成長実感が高い社員ほど「承諾」割合が高い
累計20,000社460万人以上の組織開発・人材育成を支援するALL DIFFERENT(オールディファレント)株式会社(所在地:東京都千代田区 代表取締役社長:眞崎大輔)および「人と組織の未来創り(R)」に関する調査・研究を行うラーニングイノベーション総合研究所(R)は、2025年10月に中堅社員*800人を対象に意識調査を行いました。本リリースではその中でも、管理職以外のキャリアを望む中堅社員750人に焦点を当て、価値観を分析した結果を公表いたします。
*本リリースでは、社会人5年目以上15年未満、役職に就いていない社員を指す。「ミドルキャリア」とも記載
 
背景
管理職への昇進は、ビジネスパーソンのキャリアで重要な転換点の1つです。しかし近年、管理職の負担感に注目が集まり「管理職になりたい」と明確に目指す中堅社員は減少傾向にあるといわれています。また、キャリアの多様化やキャリア自律の重要性が高まっており、画一的なキャリアパスからの脱却を目指す企業が増えています。
 
人材やキャリアの多様性は企業の成長にとって重要な要素です。一方、管理職という役割は成果創出の要であり、より多くの中堅社員がそのポジションを目指し、切磋琢磨して成長する職場文化が生まれれば、組織全体のさらなる進化が期待できます。
 
そこで、本調査では管理職以外のキャリアを望む中堅社員について、将来へのビジョンや今までの経験、職場の環境といった様々な切り口から、管理職を打診された場合の受け取り方を分析しました。
調査結果の詳細
1.管理職志向以外のミドルキャリア、管理職を打診されたら8.3%が「承諾」、約3割は「辞退」
初めに、管理職志向以外のミドルキャリア(将来のキャリア志向についての質問で、「マネジメントを行い、チームを統率したい」の回答者を除外)に対し、「もし管理職への就任を打診されたら、どうするか」と質問しました。
 
結果、最も多かった回答は「打診されたら検討する」で31.9%でした。次いで「わからない」が25.9%、「打診されたら辞退する」が25.1%、「打診されたら退職を検討する」が8.9%でした。「打診されたら承諾する」と回答した割合は最も低く、8.3%でした(図1)。
2.男性は女性に比べて、管理職を打診されたら「承諾」「検討」の割合が高い
図1と同じ質問について、男女別の回答を比較します。
 
男女とも、「打診されたら検討する」の割合がともに最も高く、男性が35.9%、女性が29.4%で、男性の方が6.5ポイント高くなりました。
 
男性の2位は「わからない」(23.6%)、3位は「打診されたら辞退する」(19.7%)で、「打診されたら承諾する」は11.7%でした。
 
女性の2位は「打診されたら辞退する」(28.5%)、3位は「わからない」(27.4%)で、「打診されたら承諾する」は6.0%でした。
 
男性は「打診されたら承諾する」「打診されたら検討する」の割合が女性に比べて高くなりました。同時に「打診されたら退職を検討する」は9.1%で、女性の8.7%より0.4ポイント上回る結果となりました(図2)。
3.スペシャリスト志向のミドルキャリア、約5人に1人が管理職を打診されたら「承諾」
続いて、図1と同じ質問について、キャリア志向別の結果を見ていきます。
 
まず、今後のキャリアについて質問した際、「スペシャリストとして、専門領域を極めたい」と回答したミドルキャリアのうち、22.4%が「打診されたら承諾する」と回答しました。スペシャリスト志向の約5人に1人が管理職を打診されたら承諾すると答え、他のキャリア志向のミドルキャリアと比較すると最も高い割合となりました。また、スペシャリスト志向のミドルキャリアは「打診されたら検討する」(51.7%)も、他のキャリア志向の中で最も高い割合でした。
 
スペシャリスト志向のミドルキャリアに次いで「打診されたら承諾する」「打診されたら検討する」の割合が高かったのは、キャリアについてまだはっきりしておらず、今後決めていきたいというミドルキャリアで、それぞれ10.0%、41.5%でした。
 
一方、「特にキャリアについての志向はない」と回答したミドルキャリアのうち、「打診されたら承諾する」(3.9%)「打診されたら検討する」(19.0%)の割合は他のキャリア志向の中で最も低く、「わからない」の割合が最も高い44.6%でした。
 
また、「打診されたら退職を検討する」と答えた割合は、「独立したい」と回答したミドルキャリアでは18.5%で、「役職にはつかず、メンバーとして働きたい」では11.6%でした(図3)。
4.業務で成長を感じる機会があるミドルキャリアほど、管理職を打診されたら「承諾」割合高い
さらにミドルキャリアの成長実感の機会と管理職を打診された際の対応の関係性を分析しました。
 
