授賞式、哲学者・鷲田清一氏による記念講演会《「しんがり」の心構え ―地域社会と「私」》も開催
姫路市制百周年を記念して創設され、今年度で第38回を迎える和辻哲郎文化賞の受賞作が決定いたしました。
和辻哲郎の誕生日である3月1日に授賞式・記念講演会を開催します。
賞の概要
姫路市制百周年と姫路出身の哲学者和辻哲郎(明治22から昭和35)の生誕百年を記念して、昭和63年度に姫路市が創設。和辻哲郎の幅広い学的業績を顕彰し、和辻哲学の今日的意義を国の内外にわたって探るとともに、研究者の育成かつ市民の文化水準の向上に資するために設けられました。
一般部門
和辻哲郎が文学、歴史、芸術などさまざまな領域において横断的かつユニークな著作を世に問い、広範な読者に訴えかけたスケールの大きな学者であったことを鑑み、文化一般におけるすぐれた著作に与えられます。
学術部門
和辻哲郎が専門とした哲学、倫理学、宗教、思想、比較文化といった領域での学術的水準を備えた、すぐれた研究に与えられます。
一般部門受賞作
『帝国の書店 ―書物が編んだ近代日本の知のネットワーク』
名古屋大学大学院人文学研究科教授 日比 嘉高 著
2025年8月7日刊 岩波書店
日比嘉高氏
日比嘉高氏 受賞のことば
町の本屋がどんどんと姿を消していく時代に、本屋をめぐる書籍で賞を賜ることになりました。『帝国の書店』は、植民地支配や移民送出をともなう日本の近代の歩みの中で現れた、台湾や朝鮮、満洲、中国、樺太、北南米、南方における小売書店、そしてその店に本や雑誌を運んだ取次業者の歴史を追ったものです。個別の書店について掘り下げて調査すると同時に、環太平洋を駆けめぐった書物のネットワーク全体を俯瞰するよう心がけました。研究の過程では、可能な限りかつて書店があった海外の町に足を運び、跡を訪ねました。 調査と出版にあたって、多くのみなさんに助けてもいただきました。今回幸運にも、和辻哲郎文化賞という輝かしい歴史をもつ賞を受賞することができました。私の研究プロジェクトを支えて下さったすべての人と共にこの受賞の喜びをわかちあい、本と本屋を愛する多くの人たちにもこれを祝っていただければ幸いに思います。
選考委員
辻原 登(作家)
山内 昌之(東京大学名誉教授)
ロバート キャンベル(早稲田大学特命教授)
応募点数
107点
学術部門受賞作
『レヴィナスのユダヤ性』
立教大学文学部教授 渡名喜 庸哲 著
2025年2月20日刊 勁草書房
渡名喜庸哲氏
渡名喜庸哲氏 受賞のことば
この度は、栄ある和辻哲郎文化賞をいただくことができ、大変光栄に思っています。本書が扱うエマニュエル・レヴィナスという哲学者は1906年生まれで、和辻とは一回り以上も離れ面識はありませんが接点はあります。和辻と同じ1920年代にレヴィナスもドイツに留学しハイデガーに師事します。和辻が『風土』をはじめ西洋思想の枠に収まらない日本性を意識したのに対し、レヴィナスは自らの出自の「ユダヤ性」にこだわりました。私自身は西洋思想をメインに研究をしていますが、この問題が気がかりでした。 長年のその研究をまとめたのが本書です。一般受けしにくい主題ですが、このたび望外の評価をいただき、後押しをいただいた気持ちでおります。20世紀のユダヤ人の経験をめぐる問題は、はからずも現在の世界情勢のなかで再び注目されてきています。哲学研究が混迷する現代社会を理解する一助となればとの思いを新たにする次第です。
選考委員
清水 正之(聖学院大学名誉学長)
野家 啓一(東北大学名誉教授)
関根 清三(東京大学名誉教授)
応募点数
72点
授賞式・記念講演会の開催について
和辻哲郎の生誕日3月1日にちなんで、3月第1日曜日に式典と記念講演会を開催。
日時
令和8年3月1日(日曜日) 午後1時30分から午後4時00分まで
1.
第1部 式典
一般部門選考評 ロバート キャンベル
学術部門選考評 関根 清三
2.
第2部 記念講演会
講師 鷲田 清一(哲学者)
演題 「しんがり」の心構え―地域社会と「私」
会場
姫路市市民会館 大ホール
申込方法
姫路文学館HPの申請フォームか往復はがき(1人1枚)のどちらかで、郵便番号、住所、氏名、電話番号、「第38回和辻哲郎文化賞授賞式参加希望」を明記のうえ、姫路文学館(〒670-0021 姫路市山野井町84番地)まで。
返信はがきには、申込人様の宛名を必ずご記入ください。
車椅子席や手話通訳などのご希望があれば、申し込み時にお知らせください。
姫路文学館ホームページ
姫路文学館
〒670-0021 兵庫県姫路市山野井町84番地
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