~相談者の94.5%が広告を認知。「借金減額診断」の広告表現、債務整理相談のあり方に注意を喚起~
多重債務の深刻化
近年、借金問題を取り巻く状況は確実に変化しています。
2025年12月には、共同通信社により、多重債務者が急増している状況と、これを踏まえ金融庁が実態解明に向け調査を開始する姿勢であることが報道されました。かかる状況の背景には、物価上昇や生活費の増加など、家計を取り巻く社会経済環境の変化があると指摘されています。
また、昨年末に当事務所が実施した借金の原因に関するアンケート調査においても、借入のきっかけとして、ギャンブル・失業の他、病気や奨学金返済など多様な理由が挙げられています。
借金問題は、もはや特定の人に限られた問題ではありません。社会環境の変化の中で、誰もが直面し得る現実的な社会課題となりつつあります。
 
・共同通信(Yahoo!ニュース掲載/2025年12月6日掲載)
多重債務者急増、147万人 金融庁調査、物価高影響か
URL :https://news.yahoo.co.jp/articles/5e97e7e7383d2352d009d2aa5657deb891af69ab
 
・2025年男女別「借金のきっかけ」アンケート(アディーレ調べ)
URL :https://www.official.adire.jp/pressroom/news/20260313/
 
SNSで拡大する「借金減額診断」広告
こうした借金問題を取り巻く状況の中、SNS上では、「借金減額診断」「借金減額シミュレーター」などを掲げたウェブサイトが、短い動画広告を通じて広く宣伝されるようになっています。
SNSの利用者は、こうした動画広告をきっかけに、リンク先の広告サイトに誘導される構造に日常的に接しています。
しかしながら、「借金減額診断」「借金減額シミュレーター」(以下、「借金減額診断等」といいます)などの広告は、手軽に借金が減るかのような印象を与えて利用者の関心を集める一方で、「借金減額診断等」の広告をきっかけとした債務整理の契約内容や手数料負担の問題が指摘され、複数のメディアで報道がなされるようになりました。
 
【参考報道】
・毎日新聞ニュースサイト
手数料で返済減らず 債務整理巡るトラブル ネット広告被害に警鐘
URL :https://mainichi.jp/articles/20260125/k00/00m/040/048000c
 
・読売新聞オンライン
不適切な債務整理の実態にする記事
URL :https://www.yomiuri.co.jp/national/20251003-OYT1T50077/
 
借金問題は、任意整理、個人再生、自己破産といった手続きの中から、個々の事情を踏まえて適切な方法を選択して解決を図るものです。そのため、法律専門家による的確な判断と、本人に対する十分な説明が不可欠です。
これらの報道でも、「借金減額診断等」の広告を入口とした債務整理の契約において、利用者が十分な説明を受けないまま契約に至るケースなどが指摘されています。
 
弁護士業界でも問題視される広告手法
多重債務が社会課題として再び注目されつつある中、債務整理に関する広告や情報提供のあり方は、利用者の理解や判断に直接影響する重要な問題となっています。
こうした背景を踏まえ、弁護士業界としても、近年、「借金減額診断」などの表現を伴う広告について、誇大広告や、誤認のおそれのある広告に当たる場合があるとされるなど、その広告手法が問題視され、弁護士広告に関するルールの改定も行われています(日本弁護士連合会「弁護士等の業務広告に関する規程」及び「業務広告に関する指針」が改定され、一部を除き2026年4月1日に施行されます)。
そこで、アディーレ法律事務所では、SNS等を通じて広まっている「借金減額診断等」広告の認知状況や利用実態について、債務整理の相談者を対象としたアンケート調査を実施しました。
 
相談者アンケートによる「借金減額診断」広告の実態調査
借金相談者の94.5%が広告を認知
アディーレ法律事務所では、SNS広告の実態を把握するため債務整理の相談者を対象に、「借金減額診断等」広告に関する認知状況および利用実態についてアンケート調査を実施しました。
その結果、回答者の94.5%が「借金減額診断等」に関する広告を見たことがあることがわかりました。
これは、借金問題の相談者の大多数が、SNS広告などを通じて当該広告に接触している実態を示す結果といえます。
 
相談過程における聴取・説明の問題が示唆される結果
一方で、「借金減額診断等」広告の「減額診断」を利用後の相談過程についても複数の設問を設けたところ、
借金減額診断後に電話連絡をしてきた事務所の名称を「覚えていない」と回答した人が約61.4%
借金減額診断を利用した人のうち、弁護士または司法書士と直接話をしていないと回答した人が約46.5%
借金減額診断をきっかけに契約に至った人のうち、手続きの不利益事項の説明を受けていないと回答した人が約51.7%
という結果となりました。
借金問題の解決を目的とする債務整理は、借入状況や生活状況等によって適切な手続きが異なり、債務整理に伴う不利益事項もあるため、法律専門家による的確な判断と十分な説明が必要です。
日本弁護士連合会の「債務整理事件処理の規律を定める規程」(債務整理規程)でも、弁護士が相談者の事情を十分に把握したうえで、事案に即した処理方針を判断し、不利益事項を含む重要事項を説明することが求められています。
債務整理規程は、弁護士が債務整理事件に関わる場合の職務のあり方を定めた重要な規律です。
今回のアンケート結果からは、借金減額診断を入口とした法律相談において、弁護士や司法書士による聴取や説明が十分に行われていない可能性があることもうかがわれました。
 