業務で成長を感じる機会があるかという質問に対し、「とてもよくある」「たまにある」「どちらともいえない」「あまりない」「全くない」の5段階で回答いただきました。
 
結果、業務で成長を感じる機会が「とてもよくある」ミドルキャリアのうち、管理職を「打診されたら承諾する」と回答した割合は34.9%、「打診されたら検討する」は34.9%でした。
 
一方、業務で成長を感じる機会が「全くない」ミドルキャリアのうち、管理職を「打診されたら承諾する」と回答した割合は1.9%で、「打診されたら検討する」は11.3%でした。
 
業務で成長を感じる機会が「たまにある」「あまりない」の結果も鑑みると、業務で成長を感じる機会があるミドルキャリアほど、管理職を打診されたら承諾する割合が高いことがわかりました(図4)。
5.部門間連携や全社的なプロジェクトに関わる機会が多いミドルキャリアは、そうした機会がないミドルキャリアよりも管理職を打診されたら「承諾」割合高い傾向
さらに部門間連携や全社的なプロジェクトに関わる機会と管理職を打診された際の対応の関係性を分析しました。
 
部門間連携や全社的なプロジェクトに関わる機会は、どれくらいあるかという質問に対し、「とてもよくある」「たまにある」「どちらともいえない」「あまりない」「全くない」の5段階で回答いただきました。
 
結果、部門間連携や全社的なプロジェクトに関わる機会が「とてもよくある」「たまにある」ミドルキャリアのうち、「打診されたら承諾する」と答えた割合はそれぞれ38.9%、17.2%でした。
 
一方で、部門間連携や全社的なプロジェクトに関わる機会が「あまりない」「全くない」ミドルキャリアのうち、「打診されたら承諾する」と答えた割合はそれぞれ4.8%、5.6%でした。
 
部門間連携や全社的なプロジェクトに関わる機会があるミドルキャリアは、そうした機会がないミドルキャリアよりも「承諾」する割合が高いことがわかりました(図5)。
6.今の職場が「年功序列だと思う」ミドルキャリアは、管理職を打診されたら「承諾」「検討」の割合高い
続いて、職場の人事評価の仕組みの観点から分析しました。
 
自身の職場の管理職への昇進は年功序列で決まると思うかという質問に対し、「そう思う」「どちらかといえばそう思う」の回答者を「年功序列だと思う」、「そう思わない」「どちらかといえばそう思わない」の回答者を「年功序列だと思わない」と分類しました。
 
年功序列だと思うミドルキャリアのうち、管理職を「打診されたら承諾する」が10.4%、「打診されたら検討する」が41.1%、「打診されたら辞退する」が25.1%でした。
 
年功序列だと思わないミドルキャリアのうち、管理職を「打診されたら承諾する」が8.0%、「打診されたら検討する」が30.4%、「打診されたら辞退する」が30.4%でした。
 
今の職場が年功序列だと思うミドルキャリアは、年功序列だと思わないミドルキャリアに比べて「打診されたら承諾する」「打診されたら検討する」の割合が高く、「打診されたら辞退する」が低い結果となりました(図6)。
7.自身の役割認識により、管理職を打診された際の回答傾向に違い。「後輩指導」を自身の役割と認識する層は「承諾」の割合最大
最後に、ミドルキャリアの役割認識と、管理職を打診された際の対応との関係性について調べました。
 
現在の自身の立場で、周囲から期待されていると思う役割について質問し、回答項目別に管理職就任を打診された際の対応について分析しました。
 
結果、自身の役割認識によって回答傾向に違いが表れました。「打診されたら承諾する」の回答割合が最も高かったのは、自身の役割について「後輩を育成する」と回答したミドルキャリアで、19.2%でした。次いで、「新しいスキルや知識を積極的に習得する」と回答したミドルキャリアが15.0%、「自分の業務で、高い成果を安定的に出す」が13.0%でした。
 
また、「打診されたら検討する」の回答割合は、「他者を巻き込みながら仕事を進める」が最も高く、58.1%。次いで「新しいスキルや知識を積極的に習得する」(49.5%)、「会社・事業部・チームのビジョンや戦略を正しく理解する」(46.3%)という順でした。
 
一方、自身の役割について「わからない」「該当するものはない」と回答したミドルキャリアは、管理職就任を打診された際の対応について「わからない」と回答する割合が高く、それぞれ62.5%、36.9%でした(図7)。
まとめ
本調査では、管理職以外のキャリア志向を持つミドルキャリアに対し、管理職への就任を打診された場合の対応についてまとめました。全体で回答割合が高かった回答は「検討する」で約3割、「わからない」「辞退する」がそれぞれ2割台で、「承諾する」は1割以下にとどまりました。管理職志向がない層でも管理職への就任に対して柔軟に受け止める用意がある様子は一定程度見られますが、積極的な承諾は少数派でした。
 
