GLEIF認定の発行機関として、安全・安心な国際取引環境を実現2025年11月から、vLEI発行サービス「vLEI-Gateway(TM)」を提供開始
  TOPPANホールディングスのグループ会社であるTOPPANエッジ株式会社(本社:東京都港区、代表取締役社長:齊藤 昌典、以下 TOPPANエッジ)は、非営利財団法人Global Legal Entity Identifier Foundation(以下 GLEIF読み:グライフ、本部:スイス バーゼル)から、国際的な法人デジタル証明書であるvLEIの適格発行機関(Qualified vLEI Issuer、以下 QVI)として、2025年9月5日、日本で初めて認定されました。
  サプライチェーン管理や国際的な貿易取引、ブロックチェーン上の暗号資産による金融取引などにおける活用を想定し、製造業や金融業などを対象に、2025年11月から、vLEI発行サービス「vLEI-Gateway(TM)」の提供を開始します。
 
  LEI(Legal Entity Identifier:取引主体識別子)は国際規格「ISO 17442」に基づく20文字の英数字コードで、GLEIFの管理の下、各国の代表機関が発行する世界共通の法人IDです。vLEIとは、LEIと検証可能な資格証明(Verifiable Credentials:以下VC)を組み合わせ、企業などの法人やその法人に属する個人が本人であることを証明するデジタル証明書です(※1)。 
TOPPANエッジは2025年11月より、法人に対してvLEIの発行を行うQVIとして、vLEIの審査・発行・更新に加え、vLEIによる署名検証を行うサービス「vLEI-Gateway(TM)」(以下、本サービス)の提供を開始します。さらに、2026年度にはQVI候補企業に対してQVI用システムをSaaS提供できるサービスへと機能拡張を予定しています。
 
  なお本サービスは先行して、2025年9月より「BRPコンソーシアム事業所デジタル証明研究開発ワーキンググループ(※2)」が行う実機検証に採用されました。この検証では、半導体業界の事業所サプライチェーン管理において、事業所にVCを発行する際の法人情報の取得や、その法人の実在性の確認・審査をvLEIを通じて行うことで、申請情報の簡略化やVC利用者の真正性の証明を目指します。
図1.vLEIの適格発行機関(QVI)としてGLEIFから付与された認証マーク
■本取り組みの背景
  これまで、国際的な取引や金融の場面では、「この会社は本当に存在しているのか」、「誰が関係者なのか」を証明することが難しいという課題がありました。世界金融危機をきっかけに、この課題の解決に向け、主要国の金融当局が参加する金融安定理事会(FSB)によりGLEIFが設立され、2014年に世界共通の法人ID(LEI)が実現しました。さらに、最近のデジタル取引の急増により、組織の認証と確認をオンラインで自動化するニーズが世界的に高まり、LEIに紐づいたデジタル証明書(vLEI)を導入する検討が進んでいます。
  欧米では、既に金融取引におけるアンチマネーロンダリングや半導体、軍需・医薬品等のグローバルサプライチェーン管理等の観点から、LEIの取得が義務化されており、vLEIについても同様に順次適用に向けた検討が進んでいます。
  日本でもアンチマネーロンダリングの観点から、「店頭デリバティブ取引等の規制に関する内閣府令」等が改正され、2024年4月から、取引当事者が規制当局に対し取引報告をする際にLEIの記載が義務付けられるなど、LEI関連法令が施行されたほか、デジタル通貨での国際送金の際の実在性確認手段としてvLEIも注目を浴びつつあります。
  また金融分野に加え、産業分野でのvLEI活用には日本の各政府機関も注目しており、経済安全保障の観点からグローバルで厳格なサプライチェーン管理が要求される半導体やネットワーク機器の業界などでの活用検討が民間でも進みつつあります。
  TOPPANエッジは、長年にわたって銀行・証券・保険など金融業界の顧客からバックオフィス業務を受託しており、その過程で培った正確な業務処理ノウハウや高度なセキュリティ運用レベルと、ID関連のデジタル技術の蓄積を活かし、今回GLEIFの求める国際基準を満たすvLEIの発行審査・運用体制を構築し、日本で初めてvLEI発行機関として認定を受けました。
図2.LEI(法人ID)とvLEI(デジタル証明書)の関係
 
■ vLEI発行サービス「vLEI-Gateway(TM)」の特長
 GLEIFが認定するQVIとして、LEI取得済みの法人の申請に基づき、vLEIの審査・発行・更新・取り消しを行います。vLEIには、法人全体の実在を証明する「LE-vLEI」、役員など法的な役職者の実在を証明する「OOR-vLEI」、部門責任者等、役職者の実在を証明する「ECR-vLEI」の3種類があり、その全ての対応が可能です。
  加えて、TOPPANエッジ独自のサービスとして、以下の提供を予定しています。
 
1.vLEIによる署名検証
  電子取引に際し、vLEIによる取引当事者の電子署名をオンラインで即時検証し、文書の真正性確認を支援します。
 
2.QVI用システムのSaaSによる提供 (2026年度中提供開始予定)
  QVIサービスに参入する他の事業者に向けて、vLEI発行・管理システムをSaaSとして提供し、併せて導入支援サービスも行います。
 
 
■今後の展開
  TOPPANエッジは、製造業のサプライチェーン管理に加え、国際間での法人の所在確認などが必要となる貿易取引、マネーロンダリング対策が求められている暗号資産による金融取引などを行う企業を中心に本サービスを展開し、2030年までに6,000社での利用を目指します。
  TOPPANエッジは法人に対してvLEIの発行を行うQVIとして、デジタルの世界で法人および法人に属する個人の真正性を担保し、安全・安心な国際取引環境の実現に貢献します。
 
 
※1 vLEIの特長は主に以下3点です。
1.国際取引において法人の真正性を証明できるデジタル証明
  vLEI発行の際は、GLEIFが定めたガバナンスに基づき、デジタルアイデンティティのガイドラインである「NIST SP800-63A IAL2」レベルの審査を行うことで、vLEI利用者の真正性を担保します。
2.法人に所属する個人の真正性を証明
  vLEIを利用することで、法人IDに加えて法人に所属する個人(役職者)までの情報を表現することが可能になります。デジタル証明を利用した認証により、デジタル上で法人とその法人に所属する個人の真正性を証明できます。
3.既存のID体系との連携の容易さ
  LEI/vLEIは、既に発行されているID体系との連携を前提にしたハブ機能の設計により、国内外の公的IDや業界固有のID体系との連携も容易です。これにより、サプライチェーン管理、金融、貿易など幅広い用途での活用が期待でき、またデジタル手続法の基本原則である「ワンスオンリー原則(企業が複数の当局に同じ情報を複数回提供することを防ぐ)」の実現にもつながります。
 
※2  SBIホールディングス株式会社が主催し、半導体製造、ICT機器導入といった実際のサプライチェーンを担うユーザーや団体と連携し、国際的なルール作り、システム基盤構築、運営管理機関整備等の検討を進めているワーキンググループ。
      実証の概要 URL: https://www.youtube.com/watch?app=desktop&v=9n2x9zB-XvY
 
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以  上