物価高で見直される保存食、サラダや時短調理で活用法が多様化
利用者数No.1レシピサービス「クックパッド」を運営するクックパッド株式会社は、乾物関連レシピの検索動向を「たべみる」(※1)で調査しました。調査の結果、「切り干し大根 サラダ」の組み合わせ検索が過去3年で約3倍に増加し、乾燥わかめも約1.8倍に増加していることが明らかになりました。物価高が続く中、価格が安定している乾物への関心が高まるのに加え、従来の「戻してから使う」調理法だけでなく「戻さずそのまま使う」調理法が広がり、時短・栄養・コスパを同時に実現する新たな食文化として定着し始めています。
■要約
・「切り干し大根 サラダ」の組み合わせ検索が2022年から2025年で約3倍に増加
・わかめ・春雨検索も大幅増加(わかめ約1.2倍、春雨約46%増)
・サラダや戻さない乾物レシピなど、活用法が多様化
■物価高騰の中、価格安定食材として乾物が注目
総務省の消費者物価指数(2020年基準)によると、2025年8月の総合指数は112.1(前年同月比2.7%上昇)と食材価格の高騰が続いています。
この状況下で、乾物が価格安定食材として再注目されています。2020年から2024年にかけて「生鮮野菜」の価格指数は97.2~119.4と大きく変動したのに対し、「乾物・海藻類」は100.8~110.2で推移し、年間の上昇幅はおおむね+2~5%程度に抑えられています(※2)。
乾物は加工・保存された食材のため、天候による影響を受けにくく、計画的に使いやすい食材となっています。
乾物検索の急増:新しい活用法が広がる
 
特に春雨の検索増加は、「かさまし」料理としての注目も背景にあります。食材価格高騰の中、ボリュームを出しながらコストを抑えたい家庭のニーズと合致しています。
■「戻さない」新常識:春雨料理が牽引する時短革命
乾物検索の増加で特に注目されるのが春雨です。チャプチェや麻婆春雨といった人気メニューで、「戻してから炒める」手順を省き、調理しながら水分を吸わせる手法が定着しています。
調理法の進化:
従来:水で戻す(10-15分)→ 水切り → 調理
新手法:調理過程で直接戻す → 戻し時間なし+味の染み込みアップ
この「戻さない調理法」により、手間を省きながら味も向上するという一石二鳥の効果を実現。春雨以外の乾物でも、この手法が広がっています。
麻婆春雨のレシピ  切り干し大根の韓国風サラダのレシピ
豆腐とわかめのサラダのレシピ  キャベツ&ヒジキのナムルのレシピ
切り干し大根の煮物のレシピ  春雨のチャプチェ風のレシピ
 
つくれぽ:「手間いらずで、無駄も防げる」「戻し汁の旨味も無駄にしない」「水で戻すよりも美味しい」など、このレシピで作った食卓の声が届いています。
■海外でも注目される日本の乾物文化
日本の食材への関心は国内にとどまらず、世界的にも高まりを見せています。2024年の農林水産物・食品輸出額は初めて1兆5,000億円を超え、過去最高を更新しました(※4)。なかでも乾物は、健康志向やサステナビリティの観点から国際的な注目を集めています。
 
米国のCNNは2022年に海藻を「人と地球の双方に良い、植物性食品の新たなスーパーフード」として紹介し(※5)、世界経済フォーラムも2024年に、藻場や海藻が二酸化炭素を吸収する「ブルーカーボン」として気候変動対策に大きな役割を果たしうると特集しました(※6)。また世界銀行の報告書でも、海藻産業は環境資源としてだけでなく、食品・飼料・機能性素材など幅広い分野で市場拡大が見込まれるとされています(※7)。
 
海藻類(昆布・わかめなど)は韓国が世界市場を牽引しつつ、欧米でも健康・機能性用途への利用が広がっています。さらに、乾しいたけは欧州でオーガニックや高品質品への需要が拡大し(※8)、春雨を含む乾麺類はインスタント食品需要の伸長を背景に、アジアを越えてアフリカや南米など新興地域でも市場が急成長しています(※9,10)。
 
