電源ケーブルの無い人工心臓実現を目指すHelioverse Innovations Inc.(本社:米国オハイオ州、CEO:黒田太陽、以下「当社」)は、川崎市が主催し、upto4株式会社が運営協力する「Kawasaki Deep Tech Accelerator 研究開発型ベンチャー企業成長支援事業」の2025年度支援先として採択されました。
電源ケーブルのない超小型人工心臓を患者さんへ
現在、人工心臓治療により従来救命が困難であった末期心不全の患者さんが助かるようになってきています。その成績は5年生存率70%(※1)を超えつつあり、心臓移植に並ぶメインストリームの治療選択の1つとなっています。
しかしながら、既存の人工心臓は皮膚を貫通する太い電源ケーブルが必要であり、患者の約22%がデバイス感染を発症し、最も深刻なケースでは生命に関わる(※2)という深刻な課題が残されています。これらは患者さんのQOLを大きく損なう原因の一つとなっています。
(※1)https://www.annalsthoracicsurgery.org/article/S0003-4975(24)00874-9/abstract 
(※2)https://www.annalsthoracicsurgery.org/article/S0003-4975(24)00874-9/abstract
 
世界最長の人工心臓研究と日本産業技術の融合
当社は、世界最長の人工心臓開発の歴史を有する米国Cleveland Clinicの研究チームと、日本の高度精密産業を支えてきたエンジニア集団の協働により、電源ケーブルを必要としない超小型カテーテル式人工心臓体内に大電流を安全に供給可能な完全植込み型ワイヤレス電源システムの開発を推進しています。これにより、2030年の臨床治験開始を目標としています。
 
「Kawasaki Deep Tech Accelerator」による支援を通じた加速
川崎市は、日本初・最大規模のサイエンスパークである「かながわサイエンスパーク」、産学連携型の研究開発拠点である「新川崎・創造のもり」、ライフサイエンス分野の研究開発拠点「キングスカイフロント」等を中心に、多くの研究開発機関が集積する、日本有数の研究開発都市です。
本プログラムは、大学や企業等における研究成果(知財等)を活用して研究開発型ベンチャーの設立を目指す研究者や、創業初期のベンチャー経営者を対象とした事業化加速支援プログラムです。
 
当社は既にサポーター企業2社と守秘義務契約を締結しディスカッションを開始しており、本プログラムを通じてこれら既存パートナーとの連携をさらに加速させるとともに、川崎市が有する高い製造業集積性と先端部品産業のネットワークを活かし、高性能モーター、ベアリング、磁気浮上技術、精密加工、電磁干渉対策などの分野における有力企業との新たな接点構築を目指します。
 
Helioverse Innovations Inc. CEO 黒田 太陽のコメント
当社は、Cleveland Clinicや国立循環器病研究センターの医師陣、日本の産業界を支えてきたパワーエレクトロニクス・ワイヤレス給電エンジニア、日米で豊富な実績を持つビジネスリーダー、規制対応の専門家、国際弁護士など、幅広いバックグラウンドを持つメンバーが結集したチームです。
全員の願いは、時間がかかる人工心臓開発を一日でも早く進め、安全なデバイスを患者さんに届け、これまで失われていた「普通の生活」を取り戻していただくことにあります。
川崎市は、医療機器・ロボット・デバイス分野における研究開発拠点として日本屈指の集積を誇り、かつNEDOをはじめとする公的機関との連携体制も整備されています。今回の「Kawasaki Deep Tech Accelerator」への採択は、当社が目指す「日本のものづくり技術と米国の臨床研究の融合による世界初のケーブルの無い人工心臓の実現」に向けて、極めて重要なマイルストーンとなります。
本プログラムの支援を最大限に活用し、2026年3月までに補助人工心臓の第1世代プロトタイプの開発完了、そして前臨床試験への移行準備を着実に進めて参ります。
 
Helioverse Innovations Inc. CMO 川添 信のコメント
 多くの皆様がご承知のように、2021年において日本の医療機器の輸入額は約約2.8 兆円であり、市場の66.5%以上を輸入が占めています。(※3)
 一方、経産省やJETRO、官邸レポートは、完成品の国際競争力に課題がある一方、部材・素材、精密加工、検査装置や光学部品などの領域で日本企業に強みがあると分析しています。
失われた30年を経て再び日本が世界で尊敬され称賛されるための競争優位として、ソフトパワーの強化と同時に製造業の復活が鍵を握ると考えます。その製造業の復活の重点分野として、ヘルスケアを位置づけ日本のものづくり技術力で培った技術を結集していく必要を我々メンバー全員が感じています。人工心臓はその試金石となります。我々の挑戦に見守り、そして期待してください!
川崎市が持つ製造業のエコシステム集積と、本プログラムを通じた異分野技術との融合により、我々は日本発の革新的医療機器として世界市場で戦える製品開発を加速させて参ります。
 
(※3) https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_29946.html
 
川崎市が推進する研究開発型ベンチャー支援
川崎市は、市内に立地するNEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)および川崎市産業振興財団と連携して運営する起業家支援拠点「Kawasaki-NEDO Innovation Center(K-NIC)」等において、創業・ベンチャー企業支援を進めています。
本プログラムは、川崎市が主催し、研究開発型ベンチャー企業の創出・育成に実績を持つupto4株式会社の運営協力により実施されており、様々な事業分野での事業経験や専門的知見を有するメンターが研究チームや創業初期のベンチャーに参画し、実際に手を動かしながらハンズオン支援を行うことが特徴です。
デバイス、モビリティ、ロボット、創薬、医療・ライフサイエンス、エネルギー、AI、IoT、航空、宇宙等の技術開発分野に取り組む研究開発型ベンチャーを対象に、投資家からの資金調達、公的機関からの競争的資金の獲得、事業会社との提携等を実現するための支援を提供しています。
 
 
Helioverse Innovaitons Inc.について
名称:Helioverse Innovations Inc.
所在地:米国Ohio州
代表者:黒田太陽
設立:2024年
 
日本法人:Helioverse Innovations Japan 株式会社
所在地:東京都港区南青山3丁目1番36号青山丸竹ビル6F
代表者:黒田太陽
設立:2025年
 
URL:https://www.helioverseinnov.com/
お問い合わせ:contact@helioverseinnov.com
 
「Kawasaki Deep Tech Accelerator」について
主催: 川崎市
運営協力: upto4株式会社
URL: https://kawasaki-dta.upto4.com/
 
大学や企業等における研究成果(知財等)を活用して研究開発型ベンチャーの設立を目指す研究者や、創業初期のベンチャー経営者を対象とした、事業化の加速を支援するプログラム。6ヶ月間の伴走支援、VCとのネットワーキング、事業会社とのマッチング等を無料で提供。
 
問い合わせ先:
 プログラム運営事務局(upto4株式会社):     support@upto4.com / 080-3714-4321 川崎市経済労働局イノベーション推進部創業担当:     28innova@city.kawasaki.jp / 044-200-2334