台設置されています。しかし、従来の装置は大きさや出力に制約から、撮影可能な試料サイズには限界があり、大型標本や重い元素を多く含む岩石などは撮影できませんでした。そこで、撮影可能な試料の範囲を拡大するため、450 kV の高出力を有し、最大撮影視野60 cm に対応するマイクロCT 装置VOXLS 30 C 450 を導入しました。これまで撮影できなかった大型・高密度標本の撮影が可能となり、既存コレクションの再 評価や新たな研究展開など、標本の更なる活用が期待されています。
なお、公開記念企画での公開以降もCTを使った作業を皆様にご覧いただける場合には、SNS等でお知らせする予定です。