三菱UFJ信託銀行株式会社(東京都千代田区、取締役社長:窪田 博)は、この度不動産マーケットリサーチレポートVol.285「リース会計新基準がリースの貸手や不動産市場に与え得る影響」を発行しました。

2027年4月以降に開始する事業年度から、リース取引の新たな会計基準(企業会計基準第34号。以下「新基準」)が本格適用されます。これに伴い、借手には下図のような行動変容が想定されます。

(詳細は三菱UFJ信託銀行 不動産マーケットリサーチレポートVol.268「リース会計新基準が企業の不動産戦略に与え得る影響」参照)

貸手の会計処理に大きな変更はありませんが、本レポートでは、このような借手の行動変容を踏まえ、間接的に貸手や不動産市場に与える影響を整理しています。

1.収益変動性の上昇契約短期化や解約条項の柔軟化により、貸手の収益が不安定になる可能性2.資産評価・運用戦略への影響収益の変動が資産評価に影響。REITやファンドにおいては投資家からの評価や資金調達の観点から契約期間の長短のバランスがより重要に3.契約の交渉・管理コストの増加契約条件の多様化・複雑化により、交渉や管理業務の負担が増加4.不動産開発・投資判断への影響契約期間や契約条件が、従来以上にテナント選定の判断軸に5.テナントの与信判断や契約更新時のリスク評価テナントの財務情報の透明性向上により、さらに適正なリスク評価が可能に

資産評価・運用戦略への影響収益の変動が資産評価に影響。REITやファンドにおいては投資家からの評価や資金調達の観点から契約期間の長短のバランスがより重要に

不動産開発・投資判断への影響契約期間や契約条件が、従来以上にテナント選定の判断軸に

1.契約類型による会計処理と事業戦略への影響パススルー型、賃料保証型それぞれに応じた会計処理が必要サブリース会社の利益率、ヘッドリースオーナー(原資産の貸手)のニーズも踏まえた戦略が重要に2.転借人(エンドテナント)のニーズの変化とサブリース会社の対応サブリースの貸手として、転借人の行動変容への対応が必要

契約類型による会計処理と事業戦略への影響パススルー型、賃料保証型それぞれに応じた会計処理が必要サブリース会社の利益率、ヘッドリースオーナー(原資産の貸手)のニーズも踏まえた戦略が重要に

現時点では、借手の具体的な動きや対応はまだ見られませんが、会計処理のみならず、税務上の取り扱いやキャッシュフローへの影響も踏まえた総合的な判断が求められると思われます。 借手が資本市場や投資家からの評価を意識し、投資効果や資産効率性をより厳しく見極めていく姿勢は今後も続くと想定されるため、その行動に変化がないか、借手の行動変容に伴い貸手や不動産市場へどのような影響が生じるか、引き続き注視が必要です。

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三菱UFJ信託銀行 不動産コンサルティング部