NPO法人ZESDA(日本経済システムデザイン研究会)は、本年 設立15周年 を迎えます。これまで支えてくださった皆様に、心より御礼申し上げます。
 
ZESDAは、地方の中小企業・地域産業が海外市場に踏み出すための「グローカルビジネスのプロデュース」を、パラレルキャリアの仲間とともに地道に積み重ねてきました。
 
最初の5年は手探りでした。人口減少で国内市場が縮みゆく日本、他方で世界には中産階級が30億人以上。ならば、大企業だけではなく、地方の中小企業が外貨を自力で稼ぐことが普通にならなくては、雇用も安全保障も民主主義すらも持続しない。それには海外や都市のビジネスパーソンが地方に伴走しなくてはならない。伴走は長くかかる。採算は合わない。営利では難しい。 しかし、閉塞感を抱えながらも転職や起業には踏み切れない、副業禁止の組織に勤めるサラリーマンの新しい自己実現の受け皿となることも兼ねられたならうまくいくかもしれないーーー。今なら多少言語化できますが、当時はただがむしゃらに渋谷の日本経済大学をお借りしては、素晴らしい先輩達を講師にお招きしてワークショップを開いては仲間を集めて、とにもかくにも、何かを練っていました。それはプロデュース的な何かなはずなのだと感じるがまま、「プロデューサーシップ」という造語を掲げて商標登録はしつつも、それはいったい何を意味するのか、なんらはっきりと掴めてもいませんでした。
 
次の5年で、今の活動の原型が見えてきました。能登やサクラコレクションといった具体的なプロジェクトが始まりました。この人は素晴らしい。この人のやってることは素晴らしい。この人を助けたい。この人のプロジェクトを助ければ、地方が外貨を自力で稼ぐ日本に近づく。ワークショップや個別のコンサルティングやマッチング活動を重ねる中で、心から尊敬できる人々との出会いがありました。多田喜一郎、木下彰二、田畑則子、、、男の中の男、女の中の女です。我々に何ができるだろうか。 敬服と共感に衝き動かされる自然な心の動きを大事にして、御用聞きから人材紹介や情報提供、販路開拓、イベント企画、資金集めなどなど、できることからカタチにし始めました。海外や都市のコネやチエを注ぐ「プロデュース」事業の始まりです。もちろん、注ぐコネとチエが弾切れしてもいけません。ワークショップも開催し続け、コネやチエを集めていくカレッジ事業との車の両輪が噛み合って回り始めました。明治大学の奥山雅之教授、研究・イノベーション学会、宇野常寛氏率いるPLANETSや愛宕ロータリークラブなどなど、様々な外部団体との中長期のコラボレーションも始まりました。
 
直近の5年では「型」がある程度完成したかもしれません。グローカル、プロデュース、パラレルキャリアの3つの軸に活動が収斂しました。カレッジ事業ではワークショップを重ねた考察の成果をまとめて「グローカルビジネスのすすめ」「プロデューサーシップのすすめ」を上梓しました。理論と事例の絡み合う我らがグローカル・プロデュースの金字塔です。最近は他学会や大学、企業等での講演依頼も増えました。グロービス知見録にも「「コネ・カネ・チエ」のキャリア戦略」なる動画が配信されています。プロデュース事業でも、ある種のノウハウが固まり、馬路村や奄美やアクアリピュアなど横展開が進み、プロジェクトの数も増えました。一騎当千のシニアプロデューサーをはじめとするボランティアスタッフも100人規模に増え、ニューヨーク、パリ、ロンドン、シンガポール、ロサンゼルス、デュッセルドルフ等の海外拠点も出来ました。
 
思えば遠くへ来たものです。当初の想定通りのこと、想定以上のこと、まだまだ実現できてないこと、様々ありますね。万感が胸を去来します。
 
現在、ZESDAの活動実績はZESDA通信にて毎月発信しておりますが、以下に2025年の実績を簡単にご報告します。
 
■ プロデュース事業概況
 プロデュース事業では、グローカルビジネスに取り組む各地のリーダーらを支援しています。各プロジェクトの概要は見出しのリンク先をご参照ください。
 
