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このたび、ICHION CONTEMPORARY(イチオン コンテンポラリー)では、2025年9月16日(火)から10月18日(土)の会期で、川端実の個展「川端実|色とかたちの間に - 東京・ニューヨーク」を開催いたします。 |
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川端は東京に生まれ、東京美術学校で藤島武二に師事して油彩を学びました。1939 年に渡仏しましたが、戦乱の中でニューヨークへ移動し、1941 年に帰国を余儀なくされます。激動の時代を背景に始まったその歩みは、のちに国際的な舞台で展開される作品に深い緊張感と独自性を刻み込みました。戦後の日本美術は復興と同時に新しい表現の模索が進みました。川端は具象から離れ、色彩と形態の関係を根本から問い直しました。1953
年には吉原治良らと日本アブストラクト・アート・クラブを設立し、1956 年にはミシェル・タピエ企画の「世界・今日の美術展」に出品するなど、前衛美術の重要な担い手として注目を集めました。こうした活動は、戦後日本における抽象絵画の発展を示すものであり、国際的潮流との接点を生み出すものでした。1958 年に再渡米した川端は、抽象表現主義が隆盛するニューヨークに拠点を置きました。ジャクソン・ポロックらを世に送り出したベティ・パーソンズ画廊と契約し、グッゲンハイム国際展での受賞を通じて国際的評価を確立します。アメリカ的なスケールや物質性を吸収しながら、日本的な筆致や余白の感覚を融合させた作品は、東西の感性が交錯する独自の表現領域を切り拓きました。 |
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本展では、1950 年代後半の紙作品に見られるストロークの実験、大画面における構成的探究、1970 年代以降に追求された色彩と形態の統合、そして1980 年代以降の洗練された造形言語へと至る流れを一望します。これらの作品群は、常に「色とかたちの間」に潜む可能性を探り続けた画家の姿を示しています。川端の表現は、理知的な分析を超えて感覚と直観に訴えかけ、今なお新たな視覚体験をもたらします。川端実は、戦乱を生き抜き、国際的舞台で独自の言語を形成した戦後日本を代表する画家のひとりです。本展を通じて、その画業の意義を改めて見出していただければ幸いです。 |
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川端 実(かわばた みのる) |
川端実(1911年東京生まれ)は、祖父・川端玉章、父・川端茂章と代々日本画家を祖とする家系に生まれ、東京美術学校(現・東京藝術大学)で藤島武二に師事し油彩を学んだ。1939年にパリへ渡るが、第二次世界大戦の勃発によりニューヨークへ移動し、1941年にイタリア経由で帰国。その後も抽象表現の探求を続け、1953年には吉原治良、山口長男らと共に日本アブストラクトアートクラブを結成し、1956年にはミシェル・タピエが企画した国際展「世界・今日の美術展」に参加するなど、国内外で頭角を現す。 |
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1958年に再び渡米し、ニューヨークを拠点に活動。抽象表現主義を支えた画商ベティ・パーソンズに才能を見出され、1960年に同ギャラリーで初個展を開催。以後1981年までに11回にわたる個展を開催し、ジャクソン・ポロックやマーク・ロスコらと並ぶ存在として「ニューヨーク・スクール」の中核を担った。また、草間彌生、岡田謙三ら在米日本人作家とも連携し、1962年にはヴェネチア・ビエンナーレに日本代表として6点を出品。
1974年にはニューヨークのエヴァーソン美術館で、翌1975年には神奈川県立近代美術館で大規模な個展を開催するなど、日米双方で評価を高めた。晩年まで作品発表を続け、1992年には京都国立近代美術館および大原美術館で回顧展、2011年には没後10年・生誕100年を記念し、横須賀美術館で《川端実展 東京-ニューヨーク》が開催された。 |