調査概要
調査対象: 2025年1月~12月に、当事務所の債務整理相談を受けた方有効回答数:2848人
調査方法:調査対象者に対し、SMSにてWebアンケートURLを送信し(SMS送信拒否者を除く)、調査期間内に回答を得たものを集計
調査期間:2026年2月25日~2026年3月5日
実施主体:アディーレ法律事務所
調査結果の詳細や「借金減額診断等」広告の実態については、特設サイトにて公開いたします。
アンケートを掲載している特設サイトはこちら
URL:https://www.adire.jp/debtsimulator-warning/
 
借金問題に向き合う法律事務所として
アディーレ法律事務所は、借金問題に直面する多くの相談者と日々向き合っています。
その現場において感じるのは、借金問題を解決する手段である債務整理に関する情報が、必ずしも適切な形で社会に届いているとは限らないという現実です。「借金減額診断等」にみられるような誤解を招きかねない広告表現の広がりや、法律専門家に求められる役割が十分に果たされていない事態があれば、是正されなければなりません。これらの問題について注意を喚起し、適切な情報を周知することは、私たちの重要な責務であると考えています。
 
「債務について考える日」の制定と「借金減額診断」広告に関する注意喚起
こうした問題意識を踏まえ、アディーレ法律事務所は、3月16日を、すべての人が借金に関する正しい知識と判断について考えるきっかけの日とすべく、「債務について考える日」と制定しました(一般社団法人日本記念日協会認定)。
借金問題は、決して特別な問題ではありません。社会環境の変化の中で、誰もが直面し得る身近な課題となっています。だからこそ、借金問題に悩む方が正確な情報に接し、適切な相談先につながる環境を整えることが重要です。
当事務所では、「債務について考える日」にあわせ、SNS上でもよく見られる「借金減額診断等」広告に関する注意喚起の取り組みを実施します。
当事務所は、特設サイトを公開し、アンケート調査の詳細結果を掲載するほか、「借金減額診断等」の仕組みや注意点、広告によって生じ得る誤解など、利用者が正確な情報に基づいて判断できるよう情報を集約していきます。
特設サイトURL:https://www.adire.jp/debtsimulator-warning/
 
また、SNSや動画コンテンツなどを通じた情報発信も行い、借金問題について社会全体で考える契機を広げていきます。
アディーレ法律事務所は、借金問題に向き合う法律事務所として、債務整理に関する社会的理解を広げるとともに、利用者が安心して適切な相談先につながるための環境づくりに取り組んでまいります。
 
代表弁護士コメント
今回の調査結果で最も重く受け止めるべきなのは、「借金減額診断等」広告を入口とした相談過程の中で、弁護士や司法書士と直接話をしていない、重要事項の説明を受けていないといった回答が一定数存在している点です。
債務整理は、借入状況や生活状況などを踏まえ、任意整理・個人再生・自己破産といった手続の中から適切な処理方針を選択しそれを遂行することで、借金の返済負担の軽減を図り、相談者の生活再建を目指すという、重要な法律業務です。
そのため、弁護士等の法律専門家が、相談者の事情を十分に把握したうえで、専門的知見に基づき適切な方針を判断し、見通しや不利益事項を含めた十分な説明を行うことが求められます。
今回の調査結果は、「借金減額診断」といった広告表現の問題にとどまらず、債務整理に関する法律相談の過程が、果たして適切に機能しているのかという問いを業界全体に突きつけるものだと考えています。
アディーレ法律事務所は、これまで数多くの借金問題ご相談に対応してきた法律事務所として、債務整理は、相談者の生活再建や人生設計に深く関わるものであり、極めて重い責任を伴う業務であると考えています。だからこそ、この責任を軽視するような実態がもし存在するとすれば、決して見過ごしてよい問題ではありません。
アディーレ法律事務所はこの問題に正面から向き合い、今後も議論を深めていきたいと考えています。
代表弁護士:鈴木淳巳(愛知県弁護士会所属)
 
【アディーレ法律事務所について】
法人名称:弁護士法人AdIre法律事務所(第一東京弁護士会所属)
代表弁護士:鈴木淳巳(愛知県弁護士会所属)
本店所在地:〒170-6033 東京都豊島区東池袋三丁目1番1号 サンシャイン60
URL:https://www.official.adire.jp/
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