2028年度の制度改革を見据え、制度・環境・意識を変える公益的な共創基盤を始動
不妊治療を取り巻く制度的・社会的な課題が依然として解消されないなか、当事者団体・生殖医療専門家・産業界が協働し、持続可能な支援と制度づくりを進める共創基盤「社会で支える不妊治療共創会議」(以下、本会議)がこのたび発足しましたのでお知らせいたします。
 
2022年の保険適用拡大により、不妊治療は以前よりも選択しやすい医療になりました。一方で、回数や年齢制限といった新たな「制度の壁」が生まれ、必要な治療にたどり着けない、あるいは治療計画そのものを制約されるケースも少なくありません。さらに、通院頻度の高さや診療時間の制約、職場での理解不足などにより、仕事との両立を阻む「社会環境の壁」はいまなお十分に解消されていないのが実情です。こうした複数の壁の狭間で、当事者がさまざまな課題に直面し続けています。
 
本会議は、これらの課題がもはや個人の努力だけで乗り越えられる段階を超えているという危機感のもと、企業の枠を超え、当事者団体および医学界の専門家と協働して設立されました。不妊治療を「個人の孤独な闘い」から、子どもを望むすべての人を社会全体で支えるインフラへと転換することを目的としています。
写真左から:メルクバイオファーマ株式会社 代表取締役社長 ジェレミー・グロサス、ヴィトロライフ株式会社 コマーシャル部門 最高執行責任者 阿木 宜親、医療法人 蔵本ウイメンズクリニック理事長/院長 蔵本 武志、医療法人社団 英ウィメンズクリニック 理事長 塩谷 雅英、JISART 理事長/絹谷産婦人科院長 絹谷 正之、NPO法人Fine 理事長 野曽原 誉枝
「患・学・産」の連携による多角的なアプローチ
本会議は、以下のメンバーが中心となり、公平かつ中立な立場から活動を推進してまいります。
 
●【代表】 野曽原 誉枝(NPO法人Fine 理事長)
●【患:当事者団体】 NPO法人Fine
●【学:生殖医療専門家】
  絹谷 正之(JISART理事長/絹谷産婦人科院長)
 蔵本 武志(医療法人 蔵本ウイメンズクリニック理事長/院長)
 塩谷 雅英(医療法人社団 英ウィメンズクリニック 理事長)
●【産:産業界】 メルクバイオファーマ株式会社、ヴィトロライフ株式会社、株式会社ニコンソリューションズ
 
本会議の最大の特徴は、立場の異なるステークホルダーがそれぞれの強みを持ち寄り、対等な立場で議論を深める「共創」の枠組みにあります。まず「患」である不妊経験者の当事者団体が、日々の生活や治療の中で直面するリアルな課題や切実なニーズを起点に、必要とされる支援のあり方を定義します。そこに「学」として生殖医療のトップランナーである専門家が医学的見地から参画することで、議論の妥当性と質の高さをエビデンスに基づいて担保します。さらに「産」を担う産業界の企業が、具体的な制度設計の提言や、社会への実装を伴う環境整備を推進することで、実効性のある解決策を導き出してまいります。
 
2028年度の制度改革に向けて
今後の活動においては、2028年度の診療報酬改定を重要な政策転換のタイミングとして捉え、提言の具体化と社会実装の両面からの取り組みを加速させてまいります。政策提言の面では、医学的・経済的データに基づき、保険適用範囲の拡大や制度上の課題解消を関係機関に求めてまいります。また、実社会における環境整備として、すでに先進的な企業が実践している「治療と仕事の両立支援制度」や運用の好事例をモデルケースとして整理・可視化し、他企業へ横展開することで、支援の裾野を社会全体へと広げていく取り組みに注力します。
 さらに、不妊治療へのリテラシー向上やプレコンセプションケアの普及といった啓発活動を継続的に行い、誰もが安心して選択できる社会風土を醸成してまいります。
 
主な活動内容
●政策提言の実行:医学的・経済的データに基づき、現行制度(年齢制限、回数制限等)の妥当性を判断の上、改善提案やプレコンセプションケアの推進を働きかけます。
●企業支援制度のモデルの普及:企業における「治療と仕事の両立支援制度」のモデルケースを整理・可視化し、社会全体への波及を目指します。
●リテラシー向上のための啓発活動:妊娠・出産を望むすべての人を支えるため、妊よう性や不妊に関する正しい知識の普及を含むリテラシー向上と、プレコンセプションケアの普及を推進します。
 
