ソフトロボットを活用し社会インフラにおける労働力不足などの課題解決に貢献
 三菱HCキャピタル株式会社(代表取締役 社長執行役員:久井 大樹/以下、三菱HCキャピタル)と人工筋肉およびその技術を応用したソフトロボット*1の開発・提供を手掛ける株式会社ソラリス(代表取締役社長:市橋 徹/以下、ソラリス)は、このたび、ミミズ型管内走行ロボット「Sooha」*2 (以下、本ロボット)を活用した、予防保全型インフラメンテナンス*3のサブスクリプションサービス(以下、本サービス)の提供を開始しました。
 
 近年、道路や上下水道など、生活を支えるインフラならびに民間企業が保有する工場内配管などの老朽化が進み、人命に関わる事故やライフライン寸断のリスク、インフラの維持およびメンテナンスにかかる労働力不足が社会問題となっており、データ・デジタル技術を活用した予防保全型インフラメンテナンスへの転換が求められています。
 
 そのようななか、両社は、2023年12月より、国内におけるインフラ老朽化問題の解決に貢献すべく、本ロボットを活用した予防保全型インフラメンテナンスのトライアルサービスを実施しました*4。また、2024年6月に資本業務提携契約を締結し*5、トライアルにて抽出された課題を踏まえ、企業のニーズへの対応およびサービスモデルの構築など、さらなるサービスの提供拡大に向けて取り組んできました。そして今般、100A*6の配管を対象としたSooha(100A-ST)の量産とともに、本サービスの提供を開始しました。
 
 本サービスは、機器貸出、保守メンテナンス、初期導入支援をワンパッケージで提供します。主に、配管トラブルによる「機会損失が大きい」、「安全対策が必要」、「緊急性が高い」業種を対象とし、本ロボットに搭載したカメラでリアルタイムに配管内部を可視化し、清掃を行います。本ロボットを利用することで、人間や他のロボットでは到達不可能であった配管深部に進入し、配管内部の可視化と清掃を同時に行うことが可能となります。
 また、業界の特性や運用方法を熟知したパートナー企業と連携し、本サービスを展開していきます。まずは、半導体商社の株式会社スズキ(本社:大分県大分市)と連携し、半導体業界のお客さまに向けて配管メンテナンスサービスの提供を開始します。半導体製造プロセスで発生する配管内生成物のモニタリングや清掃を本ロボットで実施し、生産現場のダウンタイム*7削減に貢献します。
 
 今後、2社は、本サービスを通じて、民間企業が抱えるインフラ老朽化および労働力不足などの社会問題の解決に貢献するとともに、さらなるサービス提供の拡大に向けて協業を継続していきます。
 
                                            【半導体 CVD装置*8での活用例】
           清掃前 (汚れで前方の見通しが不十分な状態)
                                    清掃後
                                    【本ロボットによる配管清掃の様子(模擬清掃)】
*1 空気圧人工筋肉および人工筋肉を応用したソフトロボット技術は、中央大学中村研究室の研究成果に基づくもの。
*2 ミミズの移動様式を空気圧人工筋肉の特性を利用して模倣し、小口径配管内の自立走行を実現。
*3 施設の機能や性能に不具合が発生する前に修繕などの対策を行うこと。
*4 2023年12月18日付ニュースリリース「三菱HCキャピタルとソラリスが予防保全型インフラメンテナンスのトライアルサービスの提供を開始」
https://www.mitsubishi-hc-capital.com/investors/library/pressrelease/pdf/2023121801.pdf
*5 2024年6月28日付ニュースリリース「予防保全インフラメンテナンスサービスの提供にむけてソラリスとの資本業務提携契約を締結」
https://www.mitsubishi-hc-capital.com/investors/library/pressrelease/pdf/2024062802.pdf
*6 「呼び径」という配管サイズを表すために使用される便宜的な名称のこと。材質によって寸法は異なるが、100Aは外径が114.3mmの配管サイズを表す(配管用ステンレス鋼管の場合)。
*7 生産ラインや製造プロセスが何らかの原因によって停止する状態。
*8 化学気相成長(Chemical Vapor Deposition)装置のこと。薄膜形成装置の一つで、半導体の表面に10nmから1000nm程度の薄い膜を堆積。主に半導体産業や材料工学分野で使用される。