馬路村プロジェクト(高知県馬路村)
2025年は、都心でのPRや企画づくりを重ねつつ、ゆず畑で一日限りの屋外レストラン「ゆずフルコース in 馬路村」の開催支援まで実装が進みました。さらにZESDAが繋いだYoutuberによる海外向け発信も驚異的なPV数を稼ぎ出しており、馬路村の「体験価値」を磨き上げています。
ゆず畑で一日限りの屋外レストラン「ゆずフルコースin馬路村」を開催
豊洲千客万来「えんぎもの」で馬路村のゆずをPR
浄水剤(アクアリピュア)プロジェクト
社会的評価の獲得と、発信・展示の場づくりを両輪で進めました。ニューズウィーク日本版SDGsアワード受賞、および 「ぼうさいこくたい」での発信などを通じ、プロダクトの意義を社会に伝える機会を拡張しています。また大地震に苦しんだトルコにも進出を果たしました。
アクアリピュアがニューズウィーク日本語版SDGsアワード2024社会部門賞を受賞
「備蓄から生成へ」ぼうさいこくたい2025でアクアリピュアを発信
奄美プロジェクト(AMAMIバリュープロデュース等)
2025年は、展示会出展等を通じて販路開拓を進める一方、バニラ栽培も奄美初の花芽を確認そして初めての収穫を迎えました。奄美初のバニラ出荷まであともう少しです。
奄美初となったバニラの花芽
展示会で奄美産バニラの取組をPR
Glocal Collaborationプロジェクト(伝統工芸×海外県人会)
海外の県人会ネットワークと職人をつなぐ取り組みを継続し、意見交換会を起点として、天明鋳物のレセプション出展など“次につながる出口”を作りました。事実、2026年のルクセンブルグにおける天皇誕生日レセプションへの出展も予定されています。
天明鋳物を天皇誕生日レセプションに出展
ルクセンブルク大使公邸で開催された天皇誕生日レセプションで三川内焼をPR
・Deep Talk プロジェクト
2025年に起動した新しいプロジェクト。ZESDAがプロデュースするベンチャー企業にて、AI翻訳等を活用し「誰もが日本文化の語り手になれる」新サービス「Deep Talk」の立ち上げを推進。その第一歩として、訪日観光客に伝えたい日本文化や体験設計のヒントを集めるアンケートやインタビューの実施をサポートしました。
 
■ カレッジ事業概況
 カレッジ事業では、日々のネットワーキングのほか、3つのセミナー・シリーズを運営しています。それぞれ、ZESDAの活動のコア・コンセプトである「グローカル」「プロデュース」「パラレルキャリア」をテーマにしています。内容の一部はYouTubeで公開しています。
 
グローカル・ビジネス・セミナー(GLBS)は、地方の海外進出のケースを学ぶセミナーです。明治大学奥山雅之研究室と共催しています。
 2025年は計3回開催し、越境EC・海外クラウドファンディング・海外ジャパンフェスという異なる入口から、「海外に出るための実務」と「勝ち筋の見立て」を深掘りしました。
 - 第30回(2025/3/6):世界へボカン(株)代表の徳田祐希氏を講師にお招きしより、越境EC/海外Webマーケの基礎から、市場の見立て、集客・改善の勘所までを体系的に学びました。
 - 第31回(2025/5/14):Kickstarter公認Official Expertで(株)Gaku代表の中村岳人氏を講師にお招きし、海外クラウドファンディングの最新動向、売れた事例の共通点、失敗の落とし穴まで、具体事例を交えて学びました。
 - 第32回(2025/9/4):NYで年間100万人規模の「JAPAN Fes」を主催するJforward Inc.のドラゴン山本(山本竜也)氏をお招きし、ジャパンフェスを“海外挑戦の足がかり”にする発想、成功の鍵となる要素等を、実体験ベースで学びました。
越境ECや海外Webマーケティングの勘所を説明する徳田祐希講師
ジャパンフェスの事例から海外挑戦を成功させる要素を解説するドラゴン山本講師
 
