| このたび HARUKAITO by ISLAND では、伊藤桂司の個展「楽しくなってきた It’s Getting Fun!」を開催いたします。 |
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| 伊藤は1980年代に伝説的な雑誌『JAM/HEAVEN』でデビューした後、音楽、雑誌、広告、書籍、映像など多岐にわたるアートディレクションやグラフィックワークを手がける傍ら、「CLOSE UP of JAPAN 展」(サンパウロ美術館)、「四次元を探しに――ダリから現代へ」(諸橋近代美術館)、「VERDE COSMICO」(PARCEL)、「TRANQUILO」(Gallery Trax)など国内外の展覧会で作品を発表し、好評を博してきました。 | |||
| 本展では、近年伊藤が取り組むペインティングシリーズの新作を発表します。満天の星空の下に広がる黄緑色の大地が印象的な本シリーズの制作について、伊藤は次のように振り返っています。 | |||
| 「都市生活のなかで感じる緑に対する欲求や、パースペクティブが遮断されている息苦しさから生まれた反動によるものかもしれない。とりわけこの数年の流行り病による閉塞感は、気持ちよく広がる緑の空間への渇望を促進させたように思う。」 | |||
| ネオ・シュルレアリスムとも呼ばれるこの幻想的な風景画は、伊藤が実際に旅先で訪れた山道や、自身が撮影した風景、そして自身が蒐集してきた置物や雑誌の切り抜きをもとに構成されており、日常生活の断片がコラージュされるように描き出されています。黄緑色の大地は、CG 映像制作におけるグリーンバックを思わせる無機質さを帯びていますが、そこにはシュミラークルな世界を否定も肯定もせずに受容するまなざしがあります。 | |||
| 奇妙な動植物やキャラクターなど、かつて別々の場所に存在していたものたちの邂逅は、自然と人工、現実と非現実、無機物と有機物の境界線をやわらかく撹拌し、記号に回収された現実を再生させます。それは、ウォーホルの大量生産や「スーパーフラット」に見られるシニシズムとは異なる実践であり、視覚芸術の新たな冒険といえるでしょう。 | |||
| 本展のタイトルが、伊藤が自身の夢の中で聞いた言葉の抜き書きであることも、その作家性を象徴しています。椹木野衣はかつて次のように評しました。 | |||
| 「永遠に失われてしまったこの純粋な想像力の王国が、彼の絵の中に描かれた得体の知れない“異国”としてあらわれているのではないだろうか。もうけっしてわたしたちの誰もそこにはたどりつくことのできない“異国”として。」(※) | |||
| 伊藤自身が「幼少期から、死後の世界を思うときは、恐怖よりも興味が勝っていた。そのイメージは、得体のしれないものとして“夜”や“宇宙”を想起させた」と述懐するその世界観はどのように形成されたのか、1990~2000年代のペインティングやコラージュ作品、そして近年制作を続けているアルバムジャケットを模した「SOUNDLESS SLEEVE」も併せて展示します。この機会にぜひご高覧ください。 | |||
| (※)出典:作品集『LANDSCAPE AND FLOWERS』(1996) | |||
| テキスト by 鈴木沓子 | |||
| 【展覧会概要】 | |||
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タイトル:楽しくなってきた It’s Getting Fun! 作家:伊藤桂司 Keiji Ito |
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日程:2025.10.25 sat. - 11.23 sun. Open:13:00-19:00 Thu-Sun Opening Reception: 10.25 sat.18:00-20:00 |
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企画: island JAPAN www.islandjapan.com info@islandjapan.com |
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〒150-0001 東京都渋谷区神宮前6-12-9 BLOCK HOUSE 2F 6-12-9-2F BLOCK HOUSE Jingumae Shibuya-ku, Tokyo 150-0001 JAPAN www.blockhouse.jp |
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| 【作家プロフィール】 | |||
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伊藤桂司 グラフィックワーク、アートディレクション、映像を中心に活動。2001年東京ADC賞受賞。キリンジ、テイ・トウワ、木村カエラ、スチャダラパー、GRAPEVINE、THE BAWDIES、PES from RIP SLYME、高野寛、ohana、オレンジペコー、ボニー・ピンク、愛知万博EXPO2005世界公式ポスター、イギリスのクラヴェンデール、SoftBank キャンペーン、KEIJI ITO × graniph Collaboration 他多数のヴィジュアルを手掛ける。個展多数。数々の国内外の展示にも参加。作品集に『LA SUPER GRANDE』(ERECT LAB.)、『DAYS OF PAST FUTURE』(Alex Besikianとの共著)他多数。京都芸術大学大学院教授。UFG代表。 |
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