日本のものづくりを活かした連携体制で、世界に先駆けた実機製作を前進
世界初のフュージョンエネルギーによる「実用発電」を目指し、ヘリカル型核融合炉の開発を進める株式会社 Helical Fusion(本社:東京都中央区、代表取締役 CEO:田口 昂哉、以下「Helical Fusion」)は、航空・宇宙分野などの大型の金属精密加工において技術力と実績を有する菱輝金型工業株式会社(本社:愛知県一宮市、代表取締役:原 康裕、以下「菱輝金型工業」)との事業連携により、最終実証装置「Helix HARUKA」向けのコンポーネント製作の一部を完了しました。
 
完成内容:
Helix HARUKA で使用する「コイルケース」パーツ全 10 点
Helix HARUKA 向けの増殖ブランケットパーツ1点の試作品
いずれも、フュージョン発電プラントの実用化で主要な役割を果たすコンポーネントで、実機を想定した高精度な素材加工に成功しました。
完成内容のうち、「コイルケース」10 点は、Helix HARUKA Phase1*の製造に向け、建設地である核融合科学研究所(岐阜県土岐市)敷地内の Helical Fusion 専用スペースに運び込みます。
 
Helical Fusionは、これを受け、2030 年代のフュージョンエネルギー実用化を目指す「ヘリックス計画」のうち、直近のマイルストーンである最終実証装置「Helix HARUKA」の製造・建設を加速します。
 
※増殖ブランケットパーツの試作は、Aichi Deeptech Launchpad 採択事業として、愛知県の支援を受けて完了しました。
 
 
コイルケース10点の写真。全て繋げることで、らせん状の高温超伝導マグネットの土台となる。最終実証装置Helix HARUKA建設場所へ運び込み、組み立てを進める。
増殖ブランケットパーツの試作品の写真。他のパーツと組み合わせて使用する。最初の1点を試作し、今後の製作への先鞭をつけた。
■菱輝金型工業の強みとフュージョン発電プラント
フュージョン発電の中心部に使用するブランケットの加工では、大きいものでは高さ数十メートルにもなる大型部品を扱う一方、誤差数ミリ以内という高い精度が求められます。特に、加工が難しいステンレスなどの硬い金属の使用が多いことから、設計から加工にいたる全ての段階で、熟練の技術と経験が必要です。菱輝金型工業は、長年航空・宇宙分野など大型かつ高精度の加工を手がけ、グローバル企業からの受託実績を重ねてきた職人技を誇る企業です。フュージョン発電の部品加工でも、その技術力が活きてきます。
コイルケース試作品の加工風景。硬度の高い素材を、五軸加工機で慎重に削り出していく。
■ヘリックス計画について
ヘリカル型核融合炉は、これまでの国立大学や国立研究機関における70年にわたる研究開発の結果、商用発電所に適した特性が評価されている方式*1です。
Helical Fusionは、その知見を活用してフュージョンエネルギーの実用化を行う数少ない民間企業の一社として、ヘリカル型核融合炉による実用発電を達成する「ヘリックス計画(Helix Program)」を進めています。
ヘリックス計画では、2020年代中をめどに二大開発要素「高温超伝導マグネット」「ブランケット兼ダイバータ」の個別実証を完了し、2030年代中には、最終実証装置「Helix HARUKA」による統合実証、および発電初号機「Helix KANATA」による世界初の実用発電を達成する計画です。
 
2025年より、「Helix HARUKA」の製造・建設を進めています。Helical Fusionは、CTO(宮澤順一)を中心とした専門チームの知見をもとに、インテグレーターとして開発をリードするとともに、日本全国のものづくり企業との連携体制を強みとして、着実にエンジニアリングを前進させています。
 
