介護系事業者として今回の改定ポイントをより深く理解し、介護サービスの継続と質の担保をするため、「地域共生社会の実現に向けて」と題し、市民福祉団体全国協議会2025年総会記念講演を開催しました。 |
介護系事業者900団体の会員を有し、 | |||
身近な地域での助け合い・支え合い、 | |||
優しい福祉のある地域社会づくりを推進している | |||
認定特定非営利活動法人市民福祉団体全国協議会 | |||
(本社:東京都新宿区、代表理事:鷲尾公子・とよしま亮介)は、 介護系事業者として今回の改定ポイントをより深く理解し、 介護サービスの継続と質の担保をするため、 「地域共生社会の実現に向けて」と題し、 市民協会員および市民協友誼団体(介護系NPO他)を対象として、 市民福祉団体全国協議会2025年総会記念講演を開催しました。 |
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「地域共生社会の実現に向けて 共生社会の実現を推進する「認知症基本法」と 身寄りのない高齢者等を支える「高齢者等終身サポート事業者ガイドライン」」 と題して、 厚生労働省 老健局 認知症施策・地域介護推進課 吉田慎課長にご登壇いただきました。 |
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<講演メモ> 0、高齢化社会の現状と政府の取り組み:認知症施策と高齢者支援 ・日本は急速な高齢化に直面し、2025年には65歳以上が3663万人に達し、特に75歳以上や85歳以上の人口が今後10年で大きく増加する。 ・これにより、要介護認定者が増え、介護給付費は10兆円を超え、高齢者の介護保険料も増加傾向にある。 ・一方で、介護を支える現役世代は減少し、医療・介護従事者の不足が深刻化している。 ・地域によって高齢化の進み方が異なるため、大都市部では高齢者増、地方では高齢者減という多様な課題がある。 |
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1、認知症施策の推進 ・政府は、誰もが認知症になり得る社会で、認知症の人が希望を持って暮らせる社会を目指す。 ・認知症基本法を制定し、当事者の意見を取り入れて施策を策定。 ・新しい基本計画では、「空白の期間」(認知症と診断されても「何もできなくなる」という思い込み)を解消し、本人が「やりたいこと」や「できること」を重視する。 ・施策の柱は、国民の理解促進、バリアフリー推進、社会参加促進、意思決定支援・権利擁護、保健医療・福祉サービスの充実。 ・認知症大使やサポーター(特にキッズサポーター)の養成、民間企業との連携による認知症に優しい商品開発やバリアフリー化、当事者同士が支え合うピアサポート、そして就労支援を進める。 |
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2、高齢者の終身サポート ・身寄りのない高齢者が増える中、その生活を包括的に支援する終身サポートが重要になる。 ・保証人、通院付き添い、財産管理、死後の事務など、多岐にわたるニーズに対応。 ・NPOや弁護士など多様な民間事業者がサービスを提供するが、複雑な料金体系やトラブルも発生する。 ・政府は、事業者のガイドラインを策定し、質の向上を目指す。 ・ケアマネジャーやヘルパーの「シャドーワーク」(本来業務外の個人的な支援)の負担軽減も課題で、専門事業者への移行を促す。 ・質の高い事業者が分かるよう、業界団体による認定制度の創設も検討中。 ・住まいの問題にも焦点を当て、家主が高齢者の入居を嫌がる状況に対し、「居住サポート住宅」や「居住支援法人」を通じて、住居確保と見守り・サービス連携を推進する。 |
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3、地域包括ケアシステムの進化と今後の展望 ・地域包括ケアシステムは、2025年目標の全国展開から、さらなる進化を目指す。 ・2040年に向け、地域ごとの人口動態に応じた柔軟なサービス提供体制(中山間地域での介護人材確保、大都市でのICT活用など)を検討。 ・介護人材の確保、職場の環境改善、事業者の経営安定化が課題。 ・予防や自己管理を含む「自分のケア」を重視し、介護保険制度以外のサービスも活用する。 ・現在、次の介護保険制度改正に向けた議論が本格化しており、現場からの意見が政策に反映されることが期待される。 |
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<参加者から> 高齢者支援・介護保険制度に関する提言 |
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1. 介護保険外サービスの柔軟な活用を 介護職員不足が進む中、利用者との関係性を維持するため、 有償ボランティアや地域住民が担う介護保険外サービス(見守り、買い物、片付けなど)の活用が不可欠。 これらを介護保険の人員基準にカウントせず、謝礼程度の位置づけとすることで、地域での介護予防や社会参加を促進すべき。 介護事業所がこうした活動に乗り出す支援策を求める。 |
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2. 介護事業者の地域コミュニティ再生への貢献 地域コミュニティの機能低下が進む中、介護事業者が積極的に地域コミュニティの再生を担うべき。 これまで分断されがちだった介護サービスとコミュニティ活動の連携を強化し、 事業者が利用者だけでなく地域全体の活性化に貢献できるよう、国からの施策や支援を期待する。 |
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3. 居住支援事業の厚生労働省主管化を検討 現在の居住支援事業は国土交通省が主導しているが、 居住支援は生活保護など困窮支援へのつなぎや、高齢者や障害者らの福祉・生活支援の側面が強く、 より専門性の高い厚生労働省が主管となることで、総合的な支援につながると考える。主管官庁の変更を検討すべき。 |
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4. 認知症初期の相談の場を拡充 「早期発見・早期絶望」問題を解消するため、気軽に相談できる認知症初期対応の場(カフェ併設型相談所など)の拡充が不可欠。 現在の初期集中支援チームだけでは対応が不十分であり、地域に根ざした相談所を増やすための、国からの財政的・制度的支援の拡充を求める。 |
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5. グループホームの地域包括ケアシステム内位置づけを明確に 現在の地域包括ケアシステムの図で、グループホームが枠の外に描かれているのは不適切。 グループホームは地域密着型サービスとして、生活支援や地域交流において重要な役割を担っている。 小規模多機能型居宅介護施設などと同列でなくとも、地域包括ケアシステムの「中」に明確に位置づけるべき。 |
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民間介護事業推進委員会でもお世話になっている 厚生労働省 老健局 認知症施策・地域介護推進課の皆様には、 毎年総会記念講演に登壇頂き、この度も貴重なお話をと提案の機会を頂きました。 今後とも市民協をよろしくお願い致します。 |
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