2025(令和7)年 11月 16日国立大学法人岡山大学
•ホウキムシ(箒虫動物)のゲノムを染色体レベルで初めて解読しました。•触手冠動物(腕足動物門・箒虫動物門・外肛動物門)の単系統性をこれらのゲノム比較から明らかにしました。•触手冠動物に特徴的な構造である“触手冠”が三群に共通する相同器官であることをトランスクリプトーム比較から明らかにしました。•本研究は、ゲノム構造比較が動物進化を解き明かす有用なアプローチであることを示しており、今後、本手法が多様な動物群に適用されることで、動物の系統分岐の理解が深化することが期待されます。
ホウキムシ(箒虫動物)のゲノムを染色体レベルで初めて解読しました。
触手冠動物(腕足動物門・箒虫動物門・外肛動物門)の単系統性をこれらのゲノム比較から明らかにしました。
触手冠動物に特徴的な構造である“触手冠”が三群に共通する相同器官であることをトランスクリプトーム比較から明らかにしました。
本研究は、ゲノム構造比較が動物進化を解き明かす有用なアプローチであることを示しており、今後、本手法が多様な動物群に適用されることで、動物の系統分岐の理解が深化することが期待されます。
動物進化の系譜を解明することは、生物学分野において長年の課題の一つです。中央研究院生物多様性研究センター(台湾)のルオ・イージュン研究員(Dr. Yi-Jyun Luo)、岡山大学学術研究院環境生命自然科学学域(理)・臨海実験所の濱田麻友子教授、東京大学大学院理学系研究科の遠藤一佳教授を中心とする国際共同研究グループは、箒虫動物のゲノムを染色体レベルで初めて解読し、ゲノム比較解析により触手冠動物(Lophophorata)の単系統性を明らかにしました。これにより100年以上に及んだ触手冠動物の系統分類上の論争に終止符を打ちました。
さらに本研究結果は、ゲノム構造の比較が動物進化を解明する上で重要かつ強力なアプローチとなることを示しています。今後、本手法がさまざまな動物群に適用されることで、より精緻に動物進化の系譜が明らかになることが期待されます。
本研究成果は、2025年11月8日(土)午前1時(日本時間)に米国の科学誌Current Biologyに掲載されました。
図.ホウキムシ(箒虫動物)とコケムシ(外肛動物)が姉妹群であることを示す染色体融合。画像クレジット:シャミセンガイ(Dr. Yi-Jyun Luo,中央研究院,台湾)、ホウキムシ(Chaloklum Diving)、コケムシ(Dr. John Bishop,MBA,英国).
牛窓でのホウキムシ採集時は波が強く、今日はもうダメかもしれない…と思ったのですが、岡山大学総合技術部教育支援技術課(理)の齊藤和裕技術専門職員(臨海実験所)の神がかった発見眼によって採ることができたのが、この研究のスタート地点です。
また、日本学術振興会・海外特別研究員として台湾・中央研究院に派遣されている坂上登亮さんは本学の卒業生で、共同研究の橋渡しをしてくれています。これからも素晴らしいメンバーとともに、国際的な連携をさらに深めていきたいと思います。
(左から)岡山大学・濱田教授、 中央研究院・Dr. Yi-Jyun Luo、Dr. Thomas D. Lewin、日本学術振興会・海外特別研究員の坂上さん(博士)
◆研究資金本研究は、中央研究院(台湾)のCareer Development Award (AS-CDA-112-L06) およびChallenge Program Seed Grant (AS-GCS-114-L08)、National Science and Technology Council(台湾)のResearch Project Grants (113-2311-B-001-026および114-2311-B-001-024-MY3)、および日本学術振興会の海外特別研究員制度(202560499)より、助成をいただいています。また、岡山大学と中央研究院との連携は、文部科学省「大学の国際化によるソーシャルインパクト創出支援事業」(実施主体:日本学術振興会)による支援を受けました。
・東京大学大学院理学系研究科 遠藤一佳研究室
・中央研究院生物多様性研究センター(台湾)
岡山大学理学部附属牛窓臨海実験所(岡山県瀬戸内市牛窓町)
Biodiversity Research Center, Academia Sinica・Assistant Research Fellow Yi-Jyun Luo岡山大学学術研究院環境生命自然科学学域(理)・牛窓臨海実験所 教授・所長 濱田麻友子
〒701-4303 岡山県瀬戸内市牛窓町鹿忍130-17TEL:0869-34-5210
東京大学大学院理学系研究科 教授 遠藤一佳
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国立大学法人岡山大学は、国連の「持続可能な開発目標(SDGs)」を支援しています。また、政府の第1回「ジャパンSDGsアワード」特別賞を受賞しています。地域中核・特色ある研究大学として共育共創を進める岡山大学にご期待ください
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