- 感情労働の広がりとデジタルコミュニケーションがもたらす新たな課題と可能性 -
テクノロジーで企業と社会の進化を実現する株式会社電通総研(本社:東京都港区、代表取締役社長:岩本 浩久、以下「電通総研」)は、2026年3月17日(火)、「電通総研コンパス vol.16 デジタルコミュニケーションと感情労働に関する意識調査」の主なファインディングスを発表します。
 
電通総研のシンクタンク組織である、ヒューマノロジー創発本部 Quality of Society センター(以下「QoS センター」)は、クオリティ・オブ・ソサエティをテーマに、「人びとの意識の変化がどのような社会を形づくっていくのか」を捉えるため、「電通総研コンパス」と称した定量調査を実施しています。第16回となる本調査は、「デジタルコミュニケーションと感情労働」を取り上げました。
本調査の詳細レポートは、こちらからご覧いただけます。
■ 調査の背景と目的
「デジタルコミュニケーション」とは、メール・SNS・チャットツール・オンライン会議などのデジタルツールを用いたやりとりを指します。デジタルコミュニケーションでは、本心とは異なる感情を表出しながら対応する場面が増えるようになりました。こうした行為は「感情労働」と呼ばれ、精神的負荷を高める要因となることから、あらゆる組織で注意すべき課題となっています。
本調査では、人びとの意識を通じて現状と課題を把握し、デジタルコミュニケーションを含む職場環境における感情労働の負担軽減に資するヒントを探ります。
【 「電通総研コンパス vol.16 デジタルコミュニケーションと感情労働に関する意識調査」 - 主なファインディングス 】
1. 職場で感情を装って労働している※人は72.4%、社内デジタルコミュニケーション(メール、チャットなど)において装った感情で文面を作成する人は67.3%
2. 「情緒的疲労※が減れば、自分はより働きやすくなると思う」と回答したのは68.3%
3. 労働者が期待しているものとして、期待が大きい順に「収入増>情緒的疲労減>残業時間減」を示唆する結果となり、長時間労働という量的側面だけでなく、情緒的疲労といった質的側面での改善期待がうかがえる
4. デジタルツールの導入により心理的負担が減ったと感じている人は63.2%
5. 新たなデジタルツールには、生産性向上(38.4%)より情緒的疲労を減らすこと(61.6%)が期待されている
※本調査では、職務上感情を装うことを「感情労働」、精神的・感情的な疲労を「情緒的疲労」と定義。
1. 7割の人が感情労働をおこない、社内デジタルコミュニケーションにおいても感情労働が生じている
職場における感情労働について尋ねた質問で、「職場で本当の気持ちを抑え、装った感情で過ごす」人は72.4%にのぼり、多くの人が感情労働をおこなっている実態が明らかになった。「会議中に装った感情で振る舞う」人は62.1%、「1on1(個人面談)において、装った感情で振る舞う」人は62.0%を占めた。
また、「テキストでの社内デジタルコミュニケーション(メール、チャットなど)において、装った感情で文面を作成する」人は67.3%であった。テキストを介したデジタルコミュニケーションにおいても感情労働が生じていることが明らかとなった。
「電通総研コンパス vol.16」-1.7割の人が感情労働をおこない、社内デジタルコミュニケーションにおいても感情労働が生じている
 
2. 働きやすさに影響を与える「情緒的疲労」
仕事・職場環境においてどのような思いを抱いているのかを尋ねた質問のうち、「情緒的疲労が減れば、自分はより働きやすくなると思う」と回答した人は68.3%、「情緒的疲労が減っても、自分の働きやすさは変わらないと思う」と回答した人は31.8%となり、両者には36.5ポイントの差がある。こうした結果から、情緒的疲労が働きやすさに影響を与えていることがうかがわれる。
「電通総研コンパス vol.16」-2.働きやすさに影響を与える「情緒的疲労」
 
3. 長時間労働だけでなく、情緒的疲労の改善が期待されている
「残業時間を減らすより、情緒的疲労を減らしてほしい」と回答した人が65.8%、「情緒的疲労を減らすより、残業時間を減らしてほしい」と回答した人が34.2%と、残業時間よりも、情緒的疲労を減らすことへの期待が31.6ポイント高かった。
次に、「残業時間を減らすより、収入を増やしてほしい」と回答した人が70.6%、「収入を増やすより、残業時間を減らしてほしい」と回答した人が29.4%と、残業時間の減少より収入を増やすことへの期待が41.2ポイント高かった。
最後に、「収入を増やすより、情緒的疲労を減らしてほしい」と回答した人が44.9%、「情緒的疲労を減らすより、収入を増やしてほしい」と回答した人が55.1%と、情緒的疲労の減少より収入を増やすことへの期待が10.2ポイント高かった。
これらの結果より、仕事や職場環境に対して「収入の増加」、「情緒的疲労の減少」、「残業時間の減少」の順で優先されていることがうかがわれる。
「電通総研コンパス vol.16」-3.長時間労働だけでなく、情緒的疲労の改善が期待されている
 