プロデュース人材育成講座(PSRi)は、イノベーターに必要な資源を注ぐ構造を整えるプロデュース人材の活動について、ケースや理論を学ぶセミナーです。研究・イノベーション学会プロデュース研究分科会と共催しています。
 2025年は計2回開催し、「自治体×スタートアップ×地域企業の共創をどう設計するか」と「ディープテック創業を支える知の創造をどう組み立てるか」という、現場性の高いテーマを扱いました。
 - Vol.14(2025/7/30):「職人技×スタートアップの交差点をプロデュース」。墨田区産業振興課の高梨泰幸氏、デロイト トーマツ コンサルティングの宮内良平氏を講師に迎え、墨田区が主導する産業共創施設 SUMIDA INNOVATION CORE(SIC) を題材に、公共側が三者連携を“仕掛ける”際の論点(構想~立上げ~運営)を深掘りしました。
 - Vol.15(2025/10/31):「グローバル・スタートアップ・キャンパス(GSC)構想の目指すもの」。内閣官房GSC構想推進室 室長代理の橋本真吾氏を講師に迎え、ディープテック領域で研究開発から創業・成長・国際展開までを一気通貫で支える構想の全体像と、実装上のボトルネックを議論しました(会場:TiB)。
 
墨田区が主導するSICを核とした公共×スタートアップ×地域企業の連携を紹介する高梨泰幸講師と宮内良平講師
世界最高水準のイノベーション・エコシステムの構築を目指すGSC構想について説明する橋本真吾講師
ZESDA Stand UP Live(ZSUL)は、パラレルキャリアに取り組む人々から、等身大の実践経験を学ぶセミナーです。
 2025年は計2回開催し、「自分の価値観をどう作るか」「逆境をどう戦略に変えるか」という、働き方の実装知を掘り下げました。
 - #10(2025/6/24):ZESDA事務局次長(現デュッセルドルフ支局長)の本田秀一が登壇。「成長が前提になりがちな社会」で、仕事・家庭・本業の枠を越えて自分の価値観を整え、人生を豊かにするための“パラレルキャリア生存戦略”を、具体的な経験に基づいて共有しました。
 - #11(2025/11/20):凜ハナ塾主宰の是藤華恵氏を講師に迎え、難病を経験しながら起業し、NYコレクションのランウェイを歩むに至った実体験から、「諦めないマインドセット」をビジネスとキャリアに落とし込む方法、内面と外見を磨きながら可能性を最大化する具体策を学びました。
内面と外見を磨きながらキャリアの可能性を最大化する戦略を紹介する是藤華恵講師
「成長って必要ですか?」から考える、わたしのパラレルキャリア生存戦略を本田秀一事務局次長(現デュッセルドルフ支局長)からプレゼン
 
■ 2026年のZESDA:全ての人が外貨を稼げる日本へ
さて、2026年からのZESDAは、こうして15年で培った「コネとチエ」を、さらなる具体的な成果に変えながら、「全日本国民がコネとチエでカネを稼ぐ」ことへの、より広範で具体的な参加を呼びかけていきます。
 
目下、円安を背景に、輸出企業を中心に株価は上昇し、景気は良いように見えます。他方でエネルギーコストの上昇等が著しく、物価上昇に賃金上昇がついて行ってない状況です。
 
当然ですが、収入を増やさなければ貧しくなります。世界経済はずっと成長してきています。市井に生きる一般の日本国民だって、この成長ともっと接続したっていいんじゃないでしょうか。
 
外貨を稼ぐ挑戦は「特別な誰か」だけのものではありません。
 
その象徴的な新展開として、2026年1月、米国ロサンゼルスに倉庫を構えた物流とデジタルマーケティングを強みとする 株式会社Glowkeyとの業務提携を発表しました。戦略立案だけでなく、現地での入庫・保管・出荷まで踏み込んだ「実務一気通貫」の支援体制を整え、地域産品の北米本格進出を後押しします。ZESDAのメルマガを受信するコミュニティの方々には、同社から成功報酬型の紹介料が得られる仕組みを提供することを開始しました。
 
日本の豊かさは、もはや一部の大企業や都市だけが担うものではありません。
一人ひとりの「コネ」と「チエ」が世界とつながるとき、日本は内向きの停滞社会から、外に価値を届けて稼ぐ国へと変わっていきます。

ZESDAは2026年も、日本の経済システムのリデザインに向けて、前進していきます。
みなさま、引き続きご注目ください。

直近の5年では「型」がある程度完成したかもしれません。