*11.定常運転(24時間365日運転可能な安定性)、2.正味発電(プラントの外に電力を供給できる)、3.保守性(メンテナンスが可能)という「商用核融合炉の三要件」を、全て満たせる見通しを有することから。
■「実用発電」のための三要件
核融合炉を発電所として商用利用するためには、核融合反応を起こすことはもちろん、1.定常運転(24時間365日運転可能な安定性)、2.正味発電(プラントの外に電力を供給できる)、3.保守性(メンテナンスが可能)という「商用核融合炉の三要件」をすべて満たす必要があると考えています。
「実用発電」を達成するための商用核融合炉の三要件
 
ヘリックス計画のタイムライン
 
ヘリックス計画におけるパートナーのイメージ
■代表者からのコメント
Helical Fusion 代表取締役CEO 田口 昂哉
今回完成したコンポーネントは、最終実証装置「Helix HARUKA」の中心部に組み込まれていくものです。その先の発電初号機「Helix KANATA」まで見据えた高い精度での加工が実現され、ものづくりの力が Helical Fusion の歩みを後押ししてくれていることを、肌で感じています。この美しい完成品は、現場で両社のチームが数多の試行錯誤を乗り越えた証です。また、その熱意を共有し、支援いただいた愛知県との連携も大きな後押しとなりました。ヘリックス計画が、一人ひとりの想いに支えられていることに感謝し、チーム一丸となってヘリックス計画を前進させていきます。
 
菱輝金型工業 代表取締役社長 原康裕 
ヘリカル型核融合炉の部品加工において、菱輝金型工業がこれまで自動車や航空・宇宙分野で培ってきた加工技術が大きく貢献できると確信しております。
自動車産業や航空宇宙、工作機械などの分野で日本一を誇るここ愛知の地で、私たちは長年モノづくりの技術を磨いてまいりましたが、次世代に繋がる新しい産業である核融合は我々にとっても未知の領域であり、挑戦すべき存在です。
今回の Helical Fusion のコイルケース、ブランケット製作では、熟練から若手まで、エンジニア達が目を輝かせて挑み、実現させることができました。日本のものづくりの底力を発揮する次世代の現場を創るためにも、今後もフュージョンエネルギー分野に力を入れて取り組んでいきます。
 
Helix Programパートナリングプロジェクトのイメージ
■菱輝金型工業株式会社について
菱輝金型工業株式会社は、航空宇宙分野を中心に、金型や治工具の設計・製作を行うメーカーです。国内最大級の設備を有し、航空機・ロケット向けの一品物の金型製作をはじめ、ファクトリーオートメーション、鉄道車両、道路インフラ向けなどの産業機器部品の製作にも対応しています。
 
所在地:愛知県一宮市
設立:1967年(昭和42年)6月
代表者:代表取締役社長 原 康裕
ホームページ:https://www.ryoki.co.jp/
■Aichi Deeptech Launchpadについて
愛知県は産業競争力を維持・発展するために、スタートアップを起爆剤とする新たなイノベーション創出戦略「Aichi-Startup 戦略」を2018 年 10 月に策定しました(2025 年改定)。本戦略は、イノベーション創出の主たる担い手であるスタートアップやユニコーン企業の連続的な創出や、イノベーションの社会実装を実現するスタートアップ・エコシステムの形成と持続的な発展を目標としています。Aichi Deeptech Launchpad Acceleration 2025は、愛知県の産業構造と親和性の高い分野ディープテックスタートアップを中心にハンズオン支援を行い、その技術の社会実装や破壊的イノベーションによる既存市場の転換、社会課題の解決、新規市場の創出を図ることを目的としたディープテック特化型のアクセラレーションプログラムです。
Aichi Deeptech Launchpadのポータルサイト:https://aichi-deeptech.com/
■Helical Fusionについて
2021年に、NIFSにおける核融合に関する研究成果を活用して創業した、ヘリカル型核融合炉によるフュージョンエネルギーの実用化を目指す企業です。日本独自の核融合炉形式である「ヘリカル方式」は、これまでの国立大学や国立研究機関における70年にわたる研究開発の結果、商用発電所に適した特性が評価されている方式です。
その知見を活かして実用化を進める世界で唯一の企業として、「ヘリックス計画(Helix Program)」を進めています。ヘリックス計画では、2020年代中をめどに二大開発要素「高温超伝導マグネット」「ブランケット兼ダイバータ」の個別実証を完了し、2030年代中には、最終実証装置「Helix HARUKA」による統合実証、および発電初号機「Helix KANATA」による世界初の実用発電を達成する計画です。
 