男女別では、男性は「打診されたら検討する」が3割強、「承諾する」が1割強で、女性より高い結果となりました。一方、女性は男性より「辞退する」や「わからない」が高く、男女で管理職への就任に対する受け止めに違いがあることがうかがえました。
 
キャリア志向別では、スペシャリスト志向のミドルキャリアは「承諾する」が約2割、「検討する」が半数以上となり、前向きな回答が最も高い結果となりました。一方、キャリア志向がない層は「わからない」が4割超と突出していた点が特徴的でした。
 
また、業務で成長を感じる機会や部門間連携・全社プロジェクトの経験が多いほど、管理職を「承諾する」割合が高いことがわかりました。自身の職場は年功序列型の組織だと感じるミドルキャリアも「承諾する」「検討する」が比較的高くなりました。昇進の予測がつきやすい職場では、管理職になる心理的準備が整いやすいのかもしれません。
 
さらに、役割意識との関係では、周囲から期待されていることに「後輩を育成する」と考える層が「承諾する」の割合が約2割と最も高く、「他者を巻き込みながら仕事を進める」と考える層は「検討する」が6割に迫りました。一方、役割が「わからない」と答えた層は、管理職打診への対応も「わからない」が突出していました。自身の役割認識によって回答傾向に違いがあり、他者との関係を重視しながら仕事に取り組むミドルキャリアや、成長意欲の高いミドルキャリアは、管理職を打診された際、就任を前向きに考える傾向が読み取れました。
 
調査全体を通して、管理職以外のキャリア志向を持つミドルキャリアのうち、成長機会がある層や他者との連携を役割として認識している層は、管理職を受け入れる可能性が高いと推察できます。
 
考察  ミドルキャリアのフォロワーシップを高めるために
本調査では、管理職志向ではないとしても、管理職を打診された場合に承諾・検討するミドルキャリアは約4割に上ることが明らかになりました。中でも、専門職志向のミドルキャリアは、承諾・検討する人が6割を超える結果となりました。専門職としての道を進むにあたり「どのように活躍したいか」「自分はどのような役割で組織に貢献するか」を考えてきたために、管理職の打診について前向き・柔軟に捉えられている可能性があります。
 
また、周囲から期待されている役割が何なのかを認識しているミドルキャリアの社員は、役割について「該当するものはない」「わからない」と回答した社員と比べ、管理職の打診を承諾・検討する割合が高い結果となりました。周囲から期待されている役割を明確に認識しているミドルキャリアは、その期待に応えるために日常業務でできることを考え、行動しており、視野が個人から組織へ広がり、管理職就任を前向きに考える素地になっているのでしょう。
 
本調査で見られた傾向から、管理職就任に前向きな姿勢であるミドルキャリアの多くは、日頃からフォロワーシップ*を発揮していると考えられます。フォロワーシップは、管理職に限らずどのようなキャリア志向であっても求められます。ミドルキャリアの社員がフォロワーシップを発揮できるよう、企業としては以下のような取り組みをするとよいでしょう。
 
*フォロワーシップ…組織の視点を持って自発的な判断や行動をしながら、組織の成果を最大化するためにリーダーや同僚を支え、良い影響を与える力
1.フォロワータイプ診断を取り入れた研修の実施
フォロワーとしての在り方には、順応型や孤立型など、いくつか種類があります。現在自身はどのフォロワータイプなのか診断し、どのような点を伸ばす必要があるのかを各自で考え、受講者同士で対話する研修を実施すると効果的です。
2.上司から期待する役割を伝達
評価面談の場などで、上司からミドルキャリアにどのような役割を期待しているのかを伝えるとよいでしょう。また、前述のフォロワータイプの診断を行った後であれば、どのようなフォロワーシップを発揮してほしいのかもイメージしてもらいやすくなります。
 
ミドルキャリアは企業経営をけん引する次の世代でもあります。ミドルキャリアがフォロワーシップを発揮し管理職就任を前向きに考えるようになることは、企業の変化・成長を実現する要といえるでしょう。
 
