NVIDIA Isaacフレームワークとリアルタイム制御スタックの統合により、Physical AIのSim-to-Real Gap解決へのアプローチを提示
リアルタイムソフトウェアベースのモーション制御技術を開発するモベンシス(代表取締役:梁 富好、www.movensys.com)は、同社のPhysical AIリアルタイム実行スタックに関する研究がNVIDIA「GTC 2026」(2026年3月16日~19日、米カリフォルニア州サンノゼ)のポスターセッションに採択され、現地で発表します。
NVIDIA GTCはAI、ロボティクス、デジタルツイン、アクセラレーテッドコンピューティング分野の最新技術と応用事例が共有される世界最大級の技術カンファレンスで、毎年米国サンノゼで開催されています。今年のポスターセッションは過去最大規模の応募が集まり、極めて競争の激しい選考を経て、モベンシスの研究が最終発表テーマとして採択されました。本研究では、Physical AIシステムにおける重要課題であるSim-to-Real Gap問題に対し、リアルタイム制御の観点からアプローチしています。
近年、ロボティクス分野ではNVIDIA JetsonのようなエッジAIプラットフォームと、ロボットファウンデーションモデルを中心とするロボティックAI技術が急速に普及しています。しかし現在の多くのPhysical AIシステムでは、AI推論を実行するGPUベースのコンピューティングモジュールと、実際のロボットモーション制御を担うロボットコントローラが分離された構造になっています。
これらのシステムはEthernetなどのネットワークを介して接続されるため、通信遅延やタスクスケジューリング遅延が発生し、制御ループ全体に大きなレイテンシが生じる構造的な制約があります。その結果、AIの意思決定と実際のロボット動作との間に時間的不一致が生じ、リアルタイム同期が難しくなることで、実環境における動作安定性や追従精度が低下する可能性があります。この問題は、ロボットファウンデーションモデルを基盤とするPhysical AIシステムを実環境に安定して適用する上で重要な技術課題とされています。
モベンシスはこうした構造的な課題を解決するため、ソフトウェアモーションコントローラWMXを基盤とするリアルタイムモーション制御スタック(Real-Time Motion Control Stack)を開発しました。このスタックはEtherCATベースのリアルタイム通信とROS2インターフェースを通じて、NVIDIA Isaacベースのアプリケーション層と実際のロボット制御層を低遅延で接続するリアルタイム実行層(Real-Time Execution Layer)として機能します。
これにより、従来のPhysical AIシステムで分離されていたAI推論層とロボット制御層の間の実行遅延を最小化し、知能と制御を密接に結合した制御構造の実現を目指しています。このアプローチは、ロボットファウンデーションモデルに基づくPhysical AIシステムにおいて、AIの判断を実際の物理世界のロボット動作として安定的に実行するための重要な実行インフラとして評価されています。
特にJetson Orin環境でIsaac Manipulatorを用いた比較実験では、従来の外部ロボットコントローラ構成と比較して、モベンシスのリアルタイム制御スタックにより追従誤差(MAE)が約85%減少する結果が確認されました。これは、ロボットファウンデーションモデルを基盤とするPhysical AIシステムにおいて、知能と実行の間のギャップを縮小するリアルタイム制御層の重要性を示す事例として評価されています。
モベンシスの中核技術である「Soft Motion」は、MITの研究に由来するソフトウェアベースのモーション制御技術であり、現在は半導体製造装置など産業オートメーション分野でグローバル装置メーカーに採用されています。本研究では、この産業用リアルタイム制御技術をロボットファウンデーションモデルベースのソフトウェアスタックと統合することで、Physical AIの実行インフラを構築するアプローチを提示しています。
今回の発表ではさらに、リアルタイム実行スタックを基盤とし、実世界のセンサーデータを活用したファウンデーションモデルのリアルタイム適応型ファインチューニング構造など、今後の技術拡張の方向性についても紹介する予定です。
モベンシスは「Physical AIの時代においては、AIモデルそのものだけでなく、それを現実世界で安定して実行できるリアルタイム実行インフラが重要な要素となる」とし、「産業用制御技術を基盤に、次世代ロボットシステムで活用可能なPhysical AI実行プラットフォームの開発を継続していく」と述べています。
モベンシスは、MIT(マサチューセッツ工科大学)のロボティクス研究を背景に1998年に米国ボストンで創業された、ソフトウェアベースのモーション制御技術を開発する企業です。独自の「Soft Motion」技術を基盤としたソフトウェアモーションコントローラ「WMX」を開発し、半導体製造装置をはじめとする産業機器分野で世界中の装置メーカーに採用されています。現在はそのリアルタイム制御技術をAI・ロボティクス分野へ拡張し、Physical AI時代に対応する次世代ロボットシステムの実行基盤の開発を進めています。会社名:モベンシス株式会社(MOVENSYS Inc.)所在地:〒169-0074 東京都新宿区北新宿二丁目21番1号 新宿フロントタワー20階創業者:代表取締役 梁 富好(ヤン ブホ)電話番号:03-6908-6383メールアドレス:sales.jp@movensys.com事業内容:各種産業装置向けモーションコントロール製品の開発・販売URL:https://www.movensys.com/jp/