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1950年代にはキュビスムに影響を受けた幾何学的表現に取り組んでいたが、1958年以降のニューヨーク時代には書道的な筆致に着目し、1960年代には即興性を活かしたダイナミックな抽象表現を確立。《Form in~》《Form Unity》などのシリーズでは、色面と形態が画面全体に広がるオールオーヴァーな構成を展開し、1980年代以降は「長方形」「門」「ローブ」などの明快な形態と鮮烈な色彩による、構造的で力強い様式へと発展させた。 |
川端は、自らの内面にある心理的風景を、絵画という視覚言語に結晶化させようとした。濃密な色面の広がりの中に象徴的な形が浮かび上がる構成や、対比色のストロークによる抒情的な強度は、抽象表現主義やカラーフィールド・ペインティングと共鳴しつつも、東洋的精神性と造形感覚が融合した独自の世界を形成。戦後日本の抽象美術を国際的に展開した先駆者として、現在もその業績は高く評価されている。 |
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【展覧会】 ※一部抜粋 |
1911 東京・小石川に生まれる。父は日本画家 川端茂章。円山派の川端玉章は祖父にあたる。 |
1934 東京美術学校油画学科を卒業。 |
1939 フランス、イタリア、ニューヨークに滞在。 |
1942 滞欧作個展(銀座三越)。佐分賞受賞。 |
1950 多摩美術大学教授となる。 |
1951 個展(銀座資生堂)。 |
第3回アンデパンダン展(東京都美術館)、第1回サンパウロ・ビエンナーレに出品。 |
1953 吉原治良、村井正誠、山口長男らと日本アブストラクト・アート・クラブを結成。メンバーとなる。 |
1955 第18回国際水彩画ビエンナーレ(ブルックリン美術館)に岡本太郎、村井正誠、桂ユキ、草間彌生らと出品。 |
1956 個展(銀座松屋)。世界・今日の美術展(日本橋高島屋)に出展。 |
1958 個展(銀座松屋)。渡米。第2回グッゲンハイム国際展にて個人表彰名誉賞受賞。ピッツバーグ国際現代絵画彫刻展に出品。 |
1959 第5回サンパウロ・ビエンナーレにて受賞。第11回プレミオ・リソーネ国際美術展(ミラノ)にて名誉賞受賞。ニューヨーク・ニュースクール・フォー・ソーシャル・リサーチの絵画部教授となる。 |
1960 個展(NY、ベティ・パーソンズ画廊/~81’ 開催11回)グッゲンハイム国際展に出品。日本人の抽象画家展(ワシントン・グレスギャラリー)に岡田謙三、桂ユキ、草間彌生、山口長男、オノサト・トシノブと共に出品。 |
1961 個展(ミラノ、アポリネール画廊)。第12回プレミオ・リソーネ国際美術展、カーネギー国際展、グッゲンハイム国際展に出品。 |
1962 4人のアメリカの画家たち展(ロンドン、モルトン画廊)、現代絵画展(エール大学附属美術館)、ベニス・ビエンナーレ展、グッゲンハイム国際展などに出品。 |
1963 個展(銀座、東京画廊)。第7回日本国際美術展にてブリヂストン美術館賞受賞。美術の新しい実験展(デ・コルドバ美術館)、レビュー・オブ・ザ・シーズン展、グッゲンハイム国際展、コロラド大学美術展などに出品。 |
1965 在外日本作家展・ヨーロッパとアメリカ(東京国立近代美術館)、現代日本の絵画・彫刻展(サンフランシスコ美術館・ニューヨーク近代美術館)などに出品。 |
1966 近代日本洋画の150年展(神奈川県立近代美術館)、国際展(ローザンヌ・ギャラリーパイロット)、コロラド大学美術展に出品。 |
1969 現代絵画・彫刻展(ロードアイランド、ブリストル美術館)、フィリップ・コレクション展に出品 |
1973 アメリカの日本作家展(京都国立近代美術館、東京国立近代美術館)、戦後日本美術の展開-抽象表現の多様化-展(東京国立近代美術館)に出品。 |
1974 個展(NY、エヴァーソン美術館)が開催され、1972-73年の作品17点を展観する。 |
1975 個展(神奈川県立近代美術館)が開催され、作品80点、デッサン59点を展観する。 |
1978 個展(東京画廊)。 |
1983 個展(銀座、東京画廊)。個展(NY ジャックティルトン画廊/~94’ 開催6回)。グループ展(ロンドン、アンリ・ジュダ画廊)。 |