4. デジタルツールの導入は心理的負担を減らす
多くのデジタルツールが仕事・職場環境に導入されており、それらに対して労働者はどのような感情を抱いているのか、特に心理的負担に焦点を当てて尋ねたところ、デジタルツールの導入により「心理的負担が減った」と回答した人は63.2%、「心理的負担が増えた」と回答した人は36.8%であった。デジタルツールはどちらかというと、心理的負担の軽減に貢献していることを示唆する結果となった。
「電通総研コンパス vol.16」-4.デジタルツールの導入は心理的負担を減らす
 
5. 新たなデジタルツールには、生産性向上より情緒的疲労の軽減が期待される
テクノロジーの発展に伴い、今後も新たなデジタルツールが職場に導入されることが予想される。そこで、新たなデジタルツールに対する期待についても尋ねた。新たなデジタルツールに「職場の情緒的疲労を減らす」ことを期待すると回答した人は61.6%、「職場の生産性を高める」ことを期待すると回答した人は38.4%であった。両者には23.2ポイントの差があり、この結果から、新たなデジタルツールには生産性の向上より情緒的疲労の軽減が期待されていることがわかった。
「電通総研コンパス vol.16」-5.新たなデジタルツールには、生産性向上より情緒的疲労の軽減が期待される
 
まとめ:感情労働が生み出す情緒的疲労軽減に向けて
これまで感情労働は介護職や教職などの対人援助職における課題として注目されてきましたが、本調査により、現在は多くの職種に広がる共通の課題であることが明らかとなりました。また、デジタルコミュニケーションにおいても感情労働が発生していることがわかり、感情労働の多様化と同時にその対応の必要性が浮き彫りとなりました。
一方で、デジタルツールは職場の省力化・効率化に寄与している側面もあり、そのメリットとデメリットが見えてきました。働き方の課題として、これまでは長時間労働が注目されがちでしたが、今後は感情労働が生み出す情緒的疲労にも着目する必要があるといえます。調査結果からは、デジタルツールに情緒的疲労の軽減が期待されていることも明らかとなり、今後開発されるデジタルツールには、そうした視点が求められることと思われます。
 
■ 「電通総研コンパス vol.16 デジタルコミュニケーションと感情労働に関する意識調査」概要
メール・ビジネスチャットツール・オンライン会議ツールのすべて「使用したことがない/知らない」と回答した人、および調査業・広告代理店業を対象者から除き、令和2年総務省国勢調査をもとに性年代別人口構成比に合わせて割り当て2,000人を対象者とした。さらに職種別・業種別分析のために、各職種・業種ごとに均等回収しながら1,000人追加し、合計3,000人に対して調査を実施した。
なお、本リリースにおいては、分析上、人口構成比に合わせた2,000人を全体値とする。
予備調査(SCR)   本調査  
調査時期 2025年12月2日~12月12日 調査時期 2025年12月8日~12月10日
サンプル数 70,000 サンプル数 3,000
対象者 全国18~69歳の男女 対象者 全国18~69歳の男女
・調査主体:電通総研
・調査会社:電通マクロミルインサイト
・調査方法:インターネット調査
・調査データURL:以下より、本調査レポートをご覧いただけます。
https://societe.dentsusoken.com/wp-content/uploads/2026/03/compass_survey_202603.pdf
 
※グラフ内の各割合は全体に占める回答者の実数に基づき算出し四捨五入で表記しています。また、各割合を合算した回答者割合も、全体に占める合算部分の回答者の実数に基づき算出し四捨五入で表記しているため、各割合の単純合算数値と必ずしも一致しない場合があります。
※全体値(2,000サンプル)の標本サイズの誤差幅は、信頼区間95%とし、誤差値が最大となる50%の回答スコアで計算すると±2.2%となります。
<ご参考資料>
電通総研 QoSセンター
 
2025年4月2日
電通総研と日本ファクトチェックセンター、「電通総研コンパス vol.15 情報インテグリティ調査」結果を発表
 
2025年3月24日
電通総研、「電通総研コンパスvol.14 居場所に関する意識調査」結果を発表
 
■電通総研について https://www.dentsusoken.com
電通総研は、「HUMANOLOGY for the future~人とテクノロジーで、その先をつくる。~」という企業ビジョンの下、「システムインテグレーション」「コンサルティング」「シンクタンク」という3つの機能の連携により、企業・官庁・自治体や生活者を含めた「社会」全体と真摯に向き合い、課題の提言からテクノロジーによる解決までの循環を生み出し、より良い社会への進化を支援・実装することを目指しています。
テクノロジーや業界、企業、地域の枠を超えた「X Innovation(クロスイノベーション)」を推進し、これからも人とテクノロジーの力で未来を切り拓き、新しい価値を創出し続けます。
 
* 本リリースに記載された会社名・商品名は、それぞれ各社の商標または登録商標です。

テクノロジーで企業と社会の進化を実現する株式会社電通総研(本社:東京都港区、代表取締役社長:岩本 浩久、以下「電通総研」)は、2026年3月17日(火)、「電通総研コンパス vol.16 デジタルコミュニケーションと感情労働に関する意識調査」の主なファインディングスを発表します。