障がい者雇用における合理的配慮に関する実態調査
 
レバレジーズ株式会社が運営する障がい者就労支援サービス「ワークリア」( https://worklear.jp/ )は、2016年4月に民間企業の雇用分野における「合理的配慮の義務化」から10年を迎えることを受け、会社員として勤務している障がい者196名を対象に、障がい者雇用における合理的配慮に関する実態調査を実施しました。
 
<調査サマリー>
1.
障がい者の7割超が「職場の変化を感じない」と回答。身体・精神障がい者間で「変化実感の格差」が浮き彫りに
2.
約4人に1人が配慮の相談を「躊躇・断念」の経験あり、上司の理解度や過去の経験が影響か
3.
適切な配慮によって、8割以上が「安定就労や仕事のパフォーマンス向上」を実感
 
1.当事者の7割超が「職場の変化を感じない」と回答。身体・精神障がい間で「変化実感の格差」が浮き彫りに
 現在会社員として勤務している障がい者の方に、現在の職場で提供されている「合理的配慮」に対する満足度を聞いたところ、「満足している*1」と回答した割合は43.9%と、半数を下回りました。
約1割は「提供されている実感がない(8.2%)」と回答しており、改善の余地がある現状が見受けられます。
 
*1 「非常に満足している」「やや満足している」と回答した割合の合計
 
「合理的配慮」が義務化されたことによる変化を感じるかについて調査したところ、7割以上の方が「変化の実感がない(74.0%)*2」と回答しました。
 
障がい種別ごとで比較すると、「感じる*3」とポジティブな変化を実感している方の割合は、身体障がい者が35.3%なのに対し、精神障がい者は22.7%と、障がい種別によって約12%ptの差が開いていることがわかります。
 
*2 「変わらない」「あまり感じない」「全く感じない」と回答した割合の合計
*3 「非常に感じる」「やや感じる」と回答した割合の合計
 
 
2.約4人に1人が配慮の相談を「躊躇・断念」の経験あり、上司の理解度や過去の経験が影響か
 直属の上司の障がいに対する知識や向き合う姿勢について、約6割の障がい者は「知識・理解ともにある(57.2%)*4」と回答しました。一方で、障がい種別ごとにみると、身体障害者のうち「上司は知識・理解ともにある」と回答した方は約7割(70.6%)であるのに対し、精神障がい者では約半数(52.4%)に留まります。
 
*4 「知識・理解ともに十分である」「知識・理解はある程度ある」と回答した割合の合計
 
新たな配慮を求めたい時や困りごとが発生した場合について、約8割は会社側に「伝えられる(75.5%)*5」と回答した一方で、未だ約4人に1人は「躊躇してしまう(18.9%)」「伝えられない(5.6%)」と回答しました。
精神障がい者のうち「躊躇・断念*6」してしまうと回答した方の割合は約3割(29%)となり、身体障がい者が同様に回答した割合(11.9%)と比較すると約3倍にのぼることがわかります。
 
*5 「いつでも気兼ねなく伝えられる」「内容によっては伝えられる」と回答した割合の合計
*6 「あまり伝えられない(躊躇してしまう)」「全く伝えられない」と回答した割合の合計
 
会社に伝えにくいと感じる理由で最も多かったのは、「上司や同僚が忙しそうで、時間を取るのが申し訳ないから(56.3%)」、次いで「過去に伝えても改善されなかった、または嫌な顔をされたから(52.1%)」でした。過去のネガティブな経験が、現在の「伝えにくさ(心理的障壁)」に影響しているケースが見受けられます。
 
3.適切な配慮によって、8割以上が「安定就労や仕事のパフォーマンス向上」を実感
 現在、職場で実際に受けている配慮として最も多かったのは「通院・休暇の柔軟性(54.1%)」となり、半数を超えました。次いで、「業務内容・量の調整(35.2%)」、時差出勤やリモートワークなどの「通勤への配慮(25.5%)」と続きます。
現在の配慮に対し満足している層に対し、「適切な合理的配慮を受けることで仕事のパフォーマンスは変化したか」を聞いたところ、「特に変化はない(17.4%)」と回答した方を除き、約8割が何らかのポジティブな変化を実感していることが分かります。
具体的には、「精神的に安定し、意欲的に業務に取り組めるようになった(54.7%)」や「体調が安定し、欠勤や遅刻が減った(45.3%)」といった働く上での土台が整ったという回答に加え、「ミスが減り、質が向上した(36.0%)」、「業務の生産性・スピードが上がった(27.9%)」といった具体的な成果を挙げる回答が続きました。
 