ヘリックス計画(Helix Program)詳細(https://www.helicalfusion.com/helixprogram
Helical Fusionが2030年代に「実用発電」を計画する発電初号機「Helix KANATA」のイメージ
背景
■フュージョンエネルギー開発の意義
世界の人口は2050年までに約17億人増加すると予測*2 され、生成AIの普及も背景とした世界的な電力需要の急増に対し、既存発電方法のみで応えることは厳しい見通しです。フュージョンエネルギーは、太陽の輝きと同じ原理を使ったCO2排出がなく効率性の高い発電方法であり、海水等から豊富に採取可能な燃料を用いることからも、世界的な課題を抜本的に解決する技術として期待されています。核融合プラント建設および電力市場は2050年までに世界で数百兆円規模にまで成長するとの試算*3 もあり、今後自動車産業のように日本が世界をリードする巨大産業を創出できる可能性がある一方、国際的な開発競争も激化しています。
日本においては、2025年10月に高市早苗総理大臣が率いる新政権が発足し、「危機管理投資」や「経済安全保障」を成長戦略の核心と位置づけ、所信表明演説では “次世代革新炉や核融合エネルギーの早期社会実装” が明記されました。同年6月には 内閣府による「フュージョンエネルギー・イノベーション戦略」の改定により、2030年代の発電実証を目指すロードマップが提示されています。加えて、新政権が掲げる「重点投資対象17分野」にフュージョンエネルギー(核融合)が挙げられ、11月には政府として1,000億円超の予算計上、経済産業省に「フュージョンエネルギー室」が設置されるなど、政府としての支援が具体化しています。産業界をまとめるフュージョンエネルギー産業協議会からも社会実装に向けた提言が示されており、学術研究の段階から、官民をあげた産業化への動きが加速していると言えます。
 
*2 国際エネルギー機関(IEA)年次報告書 「2023年版世界エネルギー見通し」(World Energy Outlook 2023) 
*3 FusionX/Helixos report Global Fusion Market Analysis: Electricity, Supply Chain & Construction (https://fusionxinvest.com/data-analysis/analysis/)
 
 
<本件に関するお問合せ> 株式会社Helical Fusion 広報担当(contact@helicalfusion.com)

世界初のフュージョンエネルギーによる「実用発電」を目指し、ヘリカル型核融合炉の開発を進める株式会社 Helical Fusion(本社:東京都中央区、代表取締役 CEO:田口 昂哉、以下「Helical Fusion」)は、航空・宇宙分野などの大型の金属精密加工において技術力と実績を有する菱輝金型工業株式会社(本社:愛知県一宮市、代表取締役:原 康裕、以下「菱輝金型工業」)との事業連携により、最終実証装置「Helix HARUKA」向けのコンポーネント製作の一部を完了しました。

いずれも、フュージョン発電プラントの実用化で主要な役割を果たすコンポーネントで、実機を想定した高精度な素材加工に成功しました。

完成内容のうち、「コイルケース」10 点は、Helix HARUKA Phase1*の製造に向け、建設地である核融合科学研究所(岐阜県土岐市)敷地内の Helical Fusion 専用スペースに運び込みます。

Helical Fusionは、これを受け、2030 年代のフュージョンエネルギー実用化を目指す「ヘリックス計画」のうち、直近のマイルストーンである最終実証装置「Helix HARUKA」の製造・建設を加速します。