「10代の『やってみたい』を育てる、叶える。」を掲げ、探究的な学びを支援する一般社団法人e-donuts(本社:京都市西京区)の代表理事・藤原彪人が執筆した新刊『生徒の探究心を広げる「探究」の言葉がけ』が、11月26日(水)(※)に学事出版株式会社より発売されたことをお知らせいたします。
(※学事出版ウェブサイトやAmazonなど各種オンラインストアをはじめ全国の書店で発売開始されます。書店には流通の関係で多少前後する可能性があります。)
本書は、中学校・高校現場で探究学習を支援してきた著者が、教室で実際に生徒にかけてきた「言葉がけ」を体系的にまとめた一冊です。探究の進め方だけでなく、「どの場面で、どのような声をかければ生徒の主体性が保たれ、問いが深まるのか」という、先生方が日々悩みやすいポイントにフォーカスしています。
今回はさらに、共著者として、公立高校で現役の教員として探究指導に携わり、これまでに複数の書籍を出版されてきた浅見和寿氏を迎えました。外部から探究を支援する立場であるe-dontus代表理事の藤原と、学校現場の最前線で探究授業を牽引する浅見氏という二つの視点から、「探究における生徒への関わり方」を立体的かつ実践的に体系化している点も、本書の大きな特徴です。
社会はいま急激に変化し、明確な正解がない「問い」にあふれています。将来の見通しが不透明な時代だからこそ、一律の能力を身につけるだけでなく、一人ひとりの「やってみたい」に火を灯すような「興味開発」が重要になっています。
こうした中で、学校現場では「総合的な探究の時間」を中心に探究学習が本格的に導入され、関連書籍やカリキュラム、年間計画のモデルなどは徐々に整ってきました。一方で、現場の先生方からは次のような声が多く聞かれます。
つまり、「先生が生徒一人ひとりにどう関わるか」が、十分に言語化・体系化されていないことが大きな課題として残っています。
探究の現場では、大人の一言で生徒の探究心が大きく広がることもあれば、反対にしぼんでしまうこともあります。
そこで本書では、代表理事藤原が数十校の多様な学校と関わる中で実践してきた関わり方に加え、浅見氏が日々の授業で試行錯誤を重ねてきたリアルな知見も織り込み、「生徒への言葉がけ」の精度向上に直接役立つ形で提示しています。
外部支援者として学校と関わる立場と、校内で探究学習を受け持つ教員という二つの役割からの視点を重ねることで、現場の先生方が自校の状況にあわせて取り入れやすい「関わり方のヒント」を数多く盛り込んでいます。
探究活動の各フェーズ(テーマ設定・調査分析・仮説検証など)に応じて、「この場面では、どのような言葉がけをするか」という具体的なフレーズを収録。生徒が探究の中で立ち止まった時や、生徒の興味関心を引き出したい時に声かけできるような具体的な実践例を示しています。また、本書では、教員同士の関係性を支える「教員同士の言葉がけ」にも一章分をあて、現場教員のモチベーションが上がるフレーズの例も紹介しています。
本書では、何らかの「課題」を解決することを目指した「課題解決型探究」と、何らかの「未知」を明らかにすることを目的とした「科学研究型探究」それぞれの特性に応じた言葉がけを整理。学校や生徒の特性により異なる様々な方向性の探究に沿った構成になっています。
学校外の立場から多数の探究現場に関わった立場と、現役で校内の探究現場に関わる立場の両軸から実の実践例を整理。単なる理論ではなく、「教室で起こるあの場面」をイメージしながら読み進めることができます。
・「なぜそう思うの?/なぜそうなっているんだろう?」
・「今、何がわかっていて、何がわかっていない?」
・「今出ているアイデアとあえて真逆の視点で考えるとどんな案があるかな?」
・「調べている用語の意味が広すぎたり、反対にピンポイントすぎる可能性はないかな?」
・「その仮説を証明するためには、どんなデータを、どんな方法で取ると良いだろうか?」
・「先生が全てを知っている必要はないんです。生徒と共に楽しみながら学びましょう。」
・「探究活動の教員免許なんてないのです。肩肘張らずに先生自身も探究してみましょう。」
京都大学経済学部経済経営学科を卒業後、外資系戦略コンサルティングファームであるA.T.カーニーに新卒入社。約1年間複数業界の経営支援プロジェクトに従事。その後、学校教育における探究学習支援を行うべく2023年5月に一般社団法人e-donutsを設立。代表を務めながら、主に中学校・高校の現場で探究的な学びのサポートを行っている。
埼玉県立高校に勤務して15年目。進学校、工業高校、教育委員会を経て現在は定時制高校に勤務。専門は国語で、探究主任となり4年目。ICTや外部連携にも力を入れ大学でも講義を行っている。単著として『生徒とはじめる高校探究』(学事出版)『ゼロから始めてここまでできる! 公立高校でのICT教育実践』(翔泳社)、共著として『高校文化祭の教育論』『高校教師のための学級経営・学習支援』(学事出版)などがある。
所在:京都府京都市西京区大原野上里北ノ町907-9