業務の「質」や「スピード」の向上を実感している割合は延べ6割強(63.9%)にのぼり、適切な配慮が単なる安定就労に留まらず、企業の生産性向上に直結している実態が明らかになりました。
過去に配慮を求めた際の企業の対応に関して、約半数が「真摯に対応してくれた(50.5%)」と回答し、有効な関係を築けていることがわかります。一方で、「形式上だけで真剣に取り合ってもらえなかった(12.8%)」「話すら聞いてもらえなかった(3.6%)」という声も一定数存在し、企業ごとに向き合う姿勢の差が浮き彫りとなりました。
今後、もっと会社に充実・実施してほしい配慮は、現在職場で受けている配慮と同様「通院・休暇の柔軟性(31.1%)」が最多となり、既存の配慮のさらなるアップデートが求められています。また、同率1位に、「周囲の理解促進(31.1%)」がランクインしました。周囲が障がいへの理解を深めることで、職場における働きやすさが向上すると考えている当事者が一定数存在することがわかります。
 
<ワークリア事業部責任者・津留有希子氏からの一言>
 2026年4月で、民間企業の雇用分野における「合理的配慮の義務化」から10年が経過します。また、2024年4月に事業者による合理的配慮の提供が義務化されてからは、2年という節目を迎えます。この節目に実施した今回の調査では、配慮への満足度が半数を下回り、法改正による職場でのポジティブな変化を約7割の方が「実感していない」という、課題の残る実態が明らかになりました。
 
特に精神障がい者においては、身体障がい者と比較して配慮に関する相談を「躊躇・断念」する割合が高い傾向にあります。これには、精神障がいへの上司の理解が十分でないという現状に加え、全回答者の約半数が挙げた「過去のネガティブな経験」といった心理的障壁も深く関与していると推察されます。
今後、企業に求められる配慮は、施設整備などのハード面以上に「周囲の理解促進」といったソフト面へ移行しています。
 
実際に適切な配慮を受けた障がい者の多くから、「意欲の向上」や「業務の質や生産性の向上」といったポジティブな声が聞かれました。環境を整えることは、単なる配慮に留まらず、当事者一人ひとりの能力を最大化し、企業の持続的な成長に直結することを示しています。合理的配慮は、社員が安心して働ける環境を整えるだけでなく、個々の能力を最大化し、企業の持続的な成長に貢献し続けるための重要な鍵であると言えるでしょう。
 
しかし、精神・発達障がいの特性に応じた接し方やマネジメントを現場で迷わず実践できる状態にまで引き上げることは決して容易ではなく、適切に外部の知見を取り入れることが有効であるケースも多く見られます。専門的な知見を持つ「第三者」が、当事者と現場の間で特性を適切に翻訳・調整する役割を担うことは、双方の負担を軽減し、相互理解が進む一助になると考えられます。
 
ワークリアは、当事者と企業の想いを繋ぐ「架け橋」となり、誰もがその人らしい特性を活かして働ける環境づくりを、今後も支援してまいります。
 
 
◆津留有希子氏・プロフィール
ワークリア事業責任者
立教大学コミュニティ福祉学部(社会福祉士取得)卒業後、2020年にレバレジーズへ新卒入社。入社後は、法人営業に従事し、2年目には地方支店の拠点長を歴任。
2023年よりワークリア事業部サービス責任者に。就任後2年間で、レバレジーズの障がい者雇用組織を180%拡大、従業員定着率90.7%*を達成。(*2025年4月時点)
 
<調査概要>
調査対象:会社員として勤務している障がい者196名
・身体障害者手帳を取得している方:51名
・精神障害者保健福祉手帳を取得している方:145名
調査年月:2026年2月5日~10日
調査方法:インターネット調査
回答者数:196名
調査主体:レバレジーズ株式会社
実査委託先:GMOリサーチ&AI株式会社
 
ワークリア( https://worklear.jp/ )
 
ワークリアは、世の中の障がい者雇用を活性化することを目指す、就労支援サービスです。
未経験・就業経験の少ない精神発達障がい者を中心に自社で雇用し、120種類を超える業務を提供しながら一人ひとりの「可能性」を最大限に引き出す体制を整えています。組織規模は直近2年で180%に拡大しながらも定着率は90%*超えを達成。この独自のノウハウを活かし、障がいのある方と雇用する企業双方の負担を軽減するサテライトオフィスの運営や就職支援も行い、持続可能な就労をサポートしています。(*2025年4月時点)
 
 
レバレジーズ株式会社( https://leverages.jp/ )
 
本店所在地 : 東京都渋谷区渋谷二丁目24番12号 渋谷スクランブルスクエア24階 /25階
代表取締役: 岩槻 知秀
資本金  : 5,000万円
設立   : 2005年4月
事業内容 : 自社メディア事業、人材関連事業、システムエンジニアリング事業、システムコンサルティング事業、M&Aアドバイザリー事業、DX事業、メディカル関連事業、教育関連事業
 
社会の課題を解決し関係者全員の幸福を追求し続けることをミッションに、インターネットメディア・人材・システムエンジニアリング・M&Aの領域で国や業界をまたいだ問題解決を行なっています。2005年に創業以来、黒字経営を継続し、2024年度は年商1428億を突破しました。各分野のスペシャリストが集うオールインハウスの組織構成と、業界を絞らないポートフォリオ経営で、時代を代表するグローバル企業を目指します。