前例依存64%増加、上司確認58%増加。働き方改革と業務構造変化の中で、企業の判断経験が減少する構造を分析
企業の82%で、AI時代に必要な「判断経験」が仕事の中で減少していることが明らかになりました
組織行動科学(R)を提供するリクエスト株式会社(本社:東京都新宿区、代表取締役:甲畑智康)は、企業における判断経験の変化について分析した調査結果を公開しました。本分析は、980社・33.8万人の業務経験データを対象に実施したものです。
分析の結果、企業の82%で、仕事の中の判断経験が減少している
ことが確認されました。
 
生成AIの普及により、文章作成や資料作成、情報整理などの業務は急速に自動化されつつあります。
一方で企業の現場では、人口減少による市場縮小や顧客ニーズの多様化により、既存顧客への対応や案件ごとに条件が異なる仕事が増えています。その結果、企業では状況に応じて判断する仕事の重要性が高まっています
 
しかし今回の分析では、AI時代に重要になる 判断力が、企業の仕事の中で育ちにくくなっている構造が多くの企業で生まれていることが明らかになりました。
調査概要
項目 内容
分析対象 : 980社・33.8万人の業務経験データ
対象企業 : 顧客接点業務・現場業務を持つ企業
分析項目 : 判断経験、上司確認頻度、前例依存度、業務構造
調査期間 : 2022年~2025年(業務経験データの定点観測)
分析目的 : 企業における判断経験の変化の把握
分析対象となった業種
今回の分析では、特に 前例がそのまま適用できない業務領域を対象としています。具体的には次のような業種です。
建設・住宅(施工・改修・リフォーム)
設備保守・インフラ保全
医療・介護サービス
技術サービス・設計業務
BtoB営業・提案業務
業務企画・運用設計
現場管理業務 
これらの業種では、顧客・設備・案件など 対象ごとに条件が異なるため、状況に応じた判断が日常的に発生します。
分析対象となった職種
主な対象職種は次の通りです。
施工・工事担当者
保守・設備担当者
医療・ケア従事者
技術設計者
営業・提案担当
業務企画担当
現場管理者 
これらの職種では、
顧客条件
現場条件
技術条件 
などが案件ごとに異なるため、状況に応じた判断が日常的に求められます。
調査結果:企業の82%で判断経験が減少
分析の結果、企業の82%で「仕事の中の判断経験が減少している」ことが確認されました。
今回の分析では、企業の業務経験データをもとに、
判断が必要な業務の頻度
上司確認頻度
前例依存度
業務構造
を分析しました。その結果、次の傾向が確認されました。
分析項目 確認された傾向
判断経験 : 82%の企業で減少(増加 8%、変化なし10%)
上司確認頻度 : 58%の企業で増加(減少 11%、変化なし31%)
前例依存度 : 64%の企業で上昇(減少 13%、変化なし23%)
業務構造 : 判断型業務から前例適用型業務へ移行
背景には、企業の仕事構造の変化があると考えられます。
変化要因 内容
業務標準化 → 前例適用型の業務が増加
マニュアル化 → 判断が手順化
IT化 → システム処理への依存
働き方改革 → 効率化による経験機会の減少
これらの取り組みにより、企業の仕事は、「状況ごとに考える仕事」から「前例を適用する仕事」へと変化しています。
 
今回の分析結果を総合すると、企業の仕事の中では次のような構造的変化が生まれている可能性が示唆されます。
働き方改革や業務効率化
→ 業務構造の変化(前例適用型業務の増加)
→ 前例依存の増加
→ 上司確認の増加
→ 判断経験の減少
つまり企業では、業務効率化が進む一方で、社員が自ら判断する経験が生まれにくい構造が生まれている可能性があります。その結果、AI時代に重要になる判断経験が、仕事の中で生まれにくくなっている可能性が示唆されました。
示唆:AI時代に残る仕事は「判断」
生成AIは現在、
文章作成
資料作成
情報整理
分析 
などの業務を担えるようになっています。
AIが得意なのは、
知識処理
パターン適用
手順作業 
一方でAIが苦手なのは、
優先順位の判断
リスク判断
価値判断
状況判断 
つまりAI時代に企業競争力を左右するのは「判断できる人材」になります。
なぜ判断は育ちにくいのか
企業の教育の多くは 知識教育です。例えば
商品知識
業務手順
システム操作 
などは、「知識 → 説明 → 再現」という形で伝えることができます。
しかし判断とは、
何を優先するか
どのリスクを取るか
どの価値を重視するか
状況ごとに決める行為です。
そのため判断は、知識として教えることができない能力であり、経験によって形成される能力です。
AI時代の人材育成の転換
今回の分析から、企業には次の転換が必要であることが示唆されました。
教育中心の人材育成→ 判断経験の設計
つまり、判断できる人材を待つのではなく、判断経験が生まれる仕事を設計する取り組みが重要になります。
まとめ
生成AIの普及により、企業の仕事は大きく変化しています。その中で企業競争力を左右するのは、「判断できる人材」です。
しかし今回の分析では、企業の82%で「判断経験が減少している」ことが確認されました。
 
AI時代の人材育成では、知識教育だけでは不十分になりつつあります。
企業には、判断経験が生まれる仕事を意図的に設計する取り組みが求められています。
 
つまり企業では、判断が重要になる一方で、判断経験は減少しているという構造が生まれている可能性があります。
■ 会社概要
リクエスト株式会社
コーポレートサイト:https://requestgroup.jp
会社案内:https://requestgroup.jp/corporateprofile
代表取締役 甲畑智康:https://requestgroup.jp/profile
E-mail:request@requestgroup.jp
 
リクエスト株式会社(本社:東京都新宿区、代表取締役:甲畑智康)は「より善くを目的に」を掲げ、33.8万人の働く人のデータに基づいた 組織行動科学(R) を基盤に、7つの研究機関が980社を支援している企業です。
組織行動科学(R)は組織で働く私達の思考と行動が「なぜ起こり」「なぜ続くのか」を事業環境と経験から解明し、より善く再現する手段です。

対象ごとに条件が異なるため、状況に応じた判断が日常的に発生します。

つまり企業では、業務効率化が進む一方で、社員が自ら判断する経験が生まれにくい構造が生まれている可能性があります。