中国経済は底堅さを見せるものの、構造的課題により消費者行動にも慎重さが広がる
経営コンサルティングのA.T. カーニー株式会社(東京都港区、日本代表:針ヶ谷 武文)は、本日、中国のラグジュアリー市場に関する論考「中国ラグジュアリー市場:足元の状況と今後の展望」をウェブサイトで公開しました。
【URL】bit.ly/4drnYAx
 
本稿は、2025年8月に中国のラグジュアリー消費者3,000人を対象に実施した調査に基づき、中国市場における消費者心理、購買行動、チャネル選好の変化を分析した英語版レポート”China luxury market: the ridge path toward a cautious recovery”の主要論点を整理し、同社東京オフィスのシニアパートナー福田 稔の監修のもと、日本語版としてまとめたものです。
 
調査の結果、中国のラグジュアリー消費者の多くは、経済や雇用、政策の方向性に対して一定の楽観を維持している一方で、購買行動はこれまで以上に慎重かつ選別的になっていることが明らかになりました。1人当たりのラグジュアリー支出額は前年比で約4%減少する見通しであり、衝動的な購買よりも、価値や必要性を重視した「意思による消費」へと変化しています。
 
カテゴリー別では、大型レザーグッズや時計など高価格帯商品の落ち込みが大きい一方、ファッション・小物やビューティーなど日常的なラグジュアリー領域は比較的堅調に推移するとみられます。
 
また、消費行動には世代や所得、都市クラスによる差も顕著に表れています。特にZ世代では、ミレニアル世代の約3倍にあたる約37%がラグジュアリー購入の削減、または購入を控える意向を示しており、慎重な姿勢が目立ちました。一方で中年層は比較的安定した購買意欲を維持しており、市場回復を支える主要な消費層となっています。こうした支出抑制の背景には、貯蓄志向の高まりに加え、旅行やイベントなど体験への支出シフトがあると考えられます。
 
加えて、米中摩擦などの地政学的要因や価格意識の高まりを背景に、中国国内ブランドへの関心も強まっており、回答者の59%が今後1年間で中国発ラグジュアリーブランドの購入を検討する意向を示しました。チャネル選好にも同様の慎重さが見られ、多くの消費者がブランド直営チャネルやトラベルリテールでの購入を志向していることが明らかとなりました。
 
シニアパートナー 福田 稔によるコメント:
「消費者の慎重な姿勢が続く中、中国のラグジュアリー市場は、憧れや自己顕示的な消費から、より意味や価値を重視する消費へと移行しています。こうした市場環境において、企業が競争優位性を獲得するには、信頼性の高い購買体験の提供やローカル市場へのきめ細やかな適応、顧客体験の強化といった戦略的対応が求められます。また年代層によっても消費意欲に差異が見られ、企業はより戦略的なアプローチが求められています。」