日本思想史の碩学泰斗・子安宣邦。
 
84歳で妻に先立たれ、
88歳で76歳の女性と出会って恋に落ち、
89歳で再婚。
92歳の今、鎌倉の新居で新婚生活満喫中。
 
お相手は、あの「疼くひと」松井久子。
 
「学問一筋に生きてきた私は、米寿を迎えてはじめて、人間として全存在的な『生の欲動』に心身ともにさらされました。こうした体験はかつてなかったことです。これが『生き直し』でなくてなんだろう。ほんとうに、人は、いくつからでも生き直せるのです」

映画監督で作家の妻・松井久子による一連の作品、――ベストセラーとなった『疼くひと』『最後のひと』(以上、中央公論新社)、『つがいをいきる』(春陽堂書店)――と対をなす、人生を振り返りながら、最晩年の「生」と「性」の「生き直し」の実践を男性の目線から軽快に活写する初の自叙伝。
 
*11月1日(土)13時半より、子安宣邦先生の市民講座が鎌倉商工会議所301会議室(鎌倉市御成町17-29 鎌倉駅西口徒歩5分)にて開催されます。「鬼神論」講義の最終回となります。
【目次】
まえがき
昭和16年、甲府の連隊に入隊した兄・俊隆に家族で面会に行く。宣邦、前列左から2人目。9歳。
第一章 戦争
富士の裾/日本思想史/薪炭業を営む生家/「要領よく」の処世法/「処世法」の援用/「処世法」成功例/「歴史的」要因/長兄の戦死/墓と墓碑/戦時の「同調圧力」/父と母と――快活な父/父と母と――貞淑な母/続く戦争の惨禍/二つの暗い幕/疎開先の理不尽/敗戦間際の理不尽/消える記憶/消えない記憶/敗戦、解放 
 
川崎市登戸の実家の敷地内のバラックに移住。学習塾を経営しながら東大大学院に在籍。29歳。
第二章 大学
わが読書/「ビンボーだから東大に行く」/激動の東京大学/入社試験、全敗/運命の邂逅/女神の啓示/結婚と生計(たつき)/アカデミズム階級制度(ヒエラルキー)/「子安塾」始動/家庭内「権力」作用/元祖「イクメン」/時間戦争/ミュンヘン大学/シュタイナー教育/大阪大学へ単身赴任/男の寄り道/別居生活の効用/フーコーの影響/「読み直し」の実践/伊藤仁斎/憮然、唖然/子安美知子との訣れ
2021年秋、松井久子とのつきあいが始まったころ。成城のレストランで。88歳。
第三章 生き直し
孤老=個老/ライフ「スタイル」/良き習慣は人間性を陶冶する/些事へのこだわり/市民講座ワンダーラスト/老年ポルノ小説/『疼くひと』体験!/書物を介して人と出会う/松井久子の視覚/生涯一講師/リアル松井久子/話せる人 松井久子/デートの約束/サプライズ作戦/話のキャッチボール/死亡最多年齢/ターミナルケア/失望と不安と/迅速な間のつめ方/一年の計/グレート松井久子/レオニー・ギルモア/リベラル同志/肌の触れあい/米寿の恋/夜へのいざない/ファースト・キス/肉のよろこび/ベターハーフ/現在進行形の性/わが「最後のひと」/わが家族との対面/意外な提案/過去の清算、 書物の処分/書物廃棄という惨酷/書物の「外部」/生者が死者を想起させる/黒姫童話館/シンクロニシティ/バイエルン州/はじめての春/ロジカル男/人形のこころ/人のこころ/晩熟の場所/生き直し/生身のひとりの男 九〇歳/あなたはあなたのままでよい/自己表現と人づきあいと/不可視の胸の内/「甘え」の行動/目覚める「男」への対処/「市民講座」再開/鬼神/生き直し革命       
あとがき
【著者情報】
子安宣邦(こやす・のぶくに)
1933年生まれ。日本思想史家。東京大学大学院人文科学研究科博士課程満期退学。大阪大学名誉教授。日本思想史学会元会長。著書に、『思想史家が読む論語』(岩波書店)、『歎異抄の近代』(白澤社)、『「アジア」はどう語られてきたか』『昭和とは何であったか』(以上、藤原書店)、『「近代の超克」とは何か』(青土社)、『「維新」的近代の幻想』『天皇論』(以上、作品社)など多数。2022年、小説『疼くひと』『最後のひと』(以上、中央公論新社)刊行で話題の映画監督・作家の松井久子氏と再婚。
 
【書籍概要】
書名:『生き直し』
著者:子安宣邦
発行:光文社
発売日:2025年10月22日(水)発売予定
※流通状況により、一部地域では遅れる可能性があります。
価格:1,980円(税込)
判型:四六判ソフト 208ページ
[Amazon]https://www.amazon.co.jp/dp/4334107990/
[楽天ブックス]https://books.rakuten.co.jp/rb/18391930/?l-id=search-c-item-img-01
 
【著者稼働について】
基本的には可能です。著者高齢につき、詳細などご相談させてください。