「社会で支える不妊治療共創会議」概要
●発足:2026年3月16日
●代表: NPO法人Fine 理事長 野曽原 誉枝
●コアメンバー
 JISART(日本生殖補助医療標準化機関)理事長/医療法人絹谷産婦人科 院長 絹谷 正之
 医療法人 蔵本ウイメンズクリニック 理事長/院長 蔵本 武志
 医療法人社団 英ウィメンズクリニック 理事長 塩谷 雅英
 メルクバイオファーマ株式会社
 ヴィトロライフ株式会社
 株式会社ニコンソリューションズ
●主な活動:不妊治療に係る政策提言、企業における「治療と仕事の両立支援制度」のモデルケースの普及、啓発活動。
●HP:www.fertilitykyousoukaigi.jp
 
■NPO法人Fineについて
NPO法人Fineは、2004年に設立された「“不妊”をもっと“普通に話せること”に」をビジョンに掲げる、現在・過去・未来の不妊体験者を支援するセルフ・サポートグループです。現在、日本では4.4組に1組のカップルが不妊の検査や治療を経験し、生殖補助医療(ART)により誕生する子どもは8.55人に1人(2023年度)に達するなど、不妊は決して「特殊な問題」ではありません。しかし、社会の理解不足から当事者は孤独や深い精神的負担を抱えがちです。Fineは、当事者が社会から孤立せず、正しい情報に基づき納得して治療等の選択ができる環境を整えるため、情報提供、ピア・カウンセリング、当事者同士のネットワーク構築のほか、医療機関や公的機関への提言など、多岐にわたる活動を展開しています。
https://j-fine.jp/
 
■一般社団法人JISART(日本生殖補助医療標準化機関)について
不妊治療を専門とする全国27のクリニックからなる一般社団法人です。2003年3月、ご夫婦に「安心と安全と満足を実感して頂ける生殖医療を提供する」という崇高な理念のもと設立されました。独自の厳格な基準に基づく相互施設審査を通じ、生殖医療の継続的な質的向上と安全性確保に努め、ご夫婦の夢を叶えるための支援を行っています。
https://jisart.jp/jisart/
 
■メルクバイオファーマ株式会社について
メルクバイオファーマ株式会社は、ドイツ・ダルムシュタットに本社を置くMerck KGaAの日本法人です。2007年10月1日に発足し、がんと不妊治療を重点領域とするバイオ医薬品企業です。『Brighter Lives, Together ともに、より輝かしい人生を歩もう』という日本のパーパスのもと、『患者さんのために一丸となって、私たちは生命の誕生、QOLの向上、命をつなぐサポートをする』というグローバル・パーパスを達成するため、患者主導のアプローチを推進しています。詳しくは、 https://www.merckgroup.com/jp-ja/company/merckbiopharma.html  をご覧ください。
 
■ヴィトロライフグループについて
ヴィトロライフグループは、スウェーデンに本社を置く不妊治療領域で培養関連製品、医療機器、および遺伝子検査サービスを手掛ける世界的リーディングカンパニーです。同社はタイムラプス技術を用いたEmbryoScopeシリーズなど、胚発育を連続観察できる先進的インキュベーターを開発し、より精度の高い胚評価と治療成績向上に貢献しています。また包括的な遺伝子検査ポートフォリオにより、治療前・治療中・治療後の生殖医療をサポート、同社のミッションである「健康な赤ちゃんを授かるという人々の夢を叶える」を使命に、多岐に渡る製品やサービスを提供し続けています。
https://www.vitrolife.com/ja-jp/
 
■株式会社ニコンソリューションズについて
株式会社ニコン の子会社である株式会社ニコン ソリューションズは、 ニコンのコア技術である光利用技術と精密技術を活かしたソリューションを提供する企業です 。 ものづくりの最前線を支える「産業機器事業」、科学技術 や生殖医療補助技術 の発展に寄与する「バイオサイエンス事業」、医療へのさらなる貢献を目指す「眼科機器事業」の3つの事業分野において、お客様の顕在・潜在的な課題を解決する最適なソリューションを提供し、豊かな社会の実現に貢献します。
https://www.nsl.nikon.com/jpn/