このように、伝統的な日本の乾物は、健康・持続可能性・利便性といった観点で世界的に受け入れられつつあり、日本の食文化を代表する存在として新たな価値を発揮しています
■食文化の進化:伝統食材が現代の食卓に新たな価値を提供
今回の調査で明らかになった乾物検索の急増は、価格の安定性、栄養の凝縮、保存性の良さという乾物の特性が、現代家庭のニーズと合致していることを示しています。さらに、従来の和食用途を超えて洋風・中華・エスニック料理にも応用される調理の多様性が、新たな価値として認識され始めています。
クックパッドでは今後も、利用者の皆様がレシピを通じて食材の新しい活用法を発見・共有できるプラットフォームとして、毎日の料理を楽しくするお手伝いをしてまいります。
【クックパッドについて】
クックパッド株式会社は「毎日の料理を楽しみにする」をミッションに掲げる、料理とテクノロジーの会社です。日本を含む世界67カ国・地域、26言語で展開する料理レシピ投稿・検索サービス「クックパッド」、料理のAIコーチングサービス「moment」、生鮮食品オンライン市場「クックパッドマート」などを運営しています。私たちは料理を通じて、ヒト、社会、地球の豊かな未来を目指します。
社名 : クックパッド株式会社 https://info.cookpad.com
本社所在地 : 〒153-0044 東京都目黒区大橋2-22-44
代表執行役:佐野 陽光(さの あきみつ)
資本金 : 50,000千円(2024年9月末)
設立年月日 : 1997年10月1日
従業員数 : 105人(2025年3月末 連結ベース)
主要事業 : 毎日の料理を楽しみにする事業
※1「たべみる」 について
・クックパッドの食の検索データサービス「たべみる」
利用者数No.1の料理レシピサービス「クックパッド」の検索・アクセスログデータを活用した、明日の食が見えるビッグデータサービスです。食材・地域・季節・食用シーン(誕生日や運動会など)といった様々な切り口で分析を行えます。
・「たべみる」データご利用時は、以下クレジットのご掲載をお願いします。
 ※使用ツール:クックパッド 食の検索データサービス「たべみる」
 ※SI値:Search Indexの略で、1000回あたりの検索頻度です
 ※マッチ度:指定キーワードとの組み合わせ検索頻度を、100回あたりの割合で示す指標
※2 総務省統計局 2020年基準 消費者物価指数 全国 2025年(令和7年)8月分
  https://www.stat.go.jp/data/cpi/sokuhou/tsuki/index-z.html
※3 総務省「消費者物価指数」(2020年基準)によると、2020年から2024年にかけて「生鮮野菜」の指数は 97.2~119.4 と大きく上下したのに対し、「乾物・加工品類」は 100.6~115.7 で推移し、年ごとの上昇幅はおおむね+2~5%程度にとどまっている。
 https://www.e-stat.go.jp/stat-search/files?page=1&toukei=00200573
※4 農林水産省「2024年の農林水産物・食品の輸出実績」
https://www.maff.go.jp/j/press/yusyutu_kokusai/kikaku/250204.html
※5 CNN「The newest superfood is good for humans and the planet」(2022年7月21日)
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/search/research-news/16838/
※6 世界経済フォーラム「How Japan is harnessing blue carbon as a pathway to net zero」(2024年5月24日)
https://www.weforum.org/stories/2024/05/japan-harnessing-blue-carbon-pathway-to-net-zero/
※7 世界銀行「Global Seaweed New and Emerging Markets Report 2023」
https://www.worldbank.org/en/topic/environment/publication/global-seaweed-new-and-emerging-markets-report-2023
※8 日本貿易振興機構(JETRO)「欧州市場に挑む乾しいたけ」事例レポート(2018年)
https://www.jetro.go.jp/biz/areareports/special/2018/0501/b366799fc0bdaedf.html
※9 世界インスタントラーメン協会(WINA)「Global Demand for Instant Noodles」(2024年実績)
https://instantnoodles.org/en/noodles/demand/table/
※10 ガーディアン紙「‘People eat two or three packets a day’: how instant noodles took over the world」(2023年12月28日)
https://www.theguardian.com/global-development/2023/dec/28/instant-noodles-africa-asia-popularity-health