 
ALL DIFFERENT株式会社
事業開発推進本部 コンテンツマネジメント部 ユニットリーダー
宮澤 光輝(みやざわ・こうき)
東京大学卒業後、ALL DIFFERENT (旧トーマツ イノベーション/ラーニングエージェンシー)に入社。コンサルタントと研修講師を兼務し、サービスの企画・開発、研修講師育成、中堅~大企業に対して研修の企画・提案および実施などをはじめとした人材育成支援に従事。複数の全社プロジェクトでプロジェクトリーダーを担当。現在はサービスの企画・開発チームのリーダーとして、対面研修、オンライン研修などの新サービスの企画・開発、研修講師育成を担う。研修講師としては公開講座や企業内研修等で、OJT指導者向け、管理職向けの研修を中心に年間100回以上実施。
 
調査概要
調査対象者 社会人5年目以上15年未満かつ管理職未満の社会人
調査時期 2025年10月6~7日
調査方法 調査会社によるインターネット調査
サンプル数 800人(管理職志向あり50人、管理職志向なし750人)
属性 (1)業種
農業、林業 6人(0.8%)
漁業 1人(0.1%
鉱業、採石業、砂利採取業 2人(0.3%)
建設業 49人(6.1%)
製造業 170人(21.3%)
電気・ガス・熱供給・水道業 10人(1.3%)
情報通信業 68人(8.5%)
運輸業、郵便業 27人(3.4%)
卸売業、小売業 64人(8.0%)
金融業、保険業 46人(5.8%)
不動産業、物品賃貸業  15人(1.9%)
学術研究、専門・技術サービス業10人(1.3%)
宿泊業、飲食サービス業 9人(1.1%)
生活関連サービス業、娯楽業 9人(1.1%)
教育、学習支援業 41人(5.1%)
医療、福祉 164人(20.5%)
複合サービス事業 10人(1.3%)
サービス業、他に分類されないもの 42人(5.3%)
公務 57人(7.1%)
 
(2)企業規模
1~50人 133人(16.6%)
51~100人 102人(12.8%)
101~300人 145人(18.1%)
301~1,000人 106人(13.3%)
1,001~5,000人 102人(12.8%)
5,001人以上 140人(17.5%)
わからない 72人(9.0%)
*本調査を引用される際は【ラーニングイノベーション総合研究所「管理職志向のない中堅社員の意識調査」】と明記ください
*各設問において読み取り時にエラーおよびブランクと判断されたものは、欠損データとして分析の対象外としています
*構成比などの数値は小数点以下第二位を四捨五入しているため、合計値が100%とならない場合がございます
 
ラーニングイノベーション総合研究所
「人と組織の未来創り(R)」に関する様々な調査・研究活動を行っている当社研究機関。データに基づいた組織開発に関する解決策を提供。
ALL DIFFERENT株式会社
組織開発・人材育成支援を手掛けるコンサルティング企業。
人材育成から、人事制度の構築、経営計画の策定、人材採用までの組織開発・人材育成の全領域を一貫して支援。

《沿革》
2006年 トーマツイノベーション株式会社として人材育成事業を開始し、業界初や特許取得のサービスを多数開発・提供
2019年 株式会社ラーニングエージェンシーとして、デロイトトーマツグループから独立
2024年 ALL DIFFERENT株式会社へ社名変更

代表取締役社長  眞崎 大輔
本社所在地   〒100-0006 東京都千代田区有楽町2-7-1 有楽町 ITOCiA(イトシア)オフィスタワー 15F(受付)・17F・18F
支社      中部支社、関西支社
人員数     328人(2025年4月1日時点)
事業      組織開発支援・人材育成支援、各種コンテンツ開発・提供、ラーニングイノベーション総合研究所による各種調査研究の実施
サービス    定額制集合研修「Biz CAMPUS Basic」/ライブオンライン研修「Biz CAMPUS Live」/ビジネススキル学習アプリ「Mobile Knowledge」/ビジネススキル診断テスト「Biz SCORE Basic」/IT技術習得支援サービス「IT CAMPUS」/デジタルスキル習得支援サービス「DX CAMPUS」/管理職アセスメント「Discover HR」「Competency Survey for Managers」/人事制度構築支援サービス「Empower HR」
経営計画策定支援サービス「Empower COMPASS」/転職支援サービス「Biz JOURNEY」ほか
URL       https://www.all-different.co.jp/corporate

▼ALL DIFFERENT株式会社では事業拡大に伴い、採用活動にも力を入れています。
新卒採用 https://newgraduates.all-different.co.jp/
中途採用 https://career.all-different.co.jp/

男性は「打診されたら承諾する」「打診されたら検討する」の割合が女性に比べて高くなりました。同時に「打診されたら退職を検討する」は9.1%で、女性の8.7%より0.4ポイント上回る結果となりました

7.自身の役割認識により、管理職を打診された際の回答傾向に違い。「後輩指導」を自身の役割と認識する層は「承諾」の割合最大