1992 「在米35年 孤高の軌跡 川端実」展(京都国立近代美術館、大原美術館)が開催される。 |
1997 個展(銀座、東京画廊)。 |
2001 6月29日逝去。 |
2009 目黒区碑文谷にギャラリーMが開廊。 |
2011 生誕100年川端実展 東京―ニューヨーク(横須賀美術館)が開催される。 |
2019 川端実:The 1950s-70s / Colorfield+Brushwork(大塚美術、アートフェア東京2019) |
2020 川端実:Form Fullness -在ニューヨーク35年の仕事から(大塚美術、渋谷ヒカリエ8/) |
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【展覧会概要】 |
タイトル:「色とかたちの間に - 東京・ニューヨーク」 |
出展作家:川端実 |
場所 :ICHION CONTEMPORARY 〒530-0055 大阪府大阪市北区野崎町9−7 |
期間 :2025年9月16日(⽕)~ 10月18日(土) |
開館時間:11:00~18:00 |
※最終入場 17:30 |
※最終日のみ16:30最終入場、17:00退館 |
休館日 :日・月・祝日 |
予約:事前予約不要 |
※10名様以上でのご来場を予定されている場合は、必ず事前にお電話またはメールにてご予約をお願いいたします。ご予約のない場合は、当日のご入場をお断りいたしますので、あらかじめご了承ください。 |
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「芸術が奏でる感性の波長が、一つの音のように人々の心に響き、新たな文化の波を生み出す」 |
というコンセプトを掲げ、大阪を拠点にアジアと世界を繋ぐ文化交流の拠点を目指し、ICHION CONTEMPORARY プロジェクトは2023年、大阪の東梅田の地で始動しました。 |
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当ギャラリーは、日本、特に大阪・関西の前衛芸術が勃興した時代のアーティストたちに注目し、その革新性と文化的価値にスポットライトを当てることで、世界的な評価の向上を目指しています。戦後のアメリカでの抽象表現主義、フランスでのアンフォルメル運動に並ぶように、日本では具体派やモノ派といった東アジアでは革新的な美術運動が巻き起こりました。中でも具体美術は、伝統的な美術の枠組みに捉われず、「純粋なる創造」を追求した先鋭的な表現運動として際立ちました。
その革新性は、戦後日本の美術の方向性を大きく変えるだけでなく、東アジア全体のモダンアートに大きな足跡を残しました。具体美術の特異な精神は、現代社会においても新たな価値を創造する手がかりとなっており、過去と未来を結ぶ架け橋として重要な役割を果たしています。 |
我々ICHION CONTEMPORARY にとって、大阪・関西という地で生まれ育った前衛芸術の精神を未来に繋ぐことは次世代への責任であると考えています。 |
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また、ICHION CONTEMPORARY は、海外のギャラリーや美術館とのネットワークを活かし、日本と世界とを結ぶアート交流の架け橋としての役割も果たしています。展覧会や国際的なアートフェアはもちろんのこと、国内外のプライベートミュージアムやギャラリーとも連携し、「アートの交換留学」を行うことで、アートが持つ可能性をさらに拡大させ、大阪を起点とした国際的な文化対話を推進していきます。 |
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さらに、ICHION CONTEMPORARYでは若手アーティストがその才能を最大限に発揮し、国際的に活躍できる環境を整えていきます。大阪・関西という地域が持つ豊かな歴史と文化の力を最大限に引き出し、芸術がもたらす社会的・経済的な波効果を通じて、次世代へ繋がる文化交流のプラットフォームとして成長していきます。 |
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