1980年代前半、日本のポップス・シーンに彗星のごとく現れた女性コーラス・バンド、Sugar。代表曲「ウエディング・ベル」に象徴される透明感あふれるコーラスと、率直で時に鋭い感情表現のコントラストは今なお語り継がれていますが、Sugarが残した全オリジナル・アルバム4作品をあらためて聴き直すと、高度なコーラスワークを基盤にした洗練されたサウンドと、その“早すぎた先進性”が鮮明に浮かび上がります。
その進化は、各アルバムを通してより立体的に見えてきます。デビュー作『Sugar Dream』ではラテンフュージョンバンド、カリオカのメンバーを中心とした演奏陣による洗練されたアンサンブルとコーラスが融合し、続く『COFFEE BREAK』ではさらにフュージョン色を強めてスケールアップ。『Sugar Bean』では原田真二、越美晴、山梨鐐平ら外部ブレーンの参加と瀬尾一三の編曲によって音楽性を拡張し、最終作『29:00 AM』では初期・松田聖子作品のプロデュースで現在海外からも再評価の高い小田裕一郎のプロデュースと入江純の全編曲により、80年代デジタル・ファンクの意欲と完成度を併せ持つ作品へと結実しました。
AORやボサノヴァの要素を柔軟に取り入れたシティポップ的なアレンジ、浮遊感のあるシンセサウンド、軽快なカッティングギターは、現代のVaporwaveやFuture Funk的感性とも親和性が高く、Sugarの音楽が80年代のポップスであると同時に、時間を経て2020年代のリスナーにも自然に届く普遍性を備